『デッドプール』ファンおすすめ!無頼のアンチヒーロー集団が大暴れのDCドラマ『Doom Patrol』

非常事態でもイマイチやる気が出ないが、一度現場に立てば辺りは血の海に――。場違いなヒーローチームを描くウェブドラマ『Doom Patrol』は、バットマンの実質的なスピンオフにあたる『タイタンズ』からさらに派生したアンチヒーロー・アクション。2月中旬から米DC Universeで配信されている。

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♦︎豪邸に集められた能力者たち

元パイロットのラリー(マット・ボマー『ホワイトカラー』とマシュー・ズク『Miracle Workers(原題)』のダブルキャスト)は過去に遭遇した事故をきっかけに透明人間の姿に。吸収した熱エネルギーを飛行能力などほかのスーパーパワーに変換することができる「ネガティブマン」となった。彼は豪邸に呼ばれ、ヒーローチームの一員に任命される。メンバーは他に、機械の肉体に人間の脳を宿したクリフ(ブレンダン・フレイザー『ハムナプトラ』シリーズ)、体を柔軟に変形させるリタ(エイプリル・ボールビー『私はラブ・リーガル』)、64の人格が共存するカイ(ダイアン・ゲレロ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』)、そしてサイボーグのヴィクター(ジョイバン・ウェイド『ドクター・フー』)という個性的な面々。彼らは先端医学の研究者でありチームのリーダーでもあるチーフ(ティモシー・ダルトン『007/消されたライセンス』)によって集められたが、その裏には何やら陰謀の気配が。

チームに課せられた使命は、世界征服を目論むスーパーヴィラン「ミスター・ノーバディ」(アラン・テュディック『デッドプール2』)と闘うこと。異次元へと続く穴や怪物が街に現れようとも一向に動く気配のなかった彼らだが、結局気が進まないながらも現場に向かうことになる。バイオレンスあり、過激な罵倒あり、お色気シーンありと、大人向けに仕上がったアンチヒーロー・シリーズ。

♦︎バイオレンス全開!

本作『Doom Patrol』についてHollywood Reporter誌は、悪態と暴力が山盛りの作品だと紹介。アンチヒーローものらしさ全開のシリーズであり、本家『タイタンズ』のグロテスクさもしっかりと継承している。各自がヒーローになった経緯を描く冒頭数話こそ、ペースの遅さが若干気になるが、そんななかにも気の利いたセリフや、スマートな瞬間、そして意外な優しさを感じさせるシーンが点在する。大局的なストーリーを欠いていることを同誌は欠点に挙げているが、皮肉やメタ的な言及を含んだジョークなど、個々の仕掛けの面白さは抜群だ。

英雄像からは程遠いメンバーたちが、殺りくを繰り広げる本作。2016年のメガヒット映画『デッドプール』の影響が大きいのでは、とEntertainment Weekly誌は分析している。暴力的かつセクシー、そして罵詈雑言とメタ・ジョークに溢れる同作は、同時に奥深さと慈しみを秘めた内容で世界を虜にした。ヒーローではなく、人を殺すがヴィランでもないという不思議な本作のメンバーたちは、デッドプールのポジションとよく似た位置づけだ。哀れなスーパーヒーロー不適任者たちの物語、と同誌は表現している。車椅子のリーダーと変わり種のヒーローという組み合わせから、原作コミックは『X-MEN』と比較されることも。いずれにせよ、正統派ヒーローものへのアンチテーゼと言えるシリーズだ。

♦︎最高のパフォーマンス

動画配信サービスのみで提供されている本シリーズだが、既存のケーブル放送局の作品と比べても遜色がない出来、とRogerEbert.comは高く評価。同じくウェブドラマだった本編『タイタンズ』はときにチープさが目立つこともあったと厳しく指摘する同誌だが、本作は非常に個性の際立ったキャストも含め良質だと評価している。

女性陣二人の演技はとくに好評だ。二人は実写作品として最高のパフォーマンスを披露している、とHollywood Reporter誌。リタ役のエイプリルは、伸縮する不安定な身体で人生を送ってきた女性を、サバサバとしたトーンで好演。さらにカイ役のダイアンも、数十もある人格の一つひとつに個性を持たせるという難しい演技をこなしている。

個性派アンチヒーローたちの物語『Doom Patrol』は、米DC Universeで配信中。スピンオフ元の『タイタンズ』はNetflixで日本からも視聴可能。(海外ドラマNAVI)

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アラン・テュディック&マット・ボマー ©Kathy Hutchins, DFree / Shutterstock.com