ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロの作品を所蔵するピッツバーグ大学の「ジョージ・A・ロメロ アーカイバル・コレクション」。その中には、1997年に企画されお蔵入りとなったTVドラマ版『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の27ページに及ぶ概要が保管されており、ファンの元には届けられなかった物語の詳細が残されているという。
幻の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』ドラマシリーズ版
「ジョージ・A・ロメロ アーカイバル・コレクション」には、製作・未製作問わず、ロメロ監督が手がけた脚本やアートワーク、小道具、ポスターなどが保管されている。
米Moviewebによれば、ここにある『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の資料には、登場人物の詳細やピッツバーグのロケーション、そして「地獄に場所がなければ…死者は地上をさまよい歩く!」というキャッチコピーが記されているという。
故ロメロ監督は、このシリーズがよりコメディ色の強いものなると冒頭に書き留め、「危機的状況にある人間の行動をブラックユーモアで描く」が、「この番組は“切迫した恐ろしい未来”に関わるものでなければならない」という主張を残していた。企画では全19話構成で、6人の主要キャラクターが登場する予定だったようだ。
この資料によれば、ラジオ番組のホストを務める21歳のアフリカ系アメリカ人ベン・レミントンと、製薬会社の後継者であるジョン・サットンが、13歳の天才科学者ハリー・ステンゲルが主催するパーティに出席するところからパイロット版の幕が上がる。このパーティをきっかけにゾンビによる恐ろしい襲撃が始まり、人間との攻防が展開され、そして最後には、ベンが冷然とした、しかし希望を感じるスピーチを行うはずだった。
「わからないのか? 彼らは私たちだ! 私たちが破壊するから、彼らも破壊する。私たちが憎むから、彼らも憎む。彼らが殺すのは…私たちが殺すからだ。今なら、殺すことで争いに終止符が打たれるわけではないことを理解できるかもしれない。殺しはさらなる殺戮をもたらすだけ。私たちがただ生を求めれば…」
1968年に公開された映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』はロメロ監督にとって初となるゾンビ映画。カルト的人気を誇り、現代につながるゾンビ映画の地位を確立させた。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』はU-NEXT、Amazon Prime Videoにて配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』©Capital Pictures/amanaimages