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Apple TV+『ロスト・バス』マシュー・マコノヒー&ジェイミー・リー・カーティス インタビュー

2025年9月29日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

ロスト・バス

2018年にカリフォルニア州の小さな町、パラダイスで実際に起きた出来事に着想を得たApple Original Films『ロスト・バス』が、Apple TV+にて10月3日(金)より配信される。全米史上最悪級の山火事を舞台に、道に迷ったスクールバスを運転するドライバーのケヴィン(『TRUE DETECTIVE』のマシュー・マコノヒー)と同乗する小学校教師のメアリー(『アグリー・ベティ』のアメリカ・フェレーラ)が、22人の子どもたちを救おうと奮闘する姿を描く。

監督・脚本を担当したのは、『ジェイソン・ボーン』シリーズや『ユナイテッド93』で知られるポール・グリーングラス。プロデューサーとしてジェイソン・ブラム(『ハロウィン』)とジェイミー・リー・カーティス(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)が名を連ねる。

『ロスト・バス』リリースに合わせて、キャスト・スタッフに話を聞いた全2回のインタビューより、1回目の今回登場するのは、主演のマシュー・マコノヒーと、プロデュースを担ったジェイミー・リー・カーティス。作品の舞台裏はもちろん、親子3世代の共演や実在のモデルとの不思議な繋がりについても語ってもらった。

ロスト・バス

マシューと母、息子との共演は「監督の決断」

――マシュー、あなたは過去にテキサス州知事選への出馬について話していましたが、本作はある意味で非常に政治的な映画です。政治への関心は今もお持ちですか? こうした問題に取り組む活動をされる可能性はありますか?

マシュー・マコノヒー:(笑って、ゆっくり手を叩きながら)初っ端から難しい質問だ! でも映画について話しましょう。今は政治について話すつもりはありません。この映画は、こちらのジェイミー・リー・カーティスのおかげで製作することになりました。(ジェイミーに向かって)原作の実話について聞いたのがきっかけだったんだよね?

ジェイミー・リー・カーティス:その通りよ。ちなみに、この映画に政治的な意図はありません。政治的な映画ではないんです。これは勇気と、思いを貫く強さ、そして真実を描く物語です。この話について知ったのは、自宅でワシントン・ポストの記事を読んだ時でした。リジー・ジョンソンが書いた本「Paradise(原題)」についての記事で、そこに小さな吹き出しがあり、スクールバスの運転手ケヴィン・マッケイ と教師メアリー・ルドウィグの話が引用されていました。その時、夫を見て「これぞ映画よね」と言いました。その時は何もしなかったのですが、翌日ラジオ番組でスコット・サイモン(著名なジャーナリスト)がリジー・ジョンソンにインタビューしているのを聞いて…

マシュー:つまり、翌日それを聞いて、運命を感じたということ?

ジェイミー:その時、車を運転していたんですが、路肩に駐車して(プロデューサーの)ジェイソン・ブラムに電話をしてこう言いました。「ジェイソン、『Paradise』の権利を買って、映画にしたい。この作品はきっと、プロデューサーとしての私たちの人生で一番大事な作品になると思うから」 そして4年後の今、マシューとアメリカ(・フェレーラ)が主演する映画が完成したってわけです。

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――マシュー、あなたの実の母親、息子との共演について聞かせてください。お二人をキャスティングしたのは、あなたのアイデアだったのでしょうか?

マシュー:いいえ、監督のポール・グリーングラスの決断でした。私はどんな映画に出演する時も、家族に脚本を話して聞かせるんです。そこで本作で演じるキャラクターに息子がいるという話をすると、息子のリーヴァイが「息子は何歳?」と聞くので、私は「13歳か14歳。お前と同じくらいだ」と答えました。すると息子が「僕もオーディションを受けられる?」と聞くので、私は「うーん」とだけ言って、それ以上は何も言いませんでした。彼の熱意を試したかったんです。

すると数日後、リーヴァイがまたこの話題を持ち出して「僕もオーディションを受けられる?」と聞くので、また「うーん」と返しました。彼は結局4回聞いてきたので、私は4度目で「いいだろう。キャスティングディレクターに話そう」と答えました。

「息子がこの役のオーディションテープを送るけどいい?」とキャスティングディレクターに聞くと、彼女が承諾してくれたので、息子の動画をiPhoneで撮影しました。彼はカメラの前にしっかり構えて、ありのままの自分で、自然体で演じました。それをキャスティングディレクターに送り、「審査に通るレベルの演技かもしれない」というメモを付けました。それを見た彼女が「監督に送ってもいい出来だと思う」と言うので、「分かった。でも私と同じ名字であることは伏せて送って」と頼みました。

ジェイミー:賢い。さすがね。

マシュー:彼女はその通りにしてくれました。ポールがいくつかのオーディションテープを見てからリーヴァイを選んだので、そこで彼女が「実は、この子はマシューの息子さんなんです」と伝えると、いかにもポールらしく、すぐに「なおさら、いいじゃないか」と言いました。

ロスト・バス

一方、母がキャスト入りしたのは、製作途中の出来事でした。ポールはケヴィンの母親役にぴったりのキャストを探していたんです。

ジェイミー:確か、彼は誰か別の人を配役したものの、どうもしっくりきていなかったのよね。

マシュー:(撮影中)毎週、ポールと私は打ち合わせをして、前の週を振り返るようにしていましたが、ほとんどが順調な中で数少ない難点の一つが母親役を決めかねていたことでした。

彼から「誰かいい人いる?」と言われて会話を続けていると、「君のお母さんはどうだ?」と聞かれたんです。「母は確かに役者だけど、兄の家で転んで尾てい骨を折ったばかりで、今は車椅子生活を送っているんだ」と伝える私に、彼は「その状態はこの役にいいかも」と言うんです。そこで私は「ちょっと待って。母のオーディションテープを準備する」と伝え、母に電話でこう頼みました。「母親でいて幸せに思うことを話す、1分くらいの長さの動画を撮って送って」と。すると、彼女は母親として幸せに思うことを8分間語ったテープを送ってくれました。それをポールに見せると「素晴らしい!」という反応でした。

ロスト・バス

つまり、二人の配役はいずれもポールの判断で、ポールが彼らを選んだんです。私も二人と同じシーンに出演するなんて、思ってもみませんでした。

ジェイミー:ご存知かもしれませんが、ポール・グリーングラスはドキュメンタリー映画の製作から始めた人です。そのため、真実とリアリティに対するこだわりが非常に強いんです。

マシュー:実際、彼は役者ではない人と役者を一緒に起用するのが好きだと言っています。役者ではない人と役者が互いに切磋琢磨し合えると考えているのです。

ジェイミー:本作でもまさにその通りで、実際に2018年にパラダイスの山火事発生時にカリフォルニア州森林保護防火局の署長を務めていたジョン・メッシーナが、本作に本人役で出演しています。彼のほかにも、今も現役だったり引退した消防士の人たちが役者と一緒に出演しているんです。これはポールお得意の手法で、そのおかげで作品にリアリティが生まれ、ほかでは得られないような緊迫感が加わるんですよ。

実在の人物、架空の人物を演じる場合の違い

――本作のように実際の出来事を映画化した作品で実在の人をモデルに演じる場合と、架空のキャラクターを演じる場合の違いについて教えてください。

ロスト・バス

マシュー:架空のキャラクターの場合、役作りの早い段階で想像力を働かせることができます。しかし、実際の出来事をもとにした、もしくは参考にした作品の場合は、まずは資料を確認して実際に起こった出来事に立ち返り、そこからインスピレーションを得てから想像力を働かせるようにしています。

ただ、本作は伝記ではありませんし、ドキュメンタリーとも違います。そのため、物語を面白くするためにドラマチックな要素を盛り込んでいます。とはいっても実際の出来事をもとにしていることは確かで、物語でケヴィンとメアリーが22人の子どもたちを連れて脱出するまでに経験した出来事や通った場所は、すべて事実にもとづいています。

だから資料に立ち返り、書かれたこと、起きたことを理解して、それから想像力を働かせるんです。それが主な違いですね。架空のキャラクターを演じる場合は、もっと早い段階で想像力を使います。

ジェイミー:私がいつも引用する本があります。人生がどう展開するかについて書いた本です。著者のマリーシャ・ペスルはこう書いています。「人生は、思いもよらないわずか数秒にかかっています。その数秒でどう行動するかが、その後のすべてを決めるのです。そして、実際にその瞬間を迎えるまでは、自分がどうするかなんて分からないのです」

これはまさにケヴィン・マッケイとメアリー・ルドウィグのことだと思います。あの日、彼らがまったく予想していなかった出来事が起こり、ともに子どもたちを救おうと協力し合った数時間の行動こそが、彼らの未来だけでなく、その子どもたちのその後の人生をも変えたのです。

ロスト・バス

マシュー史上最も落差の激しかったシーン

――ケヴィンは22人の子どもを救うという非常に危険で緊迫した状況に置かれますが、撮影中に最も印象に残ったシーンと、その理由を教えてください。

ロスト・バス

マシュー:ケヴィンは22人の子どもを救う決断を下すシーンの直前に、人生で最大の決断をしたところでした。仕事場に行かず自宅に引き返して、ギクシャクしている息子との関係を取り戻し、母親も連れ出して二人を安全な場所に避難させようとしていたんです。

この映画の非常に面白い点として、普通ならその決断だけで物語を次の展開に繋げる、もしくは映画全体を引っ張っていくものなんです。しかし本作では、その最初の決断の35秒後には(スクールバスドライバーへの)出動要請で、新たな決断を迫られることになります。その時に聞こえる要請は、「町の東部(の小学校)に取り残された子どもが22人。空席のバスで出動できる者は?」というもの。家族のもとに向かいたい彼は、誰かほかのドライバーが「了解」と応答しないかと願いますが、誰も応答しないんです。

彼があの瞬間に子どもたちを救うと決断するのが印象的なのは、その直前に別の決断を下した流れがあるからです。あそこが、私にとって一番印象に残っているシーンですね。というのも、真逆に転じる決断の直後にまた真逆の決断を下しているからです。普通はそんな決断が連続することはありません。思うに、これはポールのお気に入りの手法で、彼は主人公に連続でプレッシャーをかけて、次から次へと重大な決断を迫るんです。その場面こそが一番印象に残りました。

ジェイミー:そして重要な点として、あの時のケヴィンの視点に立つと、自分の母親は重い病気を患っていて一人で動けず、具合の悪い自分の息子と二人きりで家にいます。それでも彼は、学校に取り残された子どもたちを迎えに行くという決断をします。ただ頭の片隅では、母親と息子は自力で脱出できるか否かの瀬戸際に立たされるであろうことを認識していたはずです。

それと同じ犠牲は、火事の最前線で対応に当たったすべての人たちに共通していました。彼らにも家族がいたのです。そうした人たちの多くは、パラダイスの住人でした。本作ではケヴィンとメアリーの物語を取り上げていますが、実際はパラダイスの一人ひとりが英雄なんです。烈火の中、子どもを連れて避難したすべての母親も、命を落とした85名も。彼らは、自分たちや家族の命を守ろうとしながら亡くなった英雄です。

つまり本作は、ケヴィンとメアリーに焦点を当てた美しい映画ですが、生き延びようとする思いを描く物語です。そして私にとって非常に重要なのは、(マシューに向かって)あなたも同じ思いのはずだけど、火事を生き延びたパラダイスが現在、地域として活気を取り戻していることです。今やパラダイスの存在は大きく、町として再建を果たし、人々の記憶に残すべき重要な物語です。本作は恐ろしい瞬間を描いていますが、実際の町の人々は一丸となって生き延び、活気を取り戻しています。私たちも彼らとともに、命を失った人々を追悼し、最前線で闘った人や、団結した町の人たちを称えたいと思っています。

ロスト・バス

――バスが四方を炎に取り囲まれたシーンで、ケヴィンはいかに自分が父親としても息子としても出来損ないかをメアリーに語り始め、のちに炎の中をバスで突っ切る衝撃的な場面へと展開していきます。あの過程でのケヴィンの思いと、その場面を撮影した時の様子について教えてください。

マシュー:ケヴィンに関しては先程お話しした通り、二つの真逆な展開が連続して描かれます。その果てに、ケヴィンとメアリーは絶望の淵に立たされます。逃げ場はなく、ほかに行ける場所はどこにもない。そこで自責の念や後悔、罪悪感がすべて湧き出てきます。

そこでケヴィンが息子との関係を象徴する見事な台詞を言います。ちなみに、それはポールが思いついた台詞で、心に刺さるこんな言葉です。「私は息子になりきれず、今さら父親になろうにも間に合わない。もう二度とチャンスは巡ってこない。手遅れだ。結局どちらにもなれなかった」

彼の後ろには子どもたちがいて、そこで炎が上がり、バン!と一気に覚醒する。非常ベルが鳴り、ケヴィンはバスの外に出て火を消そうとするが、逃げ場がなく、バスの中に戻る。そしてケヴィンはまさに象徴的な行動を取らざるを得なくなる。私自身、まさにその通りだと思いますが、地獄を出たければ、怪物の喉を伝ってでも進まざるを得ない時があります。彼はまさにそれをここでやって見せるんです。ここに留まるわけにいかない。進まないといけないってね。

ケヴィンは、映画の中のここで初めて何かをやり遂げます。彼はこれまでの人生の様々な場面でやり遂げられず、不完全に終わっていました。でも、この瞬間はやり遂げます。それに先程言った通り、時には最悪の状況を脱するに、そのまま突き進むしかない。最後のシーンはまさにそれを体現していて、その先に見えるのが青い空。彼らは逃げ切って、そこに辿り着いたのです。

それもまた真逆に転じる展開です。先程話した最初の場面とここの場面は、一つの状況に立った後に、急にまったく別の方向に転換するという意味では、今までで一番落差の激しいものでした。それだけに機敏さが求められましたが、楽しかったです。その展開を楽しんで演じることができました。今まで撮影した作品の中でも、あれほど短時間の中で激しい葛藤や大きな決断が連続して降りかかってくるのは初めてでしたね。

ロスト・バス

母親ジャネット・リーと付き合っていた!?

――ジェイミー、あなたはご自身や多くの方が山火事の影響を受け、数週間ご自宅から避難せざるを得ない状況だったかと思いますが…

ジェイミー:8ヵ月でした。

――もっと短期間かと思っていました。そういう経験があったのなら、今まで20作品近くプロデュースされてきた中でも、本作は特別な思い入れや重要性を感じる作品になったと感じますか?

ジェイミー:現場では、ポール・グリーングラスがいれば私の出番なんてないんです。ポールは彼自身とグレゴリー・グッドマンをはじめとした、彼が集めた素晴らしい製作陣がいれば十分ですから。

ですので、本作でのプロデューサーとしての私の役割は、ジョン・メッシーナ、ケヴィン・マッケイ、メアリー・ルドウィグといった実在の人たちと映画化する物語の架け橋になることでした。実際、当初から私はケヴィンとメアリーにしっかり私自身のこと、そしてポールのことを知ってもらうよう徹しました(当時はマシューが参加する前だったので)。私が決して彼らに嘘をつかないこと、誠意を持って映画を製作すること、パラダイスやそこの英雄たちを称えることを約束し、理解を得ようとしました。さらに、製作する映画は一つのエンターテインメント作品としてリリースされるものの、根底には誠意があるということも念押ししました。

だからこそ、追悼の意がとても重要な要素なんです。それこそが映画と、実際に生き延びた町を繋ぐものだからです。この映画は、町の災難を鮮明に映し出しているわけですから。

なのでプロデューサーとしての私の役割は、真実を伝え、手を差し伸べることです。ちょっとしたエピソードをお話ししましょう。(マシューに向かって)あなたも知らない話かも。

ケヴィン・マッケイに初めて電話をかけた時――というのも、私は初対面の相手でも直接電話をするので、ケヴィンにも突然電話をした時――に、彼はこう言ったんです。「ジェイミー、私たちには面白い繋がりがある」と。「それは何?」と聞くと、彼はこう答えました。「母との最後の楽しい思い出は、2018年に映画『ハロウィン』を観に行ったことなんだ」

ご存知かもしれませんが、ケヴィンのお母様は重い病気を患っていて、火事の直後に亡くなりました。つまり、私が参加した『ハロウィン』が2018年10月に公開された時、彼とお母様は映画を観に行ったわけですね。

マシュー:その話は知らなかったよ。

ジェイミー:まだあります。メアリー・ルドウィグに私が電話をした時――ちなみに彼女はケヴィンよりも映画化に関して慎重でした――、彼女がこう言ったんです。「ジェイミー、あなたと私には不思議な繋がりがある」って。私が「どういうこと?」と聞くと、彼女は「私の父とあなたのお母様は付き合っていた」と言うんです。「本当に? どこで?」と返したら、「カリフォルニア州のマーセド。お母様がまだジャネット・ヘレン・モリソンだった頃」という話でした。私の母、ジャネット・リーは素晴らしい映画俳優で、カリフォルニア州マーセドでジャネット・ヘレン・モリソンという名前で育ちました。その頃、海軍の一員だったメアリー・ルドウィグのお父様と付き合っていたようです。

そんなわけで、当初から私はケヴィン、メアリーと個人的な繋がりがあったんです。メアリーはこう言っていました。「私の父は海軍でとても強い人だったけど、そんな父が泣くのを2回だけ見た。それは、母が亡くなった日と、あなたのお母様が亡くなった日だった」 もともと不思議な縁で繋がっていたんですね。メアリーとケヴィンとは今でも親しくしています。

マシュー:素晴らしい話だね!

アメリカ・フェレーラの出演はあっという間に…

――メアリー役のアメリカとの仕事はいかがでしたか?

ロスト・バス

マシュー:まず、アメリカはとても肯定的な人です。別の言い方をすると、彼女が何かを否定することはありません。彼女はあらゆることに対して賛成派で、敵対するものに直面すれば、衝突はあり得ますが基本的に反対はしません。

そして俳優としては、彼女の現場での会話はすべて、メアリーの視点を通じたものでした。私もその姿勢に大賛成です。おかげで彼女の考えを深く知ることができました。この撮影期間で知るようになった彼女は、過去に集団の中での付き合いを通じて知った彼女とはまるで別人です。

彼女は頭の回転が速く、十分な自信があるのも素晴らしいですね。というのも、私たちの役は互いに平行線を描きながらも協力し合う関係でした。目指すものは同じでも、望む方法が違い、衝突せざるを得ない。一日中、閉鎖的な空間で現場をともにして、協力し合う必要がある時に気をつけるべきなのは、相手の雰囲気にのまれないことです。自分の役に徹することが重要なのです。

そのためには役柄をしっかりと理解する必要があります。もともと互いの立場が離れていれば離れているほど、自分の立ち位置に自信を持つ必要があります。たとえそれが居心地の悪いものであっても。互いの間に距離があってから衝突した時こそ、向き合って秘密を共有した時には、その距離の分だけ強い絆が生まれます。そういう意味でもこの物語は二人の素晴らしい絆の物語です。最後は互いに秘密を共有します。二人とも限界を感じ、彼女は秘密や後悔の念を打ち明け、彼も同様に心を開く。恋愛ではありませんが、美しい絆です。その瞬間、二人は歩み寄り、苦境から脱するのです。

でも、それは最初に二人の間に距離があってこそ得られる絆です。彼女は彼女の、私は私の立ち位置を維持することが重要で、非常にやり甲斐のある関係です。しかも、誰にでもこなせるものではないので、それを一緒にできた彼女と彼女の演技力に感謝しています。

ジェイミー:マシューも知らない、こんな話があります。もちろん私たちはマシューをケヴィン役に望んでいましたが、いろいろと議論はあって、マシューとポールの間でも何かと話し合われたはずですが、ケヴィン役が決まるまではほかのキャストを決めるつもりはありませんでした。ある日、ポール、ジェイソン・ブラムとオンライン会議をした私は、マシューがケヴィン役に決まったという吉報を教えてもらいました。全員が喜ぶ中、ポールが彼らしく「よし、それじゃメアリー役は誰だ?」と聞いたんです。その時、私は「アメリカ・フェレーラはどう?」と答えました。それは自然と口から出た案でした。するとポールが「彼女は素晴らしい。間違いない。決まりだ!」と言ったんです。

冗談抜きで、それだけ速く決まりました。直感で分かったんです。主演がマシューに決まった瞬間、メアリー役にはアメリカ以外考えられませんでした。ポール・グリーングラスに指示するつもりは決してなく、彼の映画製作に口を出すつもりはありませんが、人から感じるオーラに関しては自信があるので、この二人ならば相性はバッチリだと感じたんです。

マシュー:(ジェイミーに向かって)それはまた嬉しいことを言ってくれるね。あなたのおかげだ。加えて言いたいのは、今の話はいかにもポールらしいということです。彼は、誰の発案であろうとも、良い案であれば、躊躇なくその場ですぐ取り入れられる人なんです。

Apple Original Films『ロスト・バス』は、Apple TV+にて10月3日(金)配信スタート。

(海外ドラマNAVI)


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Photo:『ロスト・バス』画像・映像提供 Apple

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海外ドラマNAVI編集部

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