
名匠スティーヴン・スピルバーグが“いつも観ていた”と語るのは、米AMC制作の傑作『MAD MEN マッドメン』だ。数々の名作映画を生み出し、映像の未来を切り開いてきたスピルバーグは本作のどこに惹かれたのか。Screenrantをもとにその理由に迫る。
「脚本が素晴らしいドラマは観ずにいられない」
2009年、ボストン大学のインタビューでスピルバーグは、自身のお気に入りのドラマシリーズについて言及。その中で最初に名前を挙げたのが当時シーズン3の放送を控えていた『マッドメン』だった。「ネットワークドラマの中には本当に脚本の良い作品がある。『マッドメン』なんかは、いつも観てるよ」
彼はデヴィッド・E・ケリー(『ビッグ・リトル・ライズ』)の作品についても「彼が手がけたものなら何でも観る」と語っているが、具体的なタイトルに言及したのは『マッドメン』だけ。彼は「よく書かれたドラマ」を何より重視しており、映画監督としての視点から見ても『マッドメン』の脚本は傑出していたのだろう。
『マッドメン』の魅力とは?
2007年から2015年にかけて放送された『マッドメン』は、1960年代のニューヨーク・マディソン・アベニューの広告代理店を舞台にした骨太の人間ドラマ。スタイリッシュな美術や衣装、時代考証の徹底ぶり、そして複雑に絡み合う人間関係と社会背景が高く評価された。主演のジョン・ハムをはじめ、エリザベス・モスやクリスティーナ・ヘンドリックスなど、多くの俳優がこの作品でブレイクを果たしている。
Rotten Tomatoesでは、全7シーズン中6シーズンがスコア90%超え、全体平均も94%という驚異の高評価を獲得。
今こそ観るべき“スピルバーグ推薦”の名作
AMC初のオリジナルドラマとして制作された『マッドメン』は、『ブレイキング・バッド』や『ウォーキング・デッド』といった後続の名作にも大きな影響を与えた。洗練された映像美とともに、100話にも満たない話数でドラマ史に名を刻むことに成功した本作は、「テレビドラマの可能性を押し広げた作品」として位置づけられている。
とりわけ、ジョン・ハム演じる主人公ドン・ドレイパーのキャラクター造形は、テレビ史上でも屈指の完成度と言われるほど。そのクオリティは、現在の配信時代においても色褪せることはない。スピルバーグの“お墨付き”として、ぜひ一度は体験してほしい作品だ。
(海外ドラマNAVI)
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