今年1月に亡くなった鬼才デヴィッド・リンチと何度も仕事をしたカイル・マクラクランが、新作ドラマは亡き盟友との仕事を連想させたと語っている。米TV Lineが伝えた。
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現場の雰囲気も製作過程も鬼才と同じ
カイルといえば、主役に抜擢された1984年の映画『砂の惑星』を皮切りに、いくつものリンチ作品に出演。『ツイン・ピークス』で演じたデイル・クーパー役は彼の当たり役の一つだ。
そんな彼が、スターリン・ハルジョによる米FXの新作ドラマ『The Lowdown(原題)』を、リンチとの仕事になぞらえた。スタイリッシュ・ノワールと表現されることもあるこの作品の主人公は、オクラホマ州タルサの市民ジャーナリスト、リー・レイボン(『マグニフィセント・セブン』のイーサン・ホーク)。真実に対する執着が原因で何度もトラブルに巻き込まれる彼は、タルサで起きた最新の死(もしかして殺人?)の真相を突き止めようとする一方、ボロボロのビジネスをなんとか維持しようと奮闘する。カイルが演じるのは、州知事選候補のドナルド・ウォッシュバーグ。ドナルドの亡き兄が残した奇妙な手がかりの数々を辿っていくリーは、調査を進めるうちにドナルドや、悲しみに暮れる未亡人のベティ・ジョー・ウォッシュバーグ(『ビッグ・ラブ』のジーン・トリプルホーン)と対峙することになる…というストーリーだ。
本作の監督・脚本・製作総指揮を務めるハルジョは、オクラホマ州の特別保留地で育った先住民のティーンエイジャーたちを主役にしたコメディドラマ『Reservation Dogs(原題)』でエミー賞作品賞候補になったことがあるクリエイター。彼との仕事について尋ねられたカイルは、リンチとの日々に重ねつつ次のように語った。
「デヴィッドと一緒に仕事をするのが楽しかった理由はいくつかある。例えば、彼の創り出す世界は唯一無二で特殊なんだが、『The Lowdown』の世界もまさに同じように感じた。デヴィッドとの現場は喜びや楽しさ、創造性に満ちていたが、スターリン(ハルジョ)と仕事をした時にもそれを感じたよ。さらに、脚本はあくまで出発点に過ぎず、常に成長や改良の余地がある。デヴィッドとの仕事では、状況も台詞も場面もしょっちゅう(もともと脚本に書かれていた内容から)入れ替わった。スターリンとの仕事も同じだった。常に変化し続け、シーンをより良くするための改良が続いていた。スターリンがデヴィッドの大ファンなことは知っている。だからこそ、スターリンの現場で“まるでリンチの世界に戻ったみたいだ”と感じられたのは、本当に嬉しかったよ」
このカイルの発言を耳にしたハルジョは、「もう引退してもいいや」とジョークを飛ばしていた。
また、物語の舞台となったタルサといえば、シルヴェスター・スタローン主演の犯罪ドラマ『タルサ・キング』の舞台としておなじみだが、道徳的曖昧さと謎の数々を描く『The Lowdown』にとっても理想的なロケーションだったとハルジョは語る。
「タルサはノワール作品を描く場所としてちょうど良かった。これまでのノワール作品の舞台はロサンゼルスやニューヨーク、ニューオーリンズだったけど、アメリカの中部でも政治的・文化的な動きが活発になっていると思う。タルサには歴史の重み、荒削りなリアリズム、そして多くの秘密があって、この物語にピッタリの場所だった。この作品は真実のために戦う人物を描いていて、オクラホマのような地にはずっと昔から真実が求められてきたからね」
主演のイーサン・ホークは、本作の魅力を次のように説明。「『The Lowdown』にはたっぷりの愛やウィット、ユーモアがあり、おバカなところもある。でもその根底には、私たちが誰であり、どうやって互いに関わっていくか、複数の真実を同時に抱えることができるのか、というとても正直な会話があるんだ」
するとハルジョも、「今こそ、真実のために戦う人々が必要なんだ。それが今最も重要なことの一つだと思う」と付け加えた。
カイルからリンチ作品との類似点をいくつも挙げてもらった『The Lowdown』は、米FXにて9月23日(火)より放送。『ツイン・ピークス』シリーズはAmazon Prime Video(アマゾンプライム)にて配信中。(海外ドラマNAVI)
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参考元:米TV Line