5月25日から公開の映画『アンチヴァイラル』に主演しているケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で、口から高振動波を出すミュータント、ショーン・キャシディことバンシー役でも知られている。4月初旬、PRのため来日したニュースをお伝えしましたが、その際、映画の裏話やプライベートについて、そして来日時のこぼれ話などを改めて紹介します!
――『アンチヴァイラル』は、近未来のクリニックを舞台に、セレブリティーの強烈な追っかけにウィルスを売るという話ですが、本作に出演を決めたのは?
こんなSF作品なんて、他に見たことがなかったんだ。セレブリティーを崇拝する風潮をアイデアに取り入れるなんて。それに、一人の男が負のスパイラルに陥って、どんどんハマっていくというキャラクターにとても惹かれた。この役は僕じゃないとできないって...。だから、ロスから監督(ブランドン・クローネンバーグ)の住むトロントに飛んで...。もう、『出してほしい!』って。監督に嫌われないように、自分のことをアピールしたんだ(笑)
――ウィルスに感染して、病んでいくシーンは本当にリアルでした。見る見るうちに、やつれていくし、迫真の演技でしたね。治療を受けるシーンも凄まじくて、痛々しかった...。どうやって演じられたのでしょうか?
ありがとう(笑)。そう言ってもらえると嬉しいよ。でも、演技というよりも、本当にそういう気分になるようにしたんだ。つまり、高熱が出ているシーンでは、背中にアイスキューブをたくさん入れて、体を冷やしたし。ポスターにもなっている、口に体温計をくわえているシーンは、あのオーバーコートの下は薄着で、おまけに冬の寒い日に外で撮影したから、マジでブルブル震えてたよ。あと、空腹状態でいたというのもポイントだった。そんな風に不快な気分に追いこめば、自然と普段出せない表情や目つきができるんだ。
――ブランドン監督との仕事はいかがでしたか? 鬼才デヴィッド・クローネンバーグの息子ということでも注目されていますが。
彼はすごく忍耐強くて、自分の信念を貫き通すタイプだね。とても頑固だし。でも、だからこそ監督として素晴らしいと思うよ。今回の役を演じる前には、彼から『4ヶ月、3週と2日』、『籠の中の乙女』などを見るようにって勧められたよ。
――ところで、今、口ひげをはやしてますね。それは次の役作りなんですか?
ハハハハハ(笑)。違う違う、今はオフで、『X-MEN:Days of Future Past(原題)』の撮影が始まるのを待っているところなんだよ。だから、休みだ―って気分を味わいたくって、すぐに生やし始めたんだ。
――今後、日本ではマーク・ウォルバーグと共演した『ハード・ラッシュ』が6月15日に公開され、また秋にはシアーシャ・ローナンとの共演作『ビザンチウム(原題:Byzantium)』の公開も予定されていますが、あなた自身、今後どんな俳優を目指したいと思ってますか?
うーん、それはなかなか難しい質問だな。たとえば、僕の憧れの俳優というと、ジョン・ヴォイト。とくに、彼の『帰郷』という作品は本当に素晴らしいと思う。その他、ダニエル・デイ・ルイスも好きだし、ダスティン・ホフマン。それから三船敏郎も好きだ。実は来日するとき、飛行機の中で彼が出演している『隠し砦の三悪人』を見た。とにかく、憧れの俳優はたくさんいて、影響も受けている。
ただ、僕はこれからも、お金のために映画に出るのではなく、観客の心に何か訴えられるメッセージ性のある作品に出たい。だから、作品選びには細心の注意をしなくちゃいけないと思ってるんだ。
――昨年、デニム・ブランドの「G-Star Raw」のモデルに選ばれましたね。
『G-Star Raw』からのオファーには驚いた。撮影するのが、アントン・コービンなんだから断れないしね。以前から、僕はアントンがマイルス・デイビスを撮影した写真の大ファンだったからね。この仕事のおかげでどうしようもない駄作に出ずに済んでるよ(笑)
――素顔のあなたはどんなタイプですか? どんなことが楽しみですか?
僕はどちらかというと、インドア派。何もすることがなければ、一日中部屋にこもって映画を見てるよ。ここ数か月、ハマったもの? えーと、アンドレイ・タルコフスキー、ミケランジェロ・アントニオーニ、タル・ベーラとかを見てた。あと、僕にとって音楽は欠かせない。("Robert Jones"という名のバンドで活動したこともある)ただ、仕事としてやるつもりはないけど。
――日本についてはどんな印象を持っていますか?
漫画の『AKIRA』が好き。それから、園子温の映画も好き。『ヒミズ』『愛のむきだし』とか。ただ彼の映画は母親に見てるところを見られるとマズいかもね、刺激が強すぎて(笑)。将来、チャンスがあれば、日本の映画に出るとか。日本で映画を撮ってみるとか。そんなことができたらいいよね(笑)
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現在23歳のケイレブ、テキサス出身で取材中、お父さんからもらったという愛用のテンガロンハットをずーっとそばに置いて、撮影では何度もかぶろうとしたり、茶目っ気たっぷり。スクリーンではゾッとするような強烈な演技を見せる彼だが、目の前では、まだまだやんちゃな少年といった表情も見せる。今後、話題作への出演が続くハリウッドの新星に注目したい。
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『アンチヴァイラル』
5月25日(土)より、シネマライズほか全国ロードショー
『ハード・ラッシュ』
6月15日(土)2013年6月15日(土)丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国ロードショー