『トワイライト・ゾーン』50年以上放送されない問題のエピソードとは?

何度も再放送され、リメイクされ、その度に新たなファンを獲得し、新たな世代へと広がっている伝説のSFドラマ『トワイライト・ゾーン』(日本では『ミステリー・ゾーン』のタイトルで放送)。実は、1959〜1964年の初回放送以降、さまざまな理由で再放送されていないエピソードがいくつかあるという。米CBR.comが伝えた。

例えば、シーズン5第22話『ふくろうの河』はフランスの会社が製作しており、TV初回放送以降は放映許可が降りなかった。このように、再放送されていないエピソードについては知的財産権に関わる問題が一番多いという。

50年以上放送されなかった問題のエピソードとは

一方で、シーズン5第31話『対決』が再放送されていないのはビジネス面での問題ではなく、人種的な内容が問題視されたためだった。

あらすじ

『対決』は、第二次世界大戦の退役軍人であるフェントン(ネヴィル・ブランド)と屋根裏に置かれた日本刀の物語。この刀は彼がある人物から奪ったもので、フェントンは降伏したその持ち主を殺害していた。刀には「剣は私に復讐する」という文字が刻まれており、何度手放そうとしても、必ず彼の元に戻ってくる。

そんな彼の前に、日系アメリカ人のアーサー・タカモリ(ジョージ・タケイ)が庭師の仕事を求めてやってくる。フェントンは反アジアの感情をあらわにし、タカモリは自身の父親が真珠湾攻撃で米軍を裏切ったことを明かすなど、それぞれの偏見から2人の間に緊張感が高まっていく。最終的に2人は取っ組み合いになり、刀がフェントンに突き刺さると、タカモリはその刀を手に取り、「バンザイ!」と叫びながら屋根裏の窓から飛び降りて死んでしまう。

テーマを適切に扱う視点の欠如

このエピソードの問題は、日本人を“他者(部外者)”として有害なステレオタイプに当てはめて描いていること。真珠湾攻撃や他の場所でも日系人が裏切ったという証拠はどこにもなく、戦時中、このような嘘により「日系人である」という理由だけで何千人ものアメリカ市民を抑留することが正当化されていたのだ。

他のエピソードにおいて、『トワイライト・ゾーン』は先駆的な視点を持って物語を描いていたことが評価されているが、当時の製作陣は多様性に欠けており、脚本、製作、監督が白人ばかりの環境下でこのテーマを適切に扱う視点が欠けていたと言わざるを得ない。

当然のことながら、放送後には日系アメリカ人のコミュニティからの批判を受け、さらにアメリカがアジアの国と新たな戦争を始めたこともあり、この問題点について注目されるようになった。以降テレビで再放送されることはなかったが、ビデオパッケージ化においては収録されており、2016年の年始に米Syfyで行われた『トワイライト・ゾーン』の一挙放送では、50年以上ぶりにテレビ放送された。ドラマの内容が改善されることはないとはいえ、視聴者はその内容を適切な文脈で理解し、議論することができるようになったわけで、それは必要なことであるともいえるだろう。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『トワイライト・ゾーン』(『ミステリー・ゾーン』)©MMXVII CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved