『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』や『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』、そして『ブリジャートン家』。これらの人気海外ドラマに共通しているのは、熱心なファンに向けて、キャストの独占インタビューや舞台裏の解説を届ける「コンパニオン・ポッドキャスト」の存在だ。かつては音声のみの媒体であったポッドキャストだが、現在は放送局やストリーミングサービスが補完的なコンテンツとして最重視する、最新の「ビデオ重視」トレンドへと変貌を遂げている。
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エンドロールの後に始まるもう一つの物語
直近の7ヶ月間だけでも、HuluとDisney+は『マーダーズ・イン・ビルディング』から新作『ザ・ビューティー 美の代償』まで、計9作品の関連番組を開始。HBOも2025年に入ってから、すでに充実していたラインナップに10のポッドキャストを追加した。Netflixも『ブリジャートン家』シーズン4の配信に合わせ、公式ポッドキャストをリリースするなど、その勢いは止まる所を知らない。
地上波やケーブルテレビの視聴者が減少する中、各企業は観客の主戦場であるオンラインで彼らと接触すべく、このフォーマットに大きな賭けに出ている。アンプリファイ・メディアのCEO、スティーブン・ゴールドスタインは、この現状をこう分析する。「トーク番組『The Tonight Show(原題)』でジミー・ファロンと過ごす8分間を予約するのもいいが、最もロイヤリティの高い顧客たちと直接45分間を過ごすこともできるのだ」
HBOがこの分野に本格参入したのは、2019年の『チェルノブイリ・ポッドキャスト』だった。HBOポッドキャストのクリエイティブ担当、マイケル・グルックスタットは、ファンとのエンゲージメントを最大化する好機がそこにあると確信したという。共同制作者のベッキー・ローは、これらを「DVDの特典コンテンツ」になぞらえ、視聴者が抱く切実な疑問に応える場であると定義。ゴールドスタインはさらに、「昨夜のエピソードについて語り合う、デジタル版の井戸端会議」と表現している。
タレントへのアクセスという最強の武器
ポッドキャストの最大の強みは、ドラマキャストや制作陣という「タレントへの圧倒的なアクセス権」だ。ニューヨーク大学のポール・ハダート教授は、「最高の引きは、その番組に出演している本人たちだ」と断言する。
例えば、Disney+とHuluの人気番組『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』公式ポッドキャストは、脱落した出場者が最初に訪れるメディアとなっており、YouTubeだけでも200万回以上の再生を記録している。また、これらは「公式」番組であるため、タレントが予期せぬ質問に晒されるリスクがなく、スタジオ側がナラティブ(語り口)をコントロールできるという利点もある。番組の長さは、HBOの約50分からFXの15分未満まで多種多様だ。ハダートによれば「長さは本質ではない」とし、ゴールドスタインも「重要なのは本物の洞察を提供できているかどうかだ」と付け加える。
低コストで高リターンなマーケティング戦略
ビデオ化が進むポッドキャストは、いまや魅力的なマーケティングツールだ。Disney+とHuluの番組関連ポッドキャストの切り抜き動画は、SNS上で2億7300万回以上の再生を記録しているという。マーケティング担当プレジデントのシャノン・ライアンは、聴取率だけでなく、SNS上のポジティブな反応や会話量も成功の指標としていると語る。さらに、テレビシリーズ1本を制作するコストに比べれば、ポッドキャストの制作費は極めて安価であることも、企業が注力する大きな理由の一つだ。
このブームは今後も加速するだろう。3月末には『アメリカン・アイドル』のポッドキャストも登場予定だ。スタジオ各社がポッドキャストを「継続メディア」と捉え始めた今、ゴールドスタインが語るように、物語はクレジットが流れた時に終わるのではないのである。
『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』の公式ポッドキャストはこちらより。シーズン1~2はU-NEXTで独占配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Variety




