『Empire』テレンス・ハワード、支払いをめぐり事務所を訴える

米FOXにて2015年から2020年まで放送された『Empire 成功の代償』でルシウス・ライオンを演じたテレンス・ハワードが、同作の出演料の支払いをめぐってかつての所属事務所を訴えた。米Deadlineが報じている。

人種差別により正当な報酬を受け取れていない?

「変化の時だ」と話すテレンスは、全6シーズンにわたって出演した際の金銭をめぐり、2019年まで所属していたクリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)を告訴した。「彼らには説明する責任がある。情報が必要なんだ。利益分配はきちんと行われなければならない」と話している。

今月8日(金)にコクラン法律事務所で記者会見に応じたテレンスは、番組の成功を考えるとはるかに高い報酬を受け取るはずだったにもかかわらず、クリエイターやプロデューサーとのパッケージング契約を結んでいた元所属事務所のCAAにその一部をだまし取られたと主張。「CAAは僕のことを世話してくれると信じていたけど、彼らは彼ら自身の世話をしていた」と述べている。

この訴訟によると、FOXは『Empire』最盛期に約1億ドル(約145億円)の広告費を稼ぎ出していたとのこと。冷酷なヒップホップ界の大御所ルシウスを演じたテレンスの貢献は大きく、作品の音楽や脚本にもアイデアを提供したりといった舞台裏の仕事ぶりも考慮すれば、彼への支払いは実際に事務所から受け取った金額よりも多かったはずだと考えているようだ。

CAAは番組内外の関連団体の代表も務めていたそうで、「かなり多くの儲けがあった」と話すテレンスは「みんなでシェアすれば、すべてうまくいく」と考えているという。『Empire』が成功し始め、非常に高い視聴率を記録するようになったシーズン2から彼が得ていた一話あたりの出演料は35万ドル(約5075万円)。だが、カメラのないところでも尽力していたにもかかわらず、「白人の俳優がプロデューサーとして受け取ったり、エージェントから即座に与えられたりする報酬を一度も受け取ったことがない」と主張するテレンスは、これが正当な手取りだとは考えていないようだ。弁護士のカルロス・ムーアは、テレンスの受賞歴などを引き合いに出して、より直接的に「これが人種差別であったことは証拠によって明らかになるだろう」と述べている。

パッケージング契約といえば、2019年に全米脚本家組合(WGA)が法的措置を取る動きを見せたことでも知られる。CAAのような大手事務所は、その幅広い自社タレントを組み合わせて、脚本家から製作者、俳優まですべて一括で企画して売り込むスタイルが一般化していたが、こうした契約方針は脚本家の利益を損なうとして改革が成された。今回のテレンスの訴えも、この受託者義務違反に関連すると見られている。CAA側はこの件についてコメントしていない。

弁護してくれる法律事務所を見つけるのが難しかったというくらい、大手事務所を相手取った今回の訴訟は業界的に見れば得策ではなく、自身のキャリアにとって致命傷となり得ることは覚悟していると話すテレンス。それでも敢えて行動を起こした彼の判断がどのような結末を招くのか、行方を見守りたい。

『Empire 成功の代償』全6シーズンはDisney+(ディズニープラス)にて配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

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Photo:テレンス・ハワード(『Empire 成功の代償』)©2017 Fox and its related entities. All rights reserved.