『ロスト・シンボル』がシーズン1で打ち切りになった理由

ベストセラー作家ダン・ブラウンの“ラングドンシリーズ”の3作目で、米Peacockにてシリーズ化された『ロスト・シンボル』。2021年9月にスタートし、全10話放送されたが、残念ながらシリーズが更新されることはなかった。そもそも、なぜ同じラングドンシリーズの『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)、『天使と悪魔』(2009年)、『インフェルノ』(2016年)のように映画化されなかったのか、そしてテレビシリーズがわずか1シーズンで打ち切られた経緯について、米Screen Rantが解説する。

 

前日譚として描かれる『ロスト・シンボル』

『ロスト・シンボル』は過去の映画シリーズの前日譚として描かれ、舞台はアメリカ・ワシントンD.C.。1793年から開始したアメリカ合衆国国会議事堂(通称キャピトル・ヒル)建設の歴史に見え隠れする世界最大の秘密結社「フリーメイソン」をめぐる謎に迫る。

映画化しなかった理由

過去のインタビュー(2016年:米CinemaBlend)で、ラングドンシリーズの主演トム・ハンクスは、『ロスト・シンボル』映画化のためにロン・ハワード監督と取り組んでいたものの、ワシントンD.C.とフリーメイソンの問題はあまりにも『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』の理論的ジレンマを感じさせるという結論に至り、映画化にこだわる必要はないと考えたことを明かしていた。一方で、『インフェルノ』には映画として次のステップに進めると感じさせるものがあり、『インフェルノ』に焦点を当てることにしたのだという。

TVシリーズ化された理由

『ロスト・シンボル』の可能性を追求するべく、2019年にはテレビシリーズ化の企画が始動。映画3作の前日譚という方向性で、テレビシリーズではラングドンの心理描写にこだわり、彼の内なる動機を膨らませ、象徴に魅せられた男以上の存在として表現する機会を得た。

なぜTVシリーズ『ロスト・シンボル』は打ち切られたのか

しかし、残念ながら『ロスト・シンボル』の実写化は視聴者からも批評家からも酷評され、視聴率も期待外れの結果に。これがシリーズ打ち切りの要因だったようだが、プロデューサーたちは『ロスト・シンボル』のテレビ化で目指したことはすべてシーズン1で達成したと語っており、例え高評価を受けていてもシーズン2の必要性はなかったという姿勢を見せた。

その言葉の通り、確かに『ロスト・シンボル』は1シーズンで同名小説の全編を脚色している。もし、シーズン2に更新されていれば、ブラウンの他の小説をシリーズ化したり、あるいはオリジナルコンテンツが展開されていたかもしれない。

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Photo:『ロスト・シンボル』(c) 2020 Peacock TV LLC. All Rights Reserved.