あのアクション映画のリブート版からスピンオフまで...。米TV Lineが選ぶシリーズ化されなかった新作ドラマ6選

年始から初夏にかけて、米国のドラマ界はパイロットシーズン。新たなヒット作を産むため、まずはお試しとなる新作ドラマの"パイロット版"が各局で放送される。脚本を書き、キャスティングをし、製作に入り、撮影をして、編集をする。そうして手塩にかけて世に送り出した作品が、見事視聴者の心をつかむことができた時、そこでようやくシリーズ化が決まるのだ。しかし、裏を返せばパイロット版である程度の評価を得ることができなければそこで終了...。長い時間かけて企画しても、たった一話で終わりになってしまう。今回は、今年のパイロットシーズンで残念ながらピックアップされなかった6作品を米TV Lineが紹介している。

『Get Christie Love(原題)』(『女刑事クリスティー』リブート版)

1970年代に放送されたクライムアクションシリーズ『女刑事クリスティー』のリブート版で、『ピッチ 彼女のメジャーリーグ』のカイリー・バンバリーがエリート部隊を率いるCIAエージェントの主人公を演じた。ハリウッドを代表する人気俳優ヴィン・ディーゼル(『ワイルド・スピード』)が製作総指揮に名を連ね、『POWER/パワー』を手がけたコートニー・ケンプ・アグボーがショーランナーと脚本を担った注目作だったが、米ABC局のお眼鏡にはかなわず...

『ミックステープ:伝えられずにいたこと』

本作は"自分を代弁する音楽"をテーマに、現代のロサンゼルスを舞台にしたミュージカルドラマ。様々なタイプが集まったグループを描いた群像劇だ。主な出演者はジェナ・ディーワン・テイタム(『SUPERGIRL/スーパーガール』)、マデリーン・ストー(『リベンジ』)、キャリー・ヘルナンデス(『ラ・ラ・ランド』)。クリエイターのジョシュア・サフラン(『ゴシップガール』『クワンティコ』)はツイッターで、「『Mixtape』をわかってくれている人なら、このドラマが(米)FOXには向いていなかったこともわかるだろう。願っていれば、どこか他のホームが見つかるはずだ」と別の局での続投を望んでいることを明かしている

『Cagney & Lacey(原題)』(『女刑事キャグニー&レイシー』リブート版)

オリジナルはタイン・デイリー(『スパイダーマン:ホームカミング』)とシャロン・グレス(『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』)が主演を務め、1980年代に放送されたクライムドラマ『女刑事キャグニー&レイシー』。リブート版となる本作では、『グレイズ・アナトミー』のエイプリル役で知られるサラ・ドリューと、『HAWAII FIVE-0』やNetflixのマーベルドラマなど数々の人気作に出演するミシェル・ハードがタイトルロールを演じ、舞台もニューヨークからロサンゼルスへと移った。また、大ヒットアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズなどで活躍するヴィング・レイムスも出演したが、米CBSの判断で残念ながら打ち切りに。

『LA's FINEST/ロサンゼルス捜査官』(映画『バッドボーイズ』のドラマ化)

ウィル・スミス&マーティン・ローレンスのコンビで、1995年に公開され大ヒットを飛ばしたアクションコメディ映画『バッドボーイズ』のドラマ版。ジェシカ・アルバ(『シン・シティ』)が主演で、映画版の第2弾『バッドボーイズ2バッド』に出演していた、ガブリエル・ユニオンが演じるシドニー・バーネットの相棒となるロサンゼルス警察の刑事ナンシー・マッケンナを演じた。製作総指揮は映画版2本でプロデューサーを務めたジェリー・ブラッカイマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』『CSI:科学捜査班』)。米Hollywood Reporterによれば、本作を製作したSony TVと放送局の米NBCとの交渉が決裂したためにシリーズ化されなかったという。本企画は、現在他局にて継続する可能性を模索中。(※6月26日時点、米ケーブルテレビ運営会社のチャーター・コミュニケーションズによりシリーズ化されることが明らかになった。米Spectrumにて2019年に放送予定)

『The Greatest American Hero(原題)』(『アメリカン・ヒーロー』リブート版)

1981年から3シーズンにわたり放送されたオリジナル版は、たまたまUFOと遭遇した主人公が、着れば特殊能力を得られるスーパースーツを与えられ、世の正義を守るために悪と戦う任務を与えられる...というストーリー。ABCが企画したリブート版では主人公がインド系の女性に変更され、『New Girl 〜ダサかわ女子と三銃士』のシシ役で知られるハンナ・シモーヌが主演に抜擢された。しかし、5月11日にハンナはツイッターを更新し(現在は削除されている)、「放送局は、TV初となるインド系女性のスーパーヒーローを迎える準備が整っていなかった。このドラマは歴史を作り、世界中の若い女の子にパワーを与えるはずだったわ」と明かしていた。

『Wayward Sisters』(『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』スピンオフ)

米CWの人気超常現象アクションドラマ『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』のスピンオフとして製作された本作。タフで強い女性キャラの保安官ジョディ・ミルズ(キム・ローズ)を中心に、女性たちの活躍を描くことを目指していた。本家でショーランナーを務め、本作では共同脚本を務めたアンドリュー・ダブは、シリーズ化に至らなかったことをツイッターで発表した際、「僕たちはこれらのキャラクターが大好きで、このドラマを実現させるために約2年費やしました。しかし、時に勝てない戦いもあるのです」と綴っていた。

(海外ドラマNAVI)

Photo:ヴィン・ディーゼル (C)NYKC マデリーン・ストー(C)Phil Roach/FAMOUS ハンナ・シモーヌ(C)NYKC/FAMOUS