近年、海外ドラマのロケ地は、撮影費用が安く抑えられるカナダのトロントやバンクーバー、アメリカのジョージア州などに集中する傾向にあった。そんな中、米HBO Max『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』などのドラマシリーズが、米カリフォルニア州での撮影促進を目標とした節税措置の対象になることが明らかとなった。米Varietyが報じている。
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ノア・ワイリー主演の医療ドラマ『ザ・ピット』シーズン3に更新決定
HBO Maxの医療ドラマ『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療 …
補助金が過去2シーズンのおよそ倍額に
カリフォルニア州の映像製作支援策をめぐり、『ザ・ピット』が注目を集めている。ペンシルベニア州ピッツバーグにある架空の救命救急センターを舞台にした本作は実際にはカリフォルニア州のバーバンクで撮影されてきたが、同州の補助金としてシーズン3では2420万ドル(約38億円)を受け取る予定だ。これはシーズン1&2それぞれで受け取った補助金1220万ドル(約19億円)のほぼ倍額となる。
この背景には、ギャヴィン・ニューサム州知事が打ち出した大幅な制度拡充がある。同州における製作減少への対策として州の映像製作補助金は、2025年に総額7億5000万ドル(約1185億円)へと倍増された。しかし、補助金の増額がそのまま雇用増につながるわけではない。例えば『ザ・ピット』の場合、技術スタッフ向け予算は6600万ドル(約104億円)から6900万ドル(約109億円)へとわずかに増えたに過ぎず、スタッフの人数もシーズン2と同じ180人にとどまっている。
今回の制度設計は各プロジェクトへの支援額を厚くする一方で、雇用拡大を必須としない点が特徴だ。これは、他州への製作流出を防ぎ、既存の雇用を維持することが狙いだという。一方で、すでに旧制度で税控除を受ける予定だった作品が新制度に再申請し、結果として数百万ドル規模の“追加恩恵”を得るケースも出ている。
Amazonドラマ『バラード 未解決事件捜査班』は、同州から承認された巨額の税額控除が、シーズン2更新に向けて大きな後押しになっていると報じられた。また、デヴィッド・ボレアナズ(『BONES』)を主演に迎えて米NBCが製作中の『ロックフォードの事件メモ』リブート版も、同州の税制優遇措置申請を視野に入れていると伝えられている。
州は今回、16本のテレビ番組に総額2億9600万ドル(約468億円)を配分すると発表した。その16本には前述した『ザ・ピット』シーズン3(2420万ドル)のほか、米HBOの『I LOVE LA』シーズン2(1520万ドル)と『ルースター/パパと娘のキャンパスライフ』シーズン2(2100万ドル)、Netflixの『メデゥーサ』シーズン1(1730万ドル)、米Huluの『ハイ・ポテンシャル』(3270万ドル)などが含まれる。
そのうち最大の支援を受けるのは、20世紀フォックスによるタイトル未定のプロジェクトで4800万ドル(約76億円)。また今回初めて、『ファミリー・ガイ』のスピンオフ『Stewie(原題)』などのアニメ作品やコンペティション番組も対象に加えられた。
ニューサム知事は声明で「カリフォルニアの創造経済は州のアイデンティティであり、州を前進させる原動力でもあります。撮影現場から美術スタッフに至るまで、これらは地域社会を支える雇用です」と強調した上で、アニメやコンペティション番組への拡大により「全米で最も強いエンタメ経済をさらに前進させる」と述べている。
なお、今回の支援対象プロジェクトによる州内支出は総額8億7100万ドル(約1376億円)、そのうち賃金は4億8900万ドル(約773億円)に達する見込みだ。一方で、委員会は情報開示の不備も指摘されており、すでに放送中の作品が「タイトル未定」として掲載されたり、『ルースター』と『メデゥーサ』の扱いが途中で修正されたりするなど、運用面の課題も浮き彫りとなっている。
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