【日本未上陸】『ウォーキング・デッド』ローレン・コーハン出演『Whiskey Cavalier』は、コメディ色が強いスパイドラマ

FBIとCIAの捜査官が同じチームに配属され、熾烈なナワバリ争いに発展。アクション・コメディ『Whiskey Cavalier(原題)』は、敵よりもむしろ味方に気が抜けないスパイドラマだ。両職員はピンチ脱出のために偽装カップルを演じることになるが、犬猿の仲の二人はどちらも主導権を譲らず...。2月24日にアカデミー賞の中継直後という絶好の放送枠でスタートした、米ABC肝煎りの新シリーズ。

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■信頼ゼロのスパイチーム誕生

FBI捜査官のウィル(スコット・フォーリー『スキャンダル 託された秘密』)は、フィアンセと破局したばかり。職場では敏腕エージェントを気取っているが、自宅のソファで泣き崩れていたことがなぜか上司にバレている。FBIの監視カメラが家に設置されていたと知らされて唖然とするが、上司は涼しい顔。

そんな彼に、タイムリミット48時間の急務が与えられる。アメリカの秘密を握るハッカーがロシア側に拉致されたため、彼をロンドンまで連れ出すというミッション。現地モスクワのバーで張り込んでいたウィルだが、客の女性に見惚れたのが運の尽き。実は彼女はCIAエージェントのフランキー(ローレン・コーハン『ウォーキング・デッド』)で、まんまとターゲットを横取りされる。しかしその後、フランキーも仲間に裏切られ、帰投のためのヘリが木っ端微塵に。

想定外の事態を前にウィルとフランキーは協力を迫られ、陸路でのハッカーの輸送を決意する。エージェントという身分を隠すため、二人はカップルに扮してロシア国境の検問を突破。だが、FBIとCIAの間に飛び散る火花は壮絶で...。敵にも味方にも気の抜けない、スリリングなアクション・コメディ。

■冴えないヒーローはいかが?

タイトルにもなっている"Whiskey Cavalier(ウィスキー紳士)"とは、主人公ウィルのコードネーム。アクションシーンが本格的であるため、一見ハードボイルドなスパイ作品にも感じられるが、コメディ色が強く、普通のスパイドラマとは毛色の違う楽しい作品と、米Varietyは述べている。

米Vultureは、緊迫シーンの合間には、独特のゆるいテンポがあると語る。主人公ウィルのキャラクター性が効いており、銃と火薬を熟知した一流エージェントを気取るものの、今ひとつキマらない。子どものような間の悪さと駆け引きの弱さが笑いを生む。フィアンセに捨てられ部屋で泣きじゃくった映像は、いつの間にかフランキーの手に渡り、しっかりと弱みを握られてしまう。ウィルを演じるスコットの内面から、愉快なムードがジワリ。CIAきっての冷血エージェントを演じるローレンとは抜群のマッチと、高評価を贈っている。

■ユーモアに軸足

スパイアクションと笑いを両立する本シリーズ。シチュエーション・コメディ『23号室の小悪魔』のデヴィッド・ヘミングソンが脚本を手掛け、エミー賞受賞のコメディ『scrubs ~恋のお騒がせ病棟』のビル・ローレンスがプロデュースする。おのずとドラマ性よりも笑いに主眼を置いた作品になっている、とVariety。互いに主導権を譲らない、FBIとCIAエージェントのスパイコンビ。絶え間ない減らず口と足の引っ張り合いのせいで、気の毒なほどの泥沼に転がり込むことになる。

今後の展開についてVultureは、二人の絶妙なコンビを活かしたドラマにしてほしいと期待する。最初の数話ではストーリーのひねりが目立ったが、極端などんでん返しを追求しすぎてもつまらない作品になり、GPSの発信器などスパイ作品でよく見るようなグッズが登場するが、それらに頼りすぎても平凡なドラマになってしまうので難しいところだと述べている。

クールだが垢抜けない、そんな主演スコットの持ち味に期待の『Whiskey Cavalier』は、米ABCで放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:

『Whiskey Cavalier』
(c) ABC/Larry D. Horricks