『モンスター』シリーズ、あの悪名高いシリアルキラーは取り上げない！

ヒットメイカーのライアン・マーフィーが贈る、様々な実録犯罪を取り上げる人気のアンソロジーシリーズ『モンスター』。同シリーズが今後フォーカスしたい人物が明らかになった。

2024年末の事件は「いつかやるかも」

実際に起きた有名な事件を、その犯人はもちろん、犯人や被害者の身内や友人、司法関係者なども通して描く同シリーズ。殺人を犯した本人を単にモンスター扱いするのではなく、凶悪事件における「本当のモンスターは誰なのか？」を掘り下げた内容が毎回大きな話題を集めている。

2022年配信開始の第1弾では15人以上の青少年を殺したジェフリー・ダーマーを、2024年解禁の第2弾では両親を射殺したメネンデス兄弟を、今月3日（金）リリースの第3弾では『サイコ』の主人公ノーマン・ベイツのモデルとなったエド・ゲインを、そして現在制作中の第4弾では実父と継母が斧によって殺された事件の裁判で無罪となったリジー・ボーデンを取り上げている。

米Varietyの取材に応じたマーフィーと共同クリエイターのイアン・ブレナンは、同シリーズの目的は「問いを投げかけること」であり、そうした深みのない物語は制作候補から外してきたと語る。

そうやって候補から外れたのが、テッド・バンディとジョン・ウェイン・ゲイシーだ。30人以上の女性を殺した知的なハンサムとしてメディアに大きく取り上げられ、「シリアルキラー」という表現を生んだバンディだが、マーフィーにとっては興味がないという。「あの犯罪の数々を見て、そこにどんなテーマがあるというんだい？　社会に対する問いかけは何もない。あまりにも残忍で興味は湧かない」と彼は語る。パーティでピエロに扮装して子どもを楽しませる模範的市民と思われていたが、実は30人超の少年を性的暴行を加えた上で殺していたゲイシーに対しては、「彼の物語には贖罪の余地がまったくない。彼の名前が毎年話題に上がる度、私たちは即座に“ないね”と答える。感情に訴えるものがないんだ」とブレナンが説明する。

一方、今はまだ時期尚早だが、いつかやるかもしれない事件があることも明らかに。それは2024年12月に起きた、ルイジ・マンジオーネによる大手保険会社CEOブライアン・トンプソン射殺事件。ニューヨーク中心部の路上で起きた事件は日本でも報じられたので、覚えている人も多いだろう。この事件はまだ裁判も行われておらず事件の詳細が不明のため、今のところは見送っているという。「彼について何も分かっていない。書く材料がないんだ。裁判で何かが明らかになるかもしれない」とマーフィーは述べている。

なお、同シリーズが毎回取り上げてきたのは一人（一組）の殺人犯だが、その流れでほかの犯人に言及することもあるようだ。マーフィーはリジー・ボーデンにフォーカスする第4弾について、「このシーズンは“女性版モンスター”。リジーだけでなく、モンスターというレッテルを貼られたほかの悪名高い女性たちにも焦点を当てる」として、ハンガリーの伯爵夫人エリザベート・バートリやアイリーン・ウォーノスの名前を挙げた。前者は、17世紀初頭に若い女性を中心に600人以上に対して拷問・殺人を行ったとして、吸血鬼伝説のモデルとなったことで知られる。後者は、子どもの頃から虐待された末、7人の男性を射殺した罪で2002年に死刑となった。翌2003年の映画『モンスター』でシャーリーズ・セロンがウォーノスを演じ、アカデミー賞主演女優賞を受賞している。

「このシーズンは、同じアプローチで様々なモンスターが登場する。世間から一方的にラベルを貼られた女性たちを描き、“本当にそうだと思う？”と問いかけるんだ」

『モンスター』シリーズ第3弾、『モンスター：エド・ゲインの物語』がNetflixにて10月3日（金）配信開始。過去2作（『ダーマー　モンスター：ジェフリー・ダーマーの物語』と『モンスターズ：メネンデス兄弟の物語』）は配信中。（海外ドラマNAVI）

参考元：米Variety