映画『オッペンハイマー』でアカデミー賞助演男優賞に輝いたロバート・ダウニー・Jrが出演する、米HBOの新作ドラマ『The Sympathizer(原題)』。同シリーズでロバートは一人四役に挑戦しているが、その理由を製作陣が語っている。
役作りで丸刈りに。子どもたちがアシスト
『The Sympathizer』は、ピューリッツァー賞を受賞した2015年出版の小説「シンパサイザー」をドラマ化したシリーズ。ベトナム系アメリカ人の教授ヴィエト・タン・ウェンが執筆した文芸スパイ小説で、ベトナム戦争末期を舞台に、ベトナム人とフランス人のハーフで共産主義のスパイがアメリカへ亡命、様々な葛藤を抱えた彼の波乱万丈な人生が描かれる。
ロバートは主人公の人生に関わる、CIA工作員、教授、国会議員、映画監督という、まったく別人となる4人のアメリカ人を演じている。共同ショーランナーを務め、複数話でエピソード監督も務めたパク・チャヌク(『オールド・ボーイ』)が、米Hollywood Reporterのインタビューで、なぜロバートが一人四役を演じたのかの理由を明かしている。
「4人のキャラクターがそれぞれ異なる職業に就き、異なる特徴を持っていたとしても、本質的には彼らがアメリカを代表する“顔”であることが非常に重要だったのです。そこで、このアイデアをハッキリと直接的に伝え、視聴者が明確に理解できるように、一人の俳優にすべての異なるキャラクターを演じてもらうという結論に達しました」
チャヌクの言葉に共同ショーランナーのドン・マッケラー(『ブラインドネス』)は、「それぞれのキャラクターを別の人物として描きたいと思っていましたが、漫画のようにまったく別人に見えるようにはしたくありませんでした。私たちは、彼らの下に隠れている男を見せたかったんです。彼らに共通点があるというのが、一種のポイントだったからです」と付け加えた。そしてロバートは、俳優として演技の幅が広いことが評価され、一人四役という難役に起用されたという。
ロバートは役作りの過程を、自分の子どもたちが手伝ってくれたと明かしている。四役のうちの一人が禿げ頭という設定で、ロバートは頭髪を隠すカツラを着用したくなかったため、頭を剃ることにしたのだとか。「子どもたちは私の頭を剃りたがっていました。自分の頭を剃ったり、誰かの頭を剃ったりするのは、本当にカタルシス的な何かがありますからね。そして娘のエイヴリは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の大ファンで、実際に娘もある時点で丸刈りにしたことがあるんですよ」と、子どもたちが丸刈りの儀式に手を貸してくれたと明かした。彼はその儀式の模様をInstagramに投稿している。
ロバートが一人四役に挑んだ『The Sympathizer』は、米HBOにて4月14日(日)配信スタート。(海外ドラマNAVI)
Photo:『The Sympathizer』に出演したロバート・ダウニー・Jrとサンドラ・オー(ロバートの公式Instagramより)