末期ガンを宣告された高校教師が元教え子とドラッグを精製するという前代未聞の設定で、話題になっているドラマ『ブレイキング・バッド』。今や大きな成功を収めた本作だが、2008年の放送開始にこぎつけるまでの道のりは波乱に満ちたものだったという。本作で3年連続エミー賞主演男優賞を獲得した主演のブライアン・クランストン（ウォルター）や、助演男優賞に輝いたアーロン・ポール（ジェシー）のキャスティングに関し、当初、放送局のAMCや製作会社のソニー・ピクチャーズ・テレビジョンが難色を示していたことを米Hollywood Reporterが報じた。
本作は企画の段階で、ShowtimeとTNT、HBOが製作を見送り、ようやく2005年にFXに決定したものの、キャンセル。放送権はAMCの手に渡った。クリエイターのヴィンス・ギリガンは、1998年に脚本を手がけた『X-ファイル』にゲスト出演したブライアンの演技にほれ込んでいたが、AMCと製作会社は彼のキャスティングに懐疑的だったという。『天才少年 マルコム奮闘記』の父親役のイメージが強すぎたことと、ウォルターの当初の年齢設定が50代でなく40代だったことが理由だったとか。AMCとソニーは、ジョン・キューザックやマシュー・ブロデリックにも出演を打診したが、双方が断ったため、ギリガンの望みどおりブライアンが主役の座を射止めた。
そしてジェシー役のアーロン・ポールにも、キャスティングの段階で反対の声があっていたという。みすぼらしい役柄のジェシーを演じるにはアーロンはハンサムすぎるとの懸念だった。Hollywood Reporterの取材に対し、ポールは、「カッコよすぎるって？そんな褒め言葉は人生で初めてだ」笑って答えたという。今やジェシーなくして語れない本作だが、実はギリガンと脚本家たちはジェシーがシーズン1で死ぬという構想を考えていたのだとか。しかし、2007年～2008年の脚本家ストライキでシーズン1のエピソード数が減ったことがきっかけで、構想を練り直し、ジェシーは生き長らえた。
アメリカでは、いよいよファイナルシーズンに突入した本作。シリーズ最終となるシーズン5では、先日OAされたプレミア放送が、シリーズ始まって以来の最高視聴者数をたたき出す快挙となった。本作がどのようにフィナーレを迎えるのか、注目度の高さがうかがえる。（海外ドラマNAVI）
Photo：『ブレイキング・バッド』
（c）2008 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved.
