Netflix『ブル~ス一家は大暴走!』シーズン5、前シーズンの迷走を克服!

2003年からアメリカで愛されているコメディ・ドラマ『ブル~ス一家は大暴走!』。家族ぐるみで経営するビジネスをめぐり、ブルース家の個性豊かなキャラクターたちがドタバタ喜劇を繰り広げる。エミー賞を受賞したシリーズの最新版が5月下旬、Netflixに登場。前シーズンの迷走を糧に軌道修正を施した今作は、ホーム・コメディー好きなら必見だ。

■お金持ち一家、おバカな出来事に振り回される
15年ほど前から米Foxで放映されていたオリジナル・シリーズは、コメディ・ドラマの金字塔。力が抜けるほど馬鹿馬鹿しく、かつ入念に設計されたプロットが、金持ちのブルース一家を次々と襲う。その後も続編が製作され、2013年にはシーズン4としてNetflixでリバイバルを果たした。

今年5月に配信されたシーズン5では、お馴染みの顔ぶれが再び登場。前作から5年が経ちキャストも歳を重ねているが、前シーズンの直後という設定になっており、懐かしい空間に一気に感覚を戻してくれる。行方の知れないルーシー(ライザ・ミネリ)の捜査に巻き込まれるマイケル(ジェイソン・ベイトマン)はじめ、国会選挙に出馬するリンジー(ポーシャ・デ・ロッシ)、ピンクの口髭がご自慢のトバイアス(デヴィッド・クロス)たちとの再会を楽しむことができる。

■キャスト勢ぞろいで安心の展開
5年前にNetflixで公開されたシーズン4はリバイバルとして期待されていただけに、その出来に失望を隠せないファンも多かった。今シーズンではその失敗を受け止め、再び笑いを振りまくための工夫が凝らされている。

主要キャストが撮影に勢ぞろいしたのはその象徴。米New York Times紙(以下NYT)は、すっかり売れっ子になってしまった出演陣が十分な撮影スケジュールを切ることができなかったというシーズン4の裏話を明かしている。そのため、クリエイターのミッチェル・フルビッツは当時、個々のキャラクターを中心にエピソードを構成し、話の時間軸をあちこちに飛ばして乗り切るという荒技を生み出した。これは「折り紙のように(複雑に)折り込まれたシーズン4」という結果を招くことになる。

複雑すぎる構成は、Netflixの視聴者の行動を読み違えた結果でもあった。当時はまだストリーミング・サービスの黎明期であり、Hollywood Reporter誌が報じるところによると、製作側は視聴者がランダムな順序で各話を視聴するという誤った想定をしていた。まとまりのない構成を招いたもう一つの原因だ。今日ではもちろんこのような誤解はなく、シーズン5は一定の順序で見て成立するよう、ストーリー性を重視した形に変更されている。

■シリーズものの宿命を乗り越え...
『ブル~ス一家は大暴走!』はコメディ・ドラマとして長年愛されているだけに、長期シリーズの宿命ともいうべき症状に悩まされてきた。NYT紙は、ノスタルジーがシリーズものの可能性を限定してしまうと指摘。過去に放映した内容の再構成に捕らわれてしまい、今シーズンが新しい展開の開拓に踏み出していない点はマイナスだとしている。

ほかにもHollywood Reporter誌が述べているように、これまでのストーリーの紹介に時間を費やしがちな点も気になる。ただし3話までには完了するため、特に5話以降に訪れるコメディ番組としてのピークに期待。

さらに人気シリーズならではの重荷として、評判の良かったオリジナル・シリーズに恥じない笑いをもたらせるかというプレッシャーにも晒されている。米Varietyは本作に出演するジェフリー・タンバーのセクハラ疑惑に触れ、それゆえに今回のシーズンにはさらに厳しい視線が向けられるのではと指摘する。

とはいえ、決して悪い報せばかりではない。画面に帰ってきた笑いともに、ティーンエイジャーから大人に近づいたジョージ(マイケル・セラ)など、少しずつ成長を遂げるキャラクターとの再会を楽しみたい。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ブル~ス一家は大暴走!』ジェフリー・タンバー、ジェイソン・ベイトマン、ジェシカ・ウォルター、ウィル・アーネット
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