【やらなきゃよかったスピンオフ】その10:『ザ・ファインダー 千里眼を持つ男』 スピンオフにしたのが、そもそもの間違い!?

オリジナルドラマの人気にあやかり製作されるスピンオフドラマ。ゼロからスタートするよりも、認知度という点から有利として最近、ますますスピンオフへの期待が高まっているが、もちろんすべてが成功するわけではない。そこで米TV Guideで今まで報じられた「やらなきゃよかったスピンオフ」から、海外ドラマNAVI的視点から10本ピックアップしてご紹介しよう。

■『ザ・ファインダー 千里眼を持つ男』
"やらなきゃよかった"シリーズのトリを飾る(!?)のは、米FOXでシーズン9が放送中の大ヒットドラマ『BONES』からのスピンオフ。原作はリチャード・グリーナー著の小説「The Locator」で、『BONES』シーズン6の第19話「ザ・ファインダー」に登場する、どんなモノでも探し当てる能力を持つ男ウォルター・ シャーマン(ジェフ・スタルツ)が主人公だ。『BONES』にウォルターが登場した翌年2012年に放送され、アメリカで放送中に日本上陸を果たした期待作だった。

TV Guideは、本作に主演するジェフ、脇を固めるマイケル・クラーク・ダンカン(レオ役)、マディー・ハッソン(ウィラ役)の演技に賞賛を送ったものの、「(作品に共通する)軽快なスタイルは、『BONES』では主演コンビの恋に発展するのかどうか気になる微妙な距離感を引き立てたが、『ザ・ファインダー』の仲間たちには効果がなかった」と指摘。長年、ブレナン(エミリー・デシャネル)とブース(デビッド・ボレアナズ)の恋の行方をヤキモキしながら見守ってきたファンにとって、フロリダののどかな港町を舞台に男性コンビを軸に展開する『ザ・ファインダー』は物足りないものとなったようだ。

また、TV Guideは「もしかすると原作をそのまま素直にドラマ化していれば、成功したかもしれない」ともコメント。『BONES』と『ザ・ファインダー』は、どちらも小説をドラマ化した作品だが、原作者が異なるまったく別の物語。それをクリエイターのハート・ハンソンが、ウォルターをブースのイラク時代の元戦友として『BONES』に登場させてスピンオフに仕立てたのだ。単独ドラマになり得る作品を、わざわざスピンオフにしたのはいいが、『BONES』ファンの心をくすぐるような筋書もなく、かえって逆効果となってしまったのかもしれない。そもそもこの企画は、主演のエミリー・デシャネルの産休中の場つなぎ的なドラマとして製作。スピンオフにして、本家がお休み中でも、シリーズを忘れさせないための苦肉の策だった。確かにスピンオフではなく、新しいシリーズとして立ち上げていれば......と考えると非常に惜しい。

そんなわけで、『ザ・ファインダー』は本家が戻ってくるとそのままお役御免。シーズン1の13話のみであえなく終了となった。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ザ・ファインダー 千里眼を持つ男』
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