今年のアカデミー賞授賞式で司会を務めたのは、セス・マクファーレン。現在日本でも上映中の映画『テッド』で監督、脚本、原案、製作、そして声を担当した生みの親だ。授賞式の夜、同作に登場するテディベアのテッドが、主人公ジョンを演じたマーク・ウォールバーグとプレゼンターとして登壇した。一体どうやって生放送中にセスが声を演じるCGのテッドが現れ、マークと共演することができたのか? そのからくりが明らかになった。
実は、舞台上でのテッドとマークのやり取りは前撮りの映像を差し替えたもの。現場に居合わせたかのような映像だったが、これは『テッド』の制作陣がCBSのスタジオの中に、アカデミー賞が行われたドルビー・シアターのステージをまるごと制作し、照明やカメラなどのセッティングを細部に至るまで同じにして撮影したことによる。マークはセスの演じる声と、その複製スタジオで再共演をしていたのだ。当日まで受賞者はわからないため、ノミネートされた10人がそれぞれ受賞したパターンを、およそ4週間かけて撮影したという。
こうして視聴者をライブで楽しませることに成功した『テッド』の制作陣だが、今回のアカデミー賞では音響編集賞で『007 スカイフォール』と『ゼロ・ダーク・サーティ』がダブル受賞するといった珍しい事例もあった。10パターンの中にないダブル受賞なんてことになっていたら、お手上げだったはず。生放送のリスクの大きさは計り知れない。
テッドの特撮を担当したTippett Studioのブレア・クラーク氏は、「テッドと仕事をするのはいつも楽しいけれど、アカデミー賞に登場させることは大きな挑戦だった」と明かしている。授賞式を大いに盛り上げたテッドの登場は、製作に携わったすべての人々による緻密で献身的な仕事のたまものだったようだ。(海外ドラマNAVI)
Photo:映画『テッド』TOHOシネマズ スカラ座他にて大ヒット上映中!
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