
『HAWAII FIVE-0』の製作総指揮にあたるロベルト・オーチとピーター・M・レンコフに、作品への思いや見どころを伺いました。これを読めばもっと『HAWAII FIVE-0』を楽しめるはず!
■ロベルト・オーチ(製作総指揮)
----『HAWAII FIVE-0』をリメイクしようという動きは以前からありましたが、なかなか実現しないでいたところ、あなたとアレックス・カーツマンが参加した途端、放送が決定しましたね。リメイクをするにあたり、どのようなアプローチを取ったのでしょうか?
第一に、オリジナル版ではメンバーがどうやって集まったのかが描かれていなかったんだよ。ドラマの中心は事件解決で、事実を集めて捜査をしていくプロセスしか描かれていなかったんだ。それで、ピーター(・M・レンコフ)が、『マクギャレットの父親が死亡するところから物語を始めたらどうだろう?』というアイデアを思いついて、ぼくらはそれはとても新鮮なアプローチだと思って飛びついたんだ。何かエモーショナルな事件が発生して、スティーヴ・マクギャレットがハワイに留まることになり、そこからFIVE-0が結成されていく、という始まりでね。そこでダノや他のメンバーと出会い、ファミリーを形成し、事件解決と平行して、彼らのパーソナルな面を描いていく。簡単に言えば、刑事ドラマとキャラクタードラマとの両立を狙ったんだ。
第二に、刑事ドラマの部分において、アクションを重視することだった。オリジナル版には派手なアクションは存在しなかった。いまでは撮影技術が発達しているし、有能なスタッフもいる。だから、毎回、映画のようにスケールの大きなアクションを展開させようということになったんだ。
三つめは、ハワイという場所を全面的に押し出すことだった。ハワイは、アメリカの50州のひとつだけでなく、アメリカと世界とを繋ぐ通路の役割を果たしている。とても国際的な場所なんだ。だから、そうした土地柄を生かした国際色豊かな犯罪をしようとした。
基本的にはこの三つのアプローチだね。
----主人公の父親が死亡して物語がスタートするところや、チーム集めから始まっていくところは、あなたが脚本を執筆した映画『スター・トレック』と同じですね。
その通り(笑)
----あなたとアレックスは映画やTV番組など、他にもたくさんの企画を抱えていますが、『HAWAII FIVE-0』にはどの程度関わっているのでしょうか?
番組を率いるのはピーターで、脚本家チームはみんなロサンゼルスを拠点にしている。脚本執筆もポストプロダクションもすべてロサンゼルスで、撮影だけがハワイなんだ。だから、ぼくやアレックスは、いつでもロサンゼルスのプロダクションオフィスを訪問することができるんだ。
基本的には、まずシーズンの始めにシーズン全体を通した物語の構成を考える。ぼくやアレックスが各エピソードの細かい点まで口を挟むことはないが、キャラクターがどのエピソードあたりで変化をするとか、どこで新たな要素を登場させるか、といった、大まかな設定に関してはぼくらが決めるんだ。
で、あとは脚本家たちに任せていて、彼らの邪魔にならないようにしている。助けを求められたときに駆けつけるよ、という姿勢でね。
――1シーズン22話から24話あるということは、同じ数だけ事件が発生するということですよね。よくもここまで事件を思いつきますね。
それが大変なんだ。とにかくたくさんの資料を読むことに尽きるよ。役に立つのは、ハワイの名所の歴史だね。名所について詳しく調べていると、必ずといっていいほどその場所にまつわる不思議な事件を掘り起こすことができる。ぼくらが常に目指しているのは、ハワイでしか起こりえない事件のみを扱うことだ。自分たちにそうした制限を課すことで、ハワイをより深く理解することができるからね。とにかく、ニュースを大量に読む。事実は小説より奇なりとよくいうけど、目を疑うような奇妙な事件がたくさんあるものなんだ。
----『HAWAII FIVE-0』には、毎回の事件だけでなく、シリーズを通した謎がありますよね。
そのバランスが難しいんだ。各エピソードはそれぞれ起承転結がなくてはいけない。でも、毎週観るファンのために、シリーズを通したストーリーもある。ただ、毎週、見ることは難しいかもしれないから、多少見逃してもついていけるようにしているつもり。ストーリー展開のペースを落としたりしてね。こっちの話は複雑にしすぎてもいけないし、同時に、サプライズがなくてはならないので、その塩梅が難しいね。
――マクギャレットの父のミステリーはどのくらい先までプランを立ててあるんですか?
これまでの経験で、完璧なプランを用意しつつ、新しいアイデアに柔軟でいることが大事だと学んでいる。だから、いちおう全体像はあって、いまのところそのプランに沿って進んでいる。でも、途中でもっと良いアイデアが浮かんだら、オリジナルのプランをミスディレクションとして使って、新たな方向に持っていく可能性はあると思う。
――あなたが以前手がけた『エイリアス』は、毎回描かれるスパイの任務よりも、壮大なミステリーのほうに比重が置かれていました。脚本家としてはどちらのほうが楽ですか?
ぼくらは二つの要素の最高のバランスを常に探し求めている。でも、実は独立した話を作る方が難しいことがある。だって、毎回、起承転結をきちっと作らなくてはいけないからね。『エイリアス』のときは、話のオチが思いつかなかったら、そこで話をぶちっと切って、クリフハンガーにするって選択肢があったから(笑)
――そうやって作っていたんですか(笑)。
あいにく今回はその選択肢はない。いつもしっかりと話を締めくくらなくてはいけないからね。壮大なミステリーを作らなきゃいけないのと同じくらい、これは大変だよ。
――シーズン2の見所はなんでしょうか?
主人公たちに変化が起きている点だね。ダノは昨シーズンではハワイがきらいだったのに、ついにネクタイをはずすことになる。ついにハワイの魅力に取り憑かれてきたわけだ(笑)
----(笑)
マクギャレットに関しても同じ。彼は、恋愛関係にもうすこしオープンになる。さらに、テリー・オクィン演じる恩師が登場したことによって、父の死を受け入れられるようになる。シーズン2では、疑似親子関係ができるんだ。コノに関しては、グループからはずれて、トラブルに遭う。コノが信用に足る人物か、しばらく分からない状態が続く。チン・ホー・ケリーはついに汚名を晴らし、ハワイ市警の一員になっている。新たに得た権力をFIVE-0のために使うようになるんだ。
ピーター・M・レンコフへのインタビューは【後編】で!≫
(海外ドラマNAVI)
Photo:『HAWAII FIVE-0』(c)2010 CBS Studios Inc.