世界中で記録的なヒットを飛ばしている大河ファンタジー『ゲーム・オブ・スローンズ』。ジョージ・R・R・マーティンが20年以上にわたり書き続けているベストセラー小説シリーズ「氷と炎の歌」を映像化した本作は、その重厚で壮大な世界観が多くの人々を夢中にさせ、シーズンを重ねるごとにより多くの視聴者を獲得してきた。完結まで残り2シーズンに迫り、日本でもスターチャンネルにて今年も7月17日(祝・月)より日本最速<日米完全同時放送>となるほど注目を集めているこの第七章以降は、これまで以上にドラマチックな展開が待ち受けているはず。
そのためメディアやファンの間では数々の諸説が上がっているが、果たしてそのうちどれが当たるのだろうか? そんな諸説のいくつかについて、『ゲーム・オブ・スローンズ』を愛する書き手二人に、実現の可能性とそう思う根拠を、個人的な願望も含めて論じてもらった。
※本記事は、第六章までのネタばれ、第七章以降の内容を示唆する記述を含みますのでご注意ください
<書き手>
園芸二(本放送のあと、気に入った場面を見返し、原作小説を読んで違いを確認するのが楽しみ。未刊の原作早く出して!)
TSURU(同シリーズを10回以上見るほど中毒。同稿執筆にあたって過去6シーズンをイッキ見したけど、やっぱり面白すぎる!)
〔説1〕ジョン・スノウとデナーリスが結婚する
園:印象的な人物が大勢登場する本作だが、これまでの展開で、要となる人物が浮き彫りになってきた。それは、ジョン・スノウとデナーリス・ターガリエンの二人だ。「北の王」と「ドラゴンの王女」という好対照をなす二人は、「氷と炎の歌」という原作のシリーズタイトルに象徴される存在だと思う。来たる第七章は、鉄の玉座に座ったサーセイの暴虐と、〈壁〉の向こうから襲いくるホワイト・ウォーカーの軍勢を食い止めるため、この二人が力を合わせる展開になるに違いない。ただ、考えてみれば二人は甥と叔母の関係なので、恋に落ちるというのは想像を膨らませすぎか。とはいえ、政略としての結婚ならあるかもしれない。
【五分五分】
TSURU:鉄の玉座奪還を狙う王女デナーリスと、寡黙な北の王ジョン・スノウが結婚!という展開を希望しているファンは多いはず。ただ、ジョン・スノウの父親はレイガー・ターガリエン(デナーリスのお兄さん)のはずで、ならば二人は叔母と甥の関係。普通のドラマなら、叔母と甥の結婚は無い!!となるけど、このドラマでは近親相姦の前例があるし、それにジョンの父親はレイガーと決まったわけではなくロバート・バラシオンが父親の可能性も一応残されている。そうなればジョンが正当な王位継承者ということで、デナーリスと恋に落ちて結婚して力を合わせてホワイト・ウォーカーを倒すのも問題なし! 夢がある展開に期待したい。
【支持する】
〔説2〕サンサが完全にダークサイドへと堕ち、命を落とす
園:本作の物語全体を通して、サンサ以上に大きな変化を遂げた登場人物はいないのではないだろうか。最初は世間知らずでわがままな子だと思っていたが、父ネッドが斬首刑に処され、キングズ・ランディングで囚われの身となり、権力者たちの虐待を受ける中で、傷つきながらも見違えるほど強い人間へと成長していった。たしかに、北の支配は難しく、リトルフィンガーにジョン・スノウを裏切るようそそのかされるかもしれない。ラムジー・ボルトンから受けた仕打ちは、彼女の心に闇を落としているだろう。しかしこれからは、妹のアリアや弟のブランと再会を果たし、ウィンターフェルの再生に取り掛かるだろうし、そうなってほしい。アリアがリトルフィンガーを始末してくれたらいいのだが。
【支持しない】
TSURU:物語開始時のサンサは13歳。その頃はジョフリーに初対面で胸キュン! 王子様と結ばれることを夢見る可愛いお嬢様だった。しかし父ネッドの処刑で人生が一変。ジョフリーにいじめられ、暗殺におびえながら生き延びるが、第三章では母と兄をまたしてもラニスター家の策略で殺害され絶望の淵に追いやられる。そして必死の思いで王都を逃げ出すことに成功したと思ったら、今度は叔母(母キャサリンの妹)に嫉妬から殺されかける! もう、不幸の連鎖だよね。可哀そう...。過酷な状況で成長し、ジョン・スノウとついに再会を果たしてボルトン家との闘いで逆転勝利を収め、憎いラムジーに復讐を果たした。そんな彼女の表情には不気味な薄ら笑いが...! ここで覚醒したサンサはダークサイドへ堕ち、最終的に父や母の後を追うことになるのではないか。
【支持する】
〔説3〕ホワイト・ウォーカーをブランが連れてきてしまう
園:〈壁〉の向こうにいるブランは、第六章の第5話で遥か大昔のビジョンを体験し、ホワイト・ウォーカーの誕生を目撃した。その時、ホワイト・ウォーカーの長である"夜の王"に腕を触れられたが、これは今後に向けての大きな伏線になるに違いない。ブランは間もなく、〈壁〉を再び越えてウェスタロスに戻ろうとするだろう。そして図らずも、〈壁〉に仕込まれた魔法をくぐり抜け、ウェスタロスに侵攻する手段をホワイト・ウォーカーに与えてしまうのではないか。
【支持する】
TSURU:ブランが「奴はお前の元に来る、もう防げぬ。印を刻まれた」と三つ目の鴉に言われたシーンから連想すると、ブランがホワイト・ウォーカーを連れてくるとなる。ただ、第一章の話だけど、ブランが寝たきりでお留守番をしている時に、枕もとで昔話をしている老婆はホーダーのひいおばあちゃん(ホーダーが引きつけで倒れた時に駆けつけた女性)。この時の昔話(第一章3話)が今につながっている気がするの。「鴉は嘘つきだから信じちゃいけない。太陽が上らない暗黒の夜が続き、ホワイト・ウォーカーが現れ国を荒らした」って、現在への布石? そんなブランは過去へ飛べる力を持っているけど、ウィンターフェルと〈壁〉を創った建設王ブランドンの子孫がスターク家で、ブランの本当の名前はブランドンということは、壁を創ったブランドン王と同一人物!? もう、ぐるぐる話が回りすぎて何が最初で最後なのかわからない~。
【五分五分】
〔説4〕サーセイをジェイミーが殺す
園:禁断の愛で結ばれた双子のサーセイを、ジェイミーが殺すなんてことが、本当にあるのかと思われるかもしれないが、有力な説だ。その一つの根拠となっているのは、第五章の第1話「紅の女」で、マギーという名の魔女が、少女時代のサーセイに強要されて未来を占う場面。「王と結婚する」「3人の子どもが生まれ、全て死ぬ」といった占いは、その後の展開を見ればわかるように全て的中した。そして原作小説では、さらに「弟に絞め殺される」とマギーは告げている。普通なら「弟」とはティリオンのことだと解釈するところだが、本当はサーセイの双子の弟であるジェイミーを指しているのかもしれない。事実、第六章の最終話で鉄の玉座に座ったサーセイを見て、ジェイミーは喜びよりも、むしろ疑念を感じていたようだし、ジェイミーにはすでに王を手にかけた過去がある。サーセイをどんなに愛していても、その暴虐を目の当たりにし、なおかつ彼が気にかけるブライエニーの命も危なくなったら、サーセイを殺す決断をするかもしれない。
【支持する】
TSURU:マギーの占い(予言)はここまで的中しているし、サーセイ本人も信じているけど、問題の予言はドラマの中では伝えてないよね。原作の予言だと、「And when your tears have drowned you, the valonqar shall wrap his hands about your pale white throat and choke the life from you.(悲しみに溺れた時、弟の手が首を覆いあなたの命を奪う)」とあって、素直に読むなら、ジェイミーが殺されてサーセイが悲しみに溺れている時、ティリオンに殺されるってことかな。だけど、それだとあまりに素直すぎなので、ジェイミーはティリオンに殺されて、悲報に嘆き悲しむサーセイにアリアがジェイミーに化けて近づき抱擁した時に殺される(外見はジェイミーでも中はアリア)というストーリーはどうかしら?
【支持する】
〔説5〕ティリオンの父親は"狂王"である
園:第六章では、ジョン・スノウがターガリエンの血を受け継ぐことがついに明かされた。もしかしたらティリオンもそうかもしれない。"狂王"と呼ばれたエイリス・ターガリエンは、タイウィン・ラニスターの妻と関係を持ち、その結果ティリオンが生まれたとしたらどうだろう。タイウィンがティリオンにひどい仕打ちを与えてきた本当の理由は、それだったのかもしれない。ボウガンでティリオンに射殺される直前、最後の最後に「お前は私の子ではない」とタイウィンが言い放ったのは、文字通りの意味だったのかも。そう考えると、デナーリスがティリオンに信頼を寄せるのも、無意識に血の繋がりを感じたからだと説明できる。あと個人的に、デナーリスとジョン、そしてティリオンが、ドラゴンの乗り手となる絵面を見てみたい気もする。
【支持する】
TSURU:第四章でタイウィンが口にした最期の言葉は、本当に殺されると思ったのでつい本当のことを話してしまったのか、それともいつもの嫌がらせか。それ自体は判断がしにくいけど、ティリオンがターガリエンの血筋だと思わせる決定的シーンがある。第六章でティリオンが地下牢に閉じ込められているドラゴンの首から鎖を外す時に、ドラゴンは火を吐いて攻撃しようとするけど最後は首を下げておとなしくなるよね。ってことは本当にドラゴン使い? でも、それだとターガリエンの人間が増えすぎで面白くないので、やっぱりティリオンはラニスター家の血筋で、ただしデナーリスの協力者となって実の姉・兄と戦うというストーリーも見てみたい。
【五分五分】
〔説6〕ジョン・スノウこそ、「光の王(アゾル・アハイ)」である
園:"紅の女"と呼ばれるメリサンドルは、迫りくる闇の勢力と戦う「光の王」を信仰している。そして、鉄の玉座を狙うスタニス・バラシオンこそが光の王だと解釈し、彼の助言者として仕えていた。結局、その解釈は間違っていたわけだが、予言そのものが誤りとは限らない。では、本当は誰なのか? 第六章の第5話「扉」で、ティリオンは紅の女祭司キンヴァラから、デナーリスは光の王だと告げられている。しかし、デナーリスと同じくドラゴンの血を受け継ぎ、ホワイト・ウォーカーとの戦いの前線に立つであろうジョン・スノウも、有力な候補と言えそうだ。
【五分五分】
TSURU:メリサンドルの話だと「光の王」は炎を司る者として現世に顕現するものらしく、ターガリエンと関係していることは間違いない。紅の女祭司キンヴァラの告知通り、貫禄も出てきたデナーリスが「光の王」と素直に信じていいの? この作品でそんなに簡単に答えを与えてくれるの? 一応、ジョン・スノウとティリオンも"狂王"の血縁の可能性は残っているけど、ティリオンは王のイメージとは違う(個人的な意見です)し、心優しく人を斬ることを躊躇するジョン・スノウもイメージから遠いよね。そうなると、第六章の予言通りになってしまうけど、犠牲も仕方ないと割り切って人を殺すデナーリスがやっぱり「光の王」の最有力か。
【支持しない】
〔説7〕ジェンドリーが戻ってくる
園:ロバート王の落とし子であり、アリアと旅を共にした武具師のジェンドリー。ドラゴンストーン城で囚われの身となった彼は、第三章の最終話でダヴォス・シーワースに助けられ、舟を漕いで脱出した。以後の消息は定かではないのだが、同役を演じるジョー・デンプシーが、第七章を撮影していたスペインの撮影現場にいたことが伝えられ、再登場の可能性が噂されている。実際これまでにも、第一章で姿を消し、大半の視聴者がその存在を忘れていたに違いないベンジェン・スタークが、第六章で久々に再登場したという前例もある。きっとジェンドリーも姿を現し、アリアとの再会を果たすのだろう。ことによったらジョン・スノウのもとに仕えて、ホワイト・ウォーカーに対抗する素晴らしい武具を造ってくれるかもしれない。
【支持する】
TSURU:ジェンドリーはロバートの落とし子だから、バラシオン家の血を受け継ぐたった一人の生き残り。このまま再登場しないのはちょっと不自然だろう。鍛冶屋で働いていて武器を作れるので、ヴァリリア銅かドラゴングラスで武器を作って、アリアと共に"夜の王"との闘いに戻ってくるのでは?と予想したい。
【支持する】
〔説8〕ホーダーがよみがえる
園:ブランとミーラが逃げる時間を稼ぐため、ホワイト・ウォーカーの餌食となってしまったホーダー。しかし、来たる第七章のプロモーション映像で一瞬だけ姿を見せたことから、再登場の可能性が濃厚になっている。とはいえ、ホワイト・ウォーカーとしてよみがえらせるのはあまりに不憫だし、前章における最期のインパクトも薄れてしまいそうだ。同役を演じるクリスチャン・ナイアンも、「ホーダーのゾンビ化」には否定的なコメントを出している。むしろ、過去にタイムスリップしたブランのビジョンの中に出てくるのが自然ではないだろうか。
【支持しない】
TSURU:ホーダーの過去が明かされた今、身を挺して扉を守った彼をホワイト・ウォーカーにするのはあまりにもむごい。ブランが過去へ飛べるようになって、誰でもよみがえらせることができれば、ホーダーも救えるよね。とはいえ、さらに違う過去で死んだ両親を救ったり、自分も塔から落とされて半身不随になる前に救うことができるようになると、すべてをブランが創り出すことになって面白くないのでこの展開はNG。ホーダーのことをもう見れないとしたら寂しいが、あの優しいキャラのままでいてほしい。
【支持しない】
〔説9〕リトルフィンガーが鉄の玉座に座る
園:いつも陰でこそこそ何かを企んでいるリトルフィンガーの本当の野望は、ウェスタロスに君臨することだった。その暁にはサンサを自分に嫁がせて王妃にしたいと思っているようだが、彼女がジョン・スノウを裏切る可能性はなさそう。となれば、リトルフィンガーはサンサをあきらめ、騎士たちを引き連れてサーセイの元に行くのではないだろうか。サーセイとしても、デナーリスの軍勢とドラゴンに対抗する力を必要としているから、願ったり叶ったりのはず。リトルフィンガーとサーセイの結婚により、北の王ジョン・スノウは、深刻な脅威に悩まされることになるだろう。
【支持する】
TSURU:リトルフィンガーは、裏で人を操り悪事を働く悪い奴だけど、一見すると忠誠心のあるいい人顔。ネッド・スタークや、キャトリンとロブが殺されるきっかけを作ったほか、"王の手"だったジョン・アリンとジョフリーの毒殺にも絡んでる。「信頼してくれ」「神に誓う」と言いながら裏切るところは真の悪党だ。サンサに執着するのは母キャトリンの面影を見てるかららしいけど、本当にサンサを愛してるとは思えないから、北部を手に入れるために利用しようと企んでる感じかな。陰謀に長けてはいるけど、玉座に座るほどの大物ではないだろう。
【支持しない】
当たるも八卦、当たらぬも八卦というが、果たしてここで展開された内容で実現するものはあるだろうか? その答えは、スターチャンネルにて7月17日(祝・月)より日本最速<日米完全同時放送>となる『ゲーム・オブ・スローンズ 第七章:氷と炎の歌』で確かめてほしい。ただ、同時放送を見逃してしまった場合もご心配なく。加入者無料の「スターチャンネル オンデマンド」で日本最速配信されるので、もう一度見直したい人もそちらを活用しよう。この「スターチャンネル オンデマンド」では、新シーズンに先駆けてこれまでの全6章(60話)を配信中なので、過去シリーズを見直して復習しておくのもいいだろう。
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Photo:『ゲーム・オブ・スローンズ』
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