『殺人を無罪にする方法』の男性同士のベッドシーン検閲で騒動勃発

米ABCのリーガルサスペンスドラマ『殺人を無罪にする方法』の中で描かれた男性同士のベッドシーンに対するイタリア放送局の対応をめぐり、トラブルが起きていたことが明らかになった。米Varietyなど複数のメディアが報じている。

事の発端は、イタリアの公共放送局Raiが本作を放送する際、コナー(ジャック・ファラヒー)と恋人オリバー(コンラッド・リカモラ)のベッドシーンをカットしたこと。イタリア国内の他チャンネルですでに未編集のバージョンが放送されていたため、男性同士のラブシーンが意図的に削除されたことに気づいた同国の視聴者の間でSNSを通じて急速に抗議が広まり、ショーランナーであるピーター・ノーウォークの耳にまで届くことに。作品が知らないところで編集されていたことを知ったノーウォークは、「ショックだし、失望した」と、そのシーンを見ることができなかったファンのために完全版の動画をTwitterに投稿。その後、Raiがオリジナルバージョンを放送し直すと、ノーウォークは「良い知らせだ。今回行動を起こしてくれたみんなのおかげだよ」と綴っている。

製作総指揮のションダ・ライムズは「どんな愛に対しても検閲は許しがたい」と、Raiが同性愛者のラブシーンを避けたことに対する怒りをツイート。コナー役のジャックも「イタリアの視聴者はこのような現実を受け入れる準備ができていないとでも言うのか?」と同局の行動を疑問視した。

また、同性愛者の権利活動を行っているマリオ・ミエーリさんは、「Raiは、男性同士のラブシーンはカットしましたが、異性カップルについては何も手を加えていません。長年待たされた末に、イタリアという、ようやく同性愛に対して最低限の権利を認めた国では、TVという公共サービスが同性愛を否定し排除しようとする検閲を行っているのです」と、問題改善を訴えている。

カトリック教会の総本山、バチカン市国のお膝元であるイタリアでは、宗教的な障害もあり、同性愛を法的に認知することに西欧主要国の中で最も遅れを取っていた。今年5月、ようやく同性愛カップルに対して結婚と同等の権利を認める法律が成立している。(海外ドラマNAVI)

Photo:『殺人を無罪にする方法』
(C)2015 ABC Studios