『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』コリン・ファレルがまるで別人になった経緯とは?

U-NEXTにて9月20日(金)より独占配信が始まった『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』で主演を務めるコリン・ファレルは、特殊メイクなどを施して、まったくの別人に見えることが話題を呼んでいるが、なぜこれほどまでに外見を変えることになったのか。その背景を米Deadlineが伝えている。

外見が変わったことで自由を得る

本作は、2022年の映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に登場したヴィラン、ペンギンことオズワルド・“オズ”・コブルポットを主人公にしたスピンオフドラマで、映画に続きコリンが続投。しかし、同役にコリンの面影はない。原作コミックに登場するペンギンにそっくりな容姿でファンからも絶賛されているが、前述の映画でメガホンを取り、本作の製作総指揮を務めるマット・リーヴスによると、最初からコリンの容姿を完全に隠そうと意図したわけではないようだ。

2022年の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』製作前にコリンと話し合ったというリーヴス。当時、焦点を置いていたのはオズ・コブのインスピレーションで、コミック版の容姿にいかに忠実かどうかという点ではなかったそう。名作映画『ゴッドファーザー』に登場するジョン・カザール演じるフレドなどを役作りの参考として話していた中、特殊造形デザイナーのマイク・マリノがリーヴスに「自分が取り組んでいるものを見てほしい」とある日声をかけてきたのだとか。

「マイクは信じられないくらい素晴らしいアーティストで、彼がこの造形を担当したんだ。彼が見せてくれた作品はそっくりそのまま今のオズと同じものだったんだよ。素晴らしかった」とマイクの技術に魅了されたリーヴスは、その流れでコリンに試してみることを提案。「スタジオに、“コリン・ファレルに出てもらうけど、彼のようにはまったく見えないって言わないと”」と話し、今のオズの見た目がいかに作り上げられたかを明かしている。

ハリウッドでも特殊メイクを用いた作品は数多くあるものの、俳優の面影を完全に消すことは少ない。その俳優が容姿端麗であればなおさらだ。コリンも大人の色気漂うハンサムな俳優だけに、なぜ彼を醜い容姿のオズ役に起用したのかと疑問に思う声もあがっている。

そんな声に「コリンの才能は見た目だけではない」と答えたのはショーランナーのローレン・ルフラン。「魂みなぎる俳優で、コメディもドラマもできる」とコリンを評価するルフランは「なんでオズのように見える俳優を起用しないのかという疑問も理解できる。私も偏った見方をしていたけど、この経験を通して、コリンの能力を見て、もしも才能あふれるコリン以外の誰かが演じていたらオズは本質的にまったく異なるキャラクターになってしまっていたと気がついた。感情豊かで素晴らしい俳優であるコリンの魅力はオズの大きな一部になっている」と説明。「コリンが実際のところどう思っているかは分からないけど、彼にとってはある意味かなり自由だったんじゃないかと思うよ」とコメントした。

では、当の本人はどう感じていたのか。コリン自身は特殊メイクが大変だったようで、「あんなスーツと頭は二度と着けたくない」とコメント。「そこに自分はいない」と認め、自分が醜悪な悪役を演じる姿は「見ていて楽しくなかった」と語った。一方で「初めて鏡を見て、オズがそこに映っているのを見た時、とても力強い体験だった」とも述べている。

「奇妙な感じだった。猫が初めて鏡に映った自分を見ている動画を見たことがあるかい? あれに少し似ていた。こんな風に完全に没入し、マイク・マリノが手掛けた見事なデザインと造形の下に隠れるのは今回が初めてのことだった。一種の憑依のような感覚だった」と振り返っている。さらに「普段はどこかで自分を抑えてしまうこともあるけれど、今回は抑えるものがなかった。造形が多くの仕事を肩代わりしてくれた感じだった」と、これまで経験したことのない新たな役作りができたことを明かしている。

コリンの天性の魅力と経験豊かな演技力、そして業界トップレベルの造形アーティストによる繊細な技術が結集して創り上げられたオズの物語は、一度見れば引き込まれること間違いなしと言えそうだ。

『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』はU-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline