第88回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、作品賞・脚本賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』は、カトリック教会の神父による児童への性的虐待を追った新聞記者たちの姿を描いた真実の物語。その重厚なテーマに加えて、全米映画俳優組合賞(SAG賞)でキャスト賞を獲得するなど、マーク・ラファロ(『アベンジャーズ』)、マイケル・キートン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)、リーヴ・シュレイバー(『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』)ら豪華実力派キャストが織りなすアンサンブル演技も見どころの一つだ。そんな出演者の一人であり、アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされたレイチェル・マクアダムスが来日し、今月14日(木)に記者会見を行った。
【関連記事】「あなたの知らないアカデミー賞へ!」放送後記 Vol.2 リアリズムに徹した『スポットライト』が輝いた夜
真実を追ったボストン・グローブ紙の《スポットライト》チームの紅一点、サーシャ・ファイファーに扮したレイチェル。この役を通してジャーナリズムについてどんなことを学んだかを聞かれると、「一筋縄ではいかないこと、それと同時に素晴らしい仕事であることを学んだわ。この作品によって、影のヒーローである彼らにスポットライトが当たることになって良かった」とコメント。続けて、「長期にわたる調査報道の場合、記者は自分の進んでいる道が正しいと信じて進んでいかなければならないの。最終的に彼らの努力が実り、真実を見つけられたことは素晴らしいわ」と、困難な状況にもかかわらず真実にたどり着いたチームの功績を称えた。
また、これまで数々のハリウッド作品で活躍してきたレイチェルにとっても本作の出演陣の豪華さは格別だったようで、「キャストは、これまでに出演した作品の中でも最高だと思う」と口にしている。そんな共演者から学んだこととして、「出演者の中のお笑い担当はマーク・ラファロだったんだけど、彼からは、こういうシリアスな作品でも現場では楽しんでいいんだと教わったわ」とのこと。マークも《スポットライト》チームの一人を演じ、レイチェルと同じくアカデミー賞にノミネートされていた。
実はこの作品に影響されて同じような経験をした人たちが記者に話をする例も出てきているそうで、「声なき者に声を与えることができて良かった」と、人々に与えた影響の大きさを誇ったレイチェル。「これは一生に一度の仕事だったと思う。でも、できることなら、もう一度こういう経験をしたいわね」と貴重な経験だったことをふり返った。
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロンが着任する。マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手掛ける4人の記者たち。デスクのウォルター・"ロビー"・ロビンソンをリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士への地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯しているおぞましい実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探り当てる。やがて9.11同時多発テロ発生による一時中断を余儀なくされながらも、チームは一丸となって教会の罪を暴くために闘い続けるのだった...。
ピューリッツァー賞に輝いた真実の物語を映画化した『スポットライト 世紀のスクープ』は、本日4月15日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)
Photo:レイチェル・マクアダムス