戦争映画『ハクソー・リッジ』とミュージカル映画『tick, tick... BOOM!:チック、チック...ブーン!』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、リミテッドシリーズ『アンダー・ザ・ヘブン 信仰の真実』に出演するアンドリュー・ガーフィールド。演技派として知られる彼が、「メソッド演技法」に対する批判を一蹴にしている。
メソッド演技法とは
メソッド演技法とは、アメリカの演出家・演技指導者のリー・ストラスバーグが役者を訓練するために考案した演技法。このメソッドで演じる役者は、自分が実生活で感じている「五感の記憶」や、実生活で過去に感じた「感情の記憶」を役柄に適用していく。
米ポッドキャスト番組『WTF with Marc Maron』に出演したアンドリューが、メソッド演技法が実際に何であるかについて、人々が誤った考えを持っているとし、メソッド演技法が何たるかを説明している。
「“メソッド演技法とは何か”ということに関して、多くの誤解があるようだ。撮影現場で、みんなに嫌な思いをさせることではないよ。実際には、想像した状況下で正直に生き、同時にスタッフにも思いやりをもって接し、普通の人間でいながら、必要なときにはそれを捨てることができ、そのままでいたいときには、その状態でいられるということなんだ」
本物のメソッド演技法ではない場合も?
俳優のなかには役にのめり込みすぎて、自分とキャラクターの間にある境界線の判別がつかなくなったという人もいる。例えば、映画『ハウス・オブ・グッチ』でパトリツィア・レッジャーニ役を演じたレディー・ガガは、殺人鬼のイタリア人妻の役柄になりきり、心理的な問題を抱えたと語っていた。しかしアンドリューにしてみれば、こういったよく知られた例は、本物のメソッド演技法ではないのだという。
「“メソッド・アクティングは戯言だ”という考え方は、ちょっと気になるね。いや、それをデタラメだと言うなら、メソッド演技法が何なのか分かっていないのだと思う。あるいは、メソッド俳優を自称する人と一緒に仕事をしただけで、実際には全くメソッド通りに演技をしていないのかもしれない」と持論を展開。
またアンドリューは、マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙 -サイレンス-』のために断食と禁欲を実行したことが、17世紀の司祭を演じる上で役に立ったとも明かしている。「信じられないほどスピリチュアルな体験をした。毎日、たくさんスピリチュアルな修行をして、自分自身のために新しい儀式を作ったよ。とにかく僕と(共演の)アダム(・ドライバー)は減量しなくちゃいけなかったから、半年禁欲して厳しく断食し、その期間にセックスと食事を断ったことで、かなりワイルドでトリッピーな体験をした」
幅広いジャンルの作品で活躍するアンドリューは、これからも“正しい”メソッド演技法を駆使して、素晴らしい演技を見せてくれるに違いない。エミー賞にもノミネートされたアンドリューが出演する『アンダー・ザ・ヘブン 信仰の真実』はDisney+(ディズニープラス)のスターにて独占配信中。
(海外ドラマNAVI)
Photo:アンドリュー・ガーフィールド©NYKC