大人気ドラマ『ブレイキング・バッド』のスピンオフ版『ベター・コール・ソウル』。同作に出演中のガス・フリング役ジャンカルロ・エスポジートが、足を怪我した状態のまま撮影に挑んでいたことが分かった。米Hollywood Reporterが報じている。
『ベター・コール・ソウル』は、本家の主人公ウォルター・ホワイトの資金洗浄を手伝っていた悪徳弁護士ソウル・グッドマンを主役にした前日譚シリーズで、ボブ・オデンカークがオリジナルに続き続投、ジャンカルロのようにオリジナルに出演していたキャストも出演している人気作。
すでに放送が終了しているシーズン4だが、撮影中に実は足首を負傷していたことを明かしたジャンカルロ。スクリーン上で見事にそれを隠しとおしてくれた製作スタッフに感謝の気持ちを述べた。
「家族ともいうべき『ベター・コール・ソウル』製作スタッフの愛とサポートに感謝したい。シーズン4の終了まであと4話を残すところだった。足首を痛めたままで撮影に戻り、ロケでは箱の上に乗って膝を曲げ、撮影を行ったんだよ。箱ごと回転することで、カメラ枠の中に入り込んだように見えるようにしてくれたんだ。怪我で遅れをとった分、残り4話すべてを4日間で撮影したんだ。そんな風には絶対見えないがね。クリエイターのヴィンス・ギリガンに聞いたら彼はこういったんだ。"すごい、最高だよ!君の怪我のことなんて誰も気がつかない仕上がりだ"ってね。だから、(怪我をしたのに)そんなふうに言ってもらえて、とても嬉しかったんだ」
製作スタッフは、箱などの小道具でうまく隠しただけでなく、スタントなども使い違和感のないように作品を仕上げたのだという。
「大変だったのは、痛みを忘れるくらいまでに治すことだった。演じている時は、足の痛みではなく、そのシーンのことだけを考えたいからね。ロケ現場にも多くのファンが来てくれるんだけど、彼らとフットボールや野球なんかの雑談がしたいわけではなくて、ガスがどう考えているか、彼の次の手は何なのかということに集中したいんだ」
そんな怪我を負いながらも何とかシーズン4の撮影を終えたジャンカルロ。だが問題は、その後すぐにアクションスリラー映画『Live!(原題)』に出演しなければならなかったことだ。怪我をしてからわずか1カ月半後の撮影だったため、降板するしかないとプロデューサーに連絡をしたジャンカルロ。
「あり得ないよ。どんな形でも撮影に参加してほしい」と言われたという。娘の介助もあり、アラバマでの撮影を何とか終えたジャンカルロは、「この映画でも怪我をしているなんて全然わからないよ」と述べ、その後も米Cinemaxの新作ドラマ『Jett(原題)』の撮影で、犯罪組織のボス、ボードレール役を見事にやり遂げた。
俳優という仕事が大好きだと熱く語るジャンカルロだが、今でも親友だという元妻から昔受けたアドバイスが、仕事への姿勢を見直すきっかけになったと語る。
「二人の娘がいるのに、家を手放さなければならないほどの生活苦にあった。その時彼女は、"お金のために仕事をしないで"と言ってきたんだ。"だが食べていくことは重要だよ"と答えたら、"いいえ。仕事の質を落とさないで。お金は借りてもいい。でもあなたがやっていることをやめないで。だってあなたのやっている仕事とそのやり方は他の人と違うのだから"そう言われて、目が覚めたよ。彼女の言葉に耳を傾けたおかげで、今の幸運な自分がいると思う」
『ブレイキング・バッド』で知名度を上げ、その後も『ベター・コール・ソウル』でガス役を再演、各映画でも味のある役をこなすジャンカルロ。支えてくれるスタッフなどへの感謝の気持ちを忘れずに努力を積んだきたことで、今の地位を確立することができたのだろう。
『ベター・コール・ソウル』シーズン5は2020年、米AMCにて放送予定。(海外ドラマNAVI)
Photo:
『ベター・コール・ソウル』
©Nicole Wilder/AMC/Sony Pictures Television