
大ヒット・コメディ『ふたりは友達? ウィル&グレイス』の弁護士ウィル・トゥルーマン役で知られるエリック・マコーマックの待望の新ドラマ『Perception』がスタートした。
ちなみに"Perception"とは、知覚、認知力、洞察力などの意味がある。
エリック・マコーマックが今度は統合失調症の優秀な研究者に!
8シーズン続いた『ウィル&グレイス』が2006年に終了してからは、たった1シーズンでキャンセルされてしまったドラマ『Trust Me』出演、単発TV映画の主役、既存ドラマでの数回ゲストなどで少し俳優活動を抑え気味だったエリックがTVに本格的に戻って来てくれた!
ドラマの舞台はシカゴ。今回の彼の役柄は神経科学の博士号を持つ大学教授ダニエル・ピアース。ダニエルは才能あふれる優秀な教授である一方、様々な幻覚、錯覚や妄想障害に悩まされるSchizophrenia(統合失調症)でもある。
"統合失調症の優秀な研究者"と聞いて"アレ、そんな主人公の映画あったかも?"と思った方々もいるでしょう。そう、アカデミー作品賞を受賞した『ビューティフル・マインド』で、ラッセル・クロウが演じた実在のノーベル経済学受賞者の天才数学者ジョン・ナッシュが統合失調症。映画の中でジョンは秘密裏に暗号解読任務を任されたりしていたが、実は全て彼の妄想行動の一部で、彼の想像上にしか存在しない人物との出来事だった...と言う件があった。
しかし、映画のジョンと今回のドラマの主人公ダニエルが違う点は、ジョンは"妄想の中"で極秘にCIAや国防総省の仕事を手伝っていたが、ダニエルは彼の特殊性を活かして"本当に"FBI捜査に協力して真相を解明する"スペシャル・コンサルタント"なのだ。
クロスワード・パズルは考えもせずスラスラ答えが出るし、犯人の挑戦状に潜む暗号及びアナグラム(隠れた意味や文字などの置換え)解読は得意中の得意。取り調べ室では、話を聞くだけで容疑者の性質、特異症状をズバリと当てる。FBIや警察関係者とは全く違った観点から事件解決の糸口を見つけるダニエル。
日常生活でダニエルが、ダニエルにしか見えない"Imaginary Friends"(想像上の友人たち)と会話しているときは、他人から見れば、一人芝居でペラペラしゃべっているようにしか見えなくて奇妙だが、この"想像上の人物たち"こそがヒントを与えてくれ、ダニエルといろいろ談議して(傍から見ればダニエルが一人二役で会話しているように見える)事件解決へ導くことがあり面白い。しかしこの"想像上の人物たち"もダニエルには本当に存在しているか否か判らなくなってしまう時もある。そんなときダニエルはいつも秘書的アシスタントの男性に"君には、この人物が見える?"と確認する。そしてアシスタントは"本当に存在しますよ。 イヤ、僕には見えません。"と教えてくれる。その他にも、携帯電話は政府が盗聴している、公共の場所では政府が個人の行動をモニターしている、政府の陰謀で自宅はスパイに見張られている...など典型的な統合失調症の症状が至る所に見えるダニエル。最新iPodには眼もくれず、いまだに古いウォークマンに録音カセットテープを入れてクラシック音楽を聴き、人目を全く気にせず、どこにいても指揮者になりきり思いっ切り無形の指揮棒を振りまくるダニエル。ダニエル自身に関しても、病状が現れていなかった過去のことなど、まだ明らかにされていない部分もあり、これからの展開が楽しみだ。
いつもドラマの冒頭そして最後は大学の授業風景のシーンがあるが、話上手なダニエル教授は生徒たちにも大人気。皆熱心に彼の話に耳を傾け、クラスには笑いが溢れている。なんかとっても興味をそそる神経科学に関する授業内容で、"私も彼の講義に出席してみたいな~。"と思ってしまうほど!
そしてそのダニエルを大学から引っ張り出して、いつも"事件解決にチカラを貸してお願い!"と頼み込んでくるのがFBIエージェントのケイト・モレッティ(レイチェル・リー・クック)。ダニエルの授業を受講していた元生徒で、在学中はダニエルに対して、なんとなく淡い恋心を持っていたこともある。行き過ぎ捜査でFBI本部から左遷され故郷のシカゴに出戻ってきた...と言う設定である。
しかし私にはどうしても、このケイトがFBIエージェントに見えないんだな~(笑)。小柄で童顔のこともあり、ミニスカートにヒール高いパンプス姿を見ていると、好奇心旺盛なオテンバな女子学生が捜査指揮を取っているように見えて仕方がないんだけど、逆に意外性があっていいのかも? なにしろ犯罪ドラマの女性FBIエージェントや刑事って男勝りな性格が多いから...。
犯罪捜査に協力して事件解決の糸口を見出すいわゆる"スペシャル・コンサルタント"が活躍する人気ドラマと言えば、『キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿』では作家リチャード・キャッスルが、『THE MENTALIST/メンタリストの捜査ファイル』では怪しい(笑)元霊能者パトリック・ジェーンが、『名探偵モンク』ではOCD(強迫性障害)の元刑事で探偵のエイドリアン・モンクが、それぞれ彼らが持つ"特別な才能"を発揮して事件解決する大ヒットのドラマ・シリーズがあるが、果たして、この『Perception』のダニエル・ピアースも、その"優秀な犯罪コンサルタント"仲間入りして、長く続くドラマになるだろうか?
そうなって欲しいな~! と希望する私なのです。
Photo:『パーセプション 天才教授の推理ノート』(c)ABC Studios