昨年2020年2月に新型コロナウイルス(COVID-19)の集団感染が起きた大型客船ダイヤモンド・プリンセス号。日本でも連日ニュースで報道されていたが、中国本土以外で初めて大規模な集団感染が発生した船内の当時の状況に迫るドキュメンタリー映画が米HBO Maxで配信されている。米New York Daily Newsが伝えた。
ドキュメンタリー監督のハンナ・オルソン(『マルコムX暗殺の真相』)が手がける『The Last Cruise(原題)』では、乗客や乗組員から直接聞いた話や、内部の人たちが撮影した映像を織り交ぜて混乱を極めた当時の船内の様子を伝えている。
「船内の人々は24時間自分たちの生活を記録していました。休暇の思い出が突如世界的ホラーストーリーへのターニングポイントのようになってしまったらどうでしょう?」とDaily Newsに語りかけたオルソン。
2020年2月3日、約3700人を乗せたダイヤモンド・プリンセス号の船長はアジアを巡る約2週間のクルーズの最終夜に、香港で下船した乗客が新型コロナウイルスに感染していたと発表。船はそのまま横浜港に入り、インドネシア人の乗組員が3月1日に下船するまでに船内で712人が感染、内14人が死亡した。
この映画のテーマの一つは"情報の空白"。オルソンは、情報の欠如は"恐ろしさの体験の一部"だとして、今作では専門家の見解は入れずに、乗船していた人たちが当時知っていたことのみにフォーカスして、2020年初期に世界中の人たちが感じた「恐怖、パニック、不確実性」を視聴者に伝えるという。
米政府が用意したチャーター機に乗せられた330人のアメリカ人は、マスクを着けられ、カーテンで仕切られた機内でどこに向かうのか告げられないまま帰路についたという。「これは、ある種のドキュメンタリー風ホラー映画のようだと思いました。もしくは、実際に起きたホラー映画のようなものだと」とオルソンは話している。
『The Last Cruise』は米HBO Maxにて配信中。(海外ドラマNAVI)
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