
人気犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』に主演したサイモン・ベイカーが、ハリウッドから距離を置いていることや、55歳になった今だからこそ得られる自由などについて語っている。
『メンタリスト』終了後、故郷オーストラリアへ戻ったサイモン
オーストラリア出身のサイモンは、2008年より7シーズンにわたって主演した『メンタリスト』の放送終了後、ハリウッドから距離を置いている。2017年の公開映画『ブレス あの波の向こうへ』で監督・脚本・出演・製作を担い、オーストラリア発のNetflixドラマ『少年は世界をのみこむ』などに出演しているが、仕事のペースも少し落としている。
豪Esquireのインタビューに応じた55歳のサイモンが、年齢を重ねるごとに解放感を見出していて、よりニュアンスのある役柄を演じられるようになったと語っている。「『メンタリスト』が終了したとき、この先も俳優として長くやっていくなら、休まなくちゃと悟りました。しばらく何もせずに、のんびりしようとね」
その言葉通り、しばらく休暇を取ったサイモンが最初に取り組んだプロジェクトが、サーフィンを通して成長していく少年二人の姿をみずみずしく描いた青春映画『ブレス あの波の向こうへ』だった。
もともとサイモンは監督を務める予定ではなかったが、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のオーストラリア人監督ガース・デイヴィスに、『ブレス』でメガホンを取ることを勧められたという。また、その次に選んだ仕事もオーストラリア映画『High Ground(原題)』だった。
そのことについて、「たまたまだけど俳優としても監督としても、ここで見つけたチャンスのほうがアメリカで回って来た仕事よりも、ずっと面白く感じました」と語ったサイモン。オーストラリアで出会う役の方が興味深く、自分にも何か貢献できる気がしたのだという。
“表現したいこと”に真正面から向き合えるようになった
アボリジニーの人々を描いた『High Ground』についても、もっと意欲的で深みのある作品に挑戦したことで、俳優として情熱を持っていたかつての自分に戻れたとも語っている。オーストラリアに戻ったことで、自分の“表現したいこと”に真正面から向き合えるようになったようだ。
オーストラリアに戻って以来、サイモンは情熱を注げるプロジェクトに取り組み続けているが、プライベートでは29年間も連れ添った妻と離婚を経験したのだという。
そのことについては、「まさか自分の人生で、こんなことが起こるとは思ってもみませんでした。自分が何者で、この世界にどう存在しているのか、まるで根本から変えられたような感じでした」と振り返ったサイモン。自分自身との関係を立て直すことが創作面での選択にも繋がったと言い、2023年公開の『Limbo(原題)』に出演する頃には、俳優という仕事に改めて没頭し、自分の人生経験を物語に投影できることに満足していたと述べた。
今後のプロジェクトとしてサイモンは、日本軍の捕虜を描く『The Narrow Road to the Deep North(原題)』、カズロ・イシグロの小説「クララとお日さま」の映画版や、ニコール・キッドマンと共演する新作ドラマ『Scarpetta(原題)』などが待機中だ。
今でもファンから愛される『メンタリスト』はU-NEXT、Hulu、Prime Videoなどで配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:Instagramアカウント@esquire.australiaより