二人の娘を持つ父がヒーロー・スーツを身にまとう『ブラックライトニング』。屈強な肉体を持つ父ジェファーソン(クレス・ウィリアムズ)の活躍に加え、父を補佐する娘たちの精神的な成長も見どころ。米CWで今年1月から放送されたシーズン1に続き、早くも新シーズンが10月から登場。
■昼は校長、夜はヒーロー
高校の校長であるジェファーソンは、元オリンピックの金メダリスト。愛する街を守るため、その強靭な肉体を活かしたスーパーヒーロー"ブラックライトニング"として密かに活動している。電撃を自在に操る能力が彼の強み。心強い相棒は、同じ高校で臨時講師を務めている長女アニッサ(ナフェッサ・ウィリアムズ)。息を止めている間は体内組織の密度を高め、あらゆる衝撃に耐えれる肉体になれる。"サンダー"として父の活動を補佐するのが彼女の務めだ。じゃじゃ馬の次女ジェニファー(チャイナ・アン・マクレーン)にも、体内で電流を生成する能力が。今は頼りないものの、いずれは父よりも優れたヒーローになる可能性を秘めている。
昨シーズンではある惨事が高校を襲ったが、ブラックライトニングとして生徒たちを守っていたジェファーソンだが、なぜ校長なのに現場にいなかったのかと委員会に詰問されることに。安全が確保されるまで高校は閉鎖されてしまう。今シーズンでは、彼らの街に、冷酷無慈悲な"100"のリーダー、トビアス(マーヴィン・クロンドン・ジョーンズ3世)がさらに激しい攻撃を仕掛ける。
■父を超えろ! 娘たちの活躍
主人公のブラックライトニングよりも、シーズン2ではその娘たちの活躍がむしろ興味を惹く、と米Salon。長女アニッサはサンダーとして華々しく活躍しているが、力を使えば使うほど問題を引き起こすことに悩んでいる。ストーリー上の中核的な役割を彼女が担っていると、Salonは彼女の葛藤に注目している。次女のジェニファーもまた、自身に眠る特殊能力を自覚しつつあり、行く末が気になる存在だ。娘たちのヒーローとしての成長は、ストーリー上重要な鍵となりそうだ。
彼女たちの活躍には、米Entertainment Weeklyも注目。サンダーとして活動するアニッサは、ASAと呼ばれる組織の存在を知る。彼らの実験棟に幽閉された人々は、グリーンライトという麻薬を投与され、スーパーパワーに関する人体実験の犠牲者になっている。家族との面会も禁じられているという酷い扱いにアニッサは激怒するが、ASAは政府管轄の組織。父ジェファーソンは、被害者たちの解放は容易ではないと諭す。それでもアニッサは何らかの手を打てると信じ、単身で街のドラッグ・ディーラーたちの元へ。自身の意思を貫くアニッサを、もっとも好感の持てるキャラクターだとEntertainment Weekly。
■よくあるヒーロー・ドラマに一捻り
主人公を超えつつある身内に加えて、本作には様々な独創的なアイデアが盛り込まれている。スーパーヒーローといえば世界規模の平和や大都市を守るのが通例だが、ブラックライトニングが守るのは地元の退廃的な街の治安。治安の悪い地域を守るスーパーヒーローという題材は、コミックにも映画作品にも珍しいと、Salonはそのユニークな設定を評価している。
設定だけでなく、ストーリーもユニークだ。警察との関係を取り上げるのはEntertainment Weekly。ある日ブラックライトニングは、警察幹部の秘密の会合に召喚される。何を咎められるのかと戦々恐々としながら赴くと、フリーランド署の副署長を務めるヘンダーソンから驚きの告白が。実は警察内部では、ブラックライトニングの正体がジェファーソンであることを突き止めたというのだ。ヘンダーソンとは旧知の仲であり、いずれにせよ正体が露見するのは時間の問題だった。警察を敵に回す必要がなくなったのは吉報だが、以前から親しかった2人の間には、何とも微妙な空気が流れることに。当局の目の敵にされるスーパーヒーローも多いなかで、プロットの意外性で驚かせてくれる作品だ。
『ブラックライトニング』シーズン2は、米CWで放送中。日本では最新シーズンも含めてNetflixで配信中。
(海外ドラマNAVI)
Photo:クレス・ウィリアムズ
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