『セブン・シスターズ』"ただの悪女にはしない"名女優グレン・クローズの覚悟とは

世界的な人口過多と飢饉による食糧不足から、厳格な一人っ子政策が敷かれた近未来を舞台に描かれるSFアクションスリラー『セブン・シスターズ』。10月21日(土)より公開となる本作で過激な思想で世界の秩序を保とうとする政治家を演じるグレン・クローズ(『ダメージ』)のコメントと新場面写真が解禁となった。

地球の資源が枯渇する一方で、遺伝子組み換え作物が人体に与える影響で多生児が増え、人口抑制を余儀なくされた2073年の欧州連邦。そこでは厳格な「一人っ子政策」が敷かれている。そんな中、一卵性7つ子姉妹が誕生する。彼女たちはそれぞれ月曜日から日曜日までの名前を持ち、7人で1人の人格をシェアすることで、政府の目を欺きながら生き延びてきた。そんな彼女たちの生活が、姉妹の一人が失踪することにより一変する――。

7つ子の存在に目を光らせる強敵は、グレン演じるニコレット・ケイマン。彼女は政府で長官を務め"1家族につき1子まで、二人目以降は冷凍保存する"という厳格な一人っ子政策を強行している。その一方で、飢餓で兄弟姉妹が死んでいくのをなす術もなく見守っていたという暗い過去を持つ女性でもある。

そんなケイマンについてグレンは「幼いときにひどいトラウマを受けた女性」と語る。「食糧難の時代に飢えた家族は、ケイマンだけは生き残るべきだと決めたのよ。その心理的負担こそが彼女のトラウマとなっていて、未来の子どもたち、つまり未来の世代のために地球を救わなければ、と強く思い込んでいるの」

撮影に入る前から、グレンはケイマンの人物像をつくりあげるのに打ち込んだ。本作でケイマンを古典的な悪役にはしたくなかったという気持ちをこう説明する。「ただの悪役はひどく退屈だと思ったのよ。悪魔のクルエラ・ド・ヴィル(『101』に登場する悪女)を演じたからには、クルエラよりひどい悪女は演じられないわ。私はどうして彼女があのような行動をとったのかに興味があったの。ケイマンは最悪の場所にいる。世界を人が住める場所にするためには、人口を減らさなければいけない。人々が責任ある行動をとらないとき、それをどう実現すればよいのかしら。映画のなかでこう言うシーンがあるわ。『私たちはまだこの惑星で生き残るのに優れた頭脳を使っていない。地球や人類を維持していく術を学んでいない。頭を使っていたなら、とっくに思いついていたはずよ』。世界はすでに人口過剰を規制しなければならない段階に達したと見ているのよ」

一人で7役を演じ分けるノオミ・ラパス(『ミレニアム』シリーズ)だけでなく、『ダメージ』での優秀な女弁護士役とは一転、その野心と社会的地位から自身の思想に溺れてゆく女性をパワフルに演じるグレンの演技にも注目して欲しい。『セブン・シスターズ』は10月21日(土)より新宿シネマカリテほか、全国順次公開。(海外ドラマNAVI)

Photo:『セブン・シスターズ』
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