オリジナルドラマの人気にあやかり製作されるスピンオフドラマ。ゼロからスタートするよりも、認知度という点から有利として最近、ますますスピンオフへの期待が高まっているが、もちろんすべてが成功するわけではない。そこで米TV Guideで今まで報じられた「やらなきゃよかったスピンオフ」から、海外ドラマNAVI的視点から10本ピックアップしてご紹介しよう。
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■『カプリカ』
9本目は、大勢のSFファンを魅了した『バトルスター・ギャラクティカ』の前史を描いた『カプリカ』。本家ドラマ『バトルスター・ギャラクティカ』は、70年代に人気を集めた『宇宙空母ギャラクティカ』を大幅にリメイクしたもので、04年から09年まで米Syfy(サイファイ)で放送され、シーズン4で終了した。王道のSFストーリーに深い人間ドラマを織り交ぜ、最新のVFXを駆使した映像に見事な音響効果は圧巻の大作レベル。批評家筋も絶賛の語り継がれる名SFドラマとなっている。
スピンオフ『カプリカ』は、本家ドラマの58年前が舞台。主人公は、本家シリーズのアダマ艦長ことウィリアム・アダマの父ジョセフと天才科学者ダニエル・グレイストーンで、後に人類と敵対することになる人口知能を備えたロボット「サイロン」が、どうやって人間の手によって生み出されたかを描く。
米TV Guideは"やらなきゃよかった"理由として、スピンオフには、本家のような壮大な宇宙戦争叙事詩の再現までは期待していなかったものの、傲慢と暴走のソープ・オペラにフォーカスしすぎてしまったのが、シリーズ・ファンとの間に距離を作ってしまったと指摘する。いかにして人類が滅亡の危機に陥ったかを、もう少し大きなスケールでより詳しく描くことを期待していたファンに対し、策略と悪事に終始したソープ・オペラになり下がってしまったのが敗因のようだ。さらに、サイロン誕生秘話なので「あいつはサイロンなんじゃないか?」という"ミステリー"がなかったことも物足りなさにつながり、『カプリカ』は、シーズン1であえなくキャンセルとなった。(海外ドラマNAVI)