放送開始から20年以上もの長きにわたり、世界的な人気を誇る医療ドラマ『グレイズ・アナトミー』。数年前にメレディス・グレイ役のエレン・ポンピオが出演を減らして以降、全22シーズンを通じてレギュラーキャストとして名を連ねるのは、ミランダ・ベイリー役のチャンドラ・ウィルソンと、リチャード・ウェーバー役のジェームズ・ピッケンズ・Jrの二人のみとなっている。今やグレイ・スローン記念病院からミランダやリチャードが姿を消すことは想像もできないが、チャンドラはかつて「自分はシーズン2までは続かないと思っていました」と、驚きの事実を明かしている。
「これで降板することになると思います」チャンドラが覚悟した理由
チャンドラがそう考えたのは、2005年にシーズン1が終了した後、第3子を妊娠したためだ。
彼女は米ABCの朝の情報番組『Good Morning, America(原題)』に出演した際、当時の心境について語った。「最初に思ったのは、(クリエイターのションダ・ライムズに)連絡して、第1シーズンでベイリー医師を演じさせてくださって本当にありがとうございました。これで降板することになると思いますと伝えることでした」。
当時のチャンドラにとって、人気シリーズの初期における妊娠は、キャリアを断念せざるを得ない大きな問題となり得るという認識があった。しかし、ションダの返答は彼女の予想を遥かに超えるものだったという。
「すると彼女は“何を言っているの? そんなばかげたこと言わないで”と言ったんです。それを聞いたときは本当に驚きました」と、振り返っている。
「神対応」を生んだションダ・ライムズの信念
ションダ・ライムズの作品に登場する強い女性像を20年にわたって見てきた視聴者であれば、彼女が妊娠を理由に誰かを降板させるタイプではないと理解できるだろう。しかし、2005年当時にその信念を知らなかったチャンドラは、自身の続投が決定したことに心底驚いた。
その後、チャンドラは息子のマイケルを出産。このマイケルが、『グレイズ・アナトミー』が始まってから初めて生まれた“番組の赤ちゃん”であったという。この出産を皮切りに、以降の20年間でキャストやスタッフの間では少なくとも36人の新しい命が誕生している。
実は、メレディス役のエレン・ポンピオも同様のサポートを体験している。エレンは今年初めに出演したポッドキャスト番組『Call Her Daddy(原題)』で、ションダの資質について「すぐに答えられるほど明確」だと絶賛した。
「彼女に妊娠したことを伝えると、文字通り鐘を鳴らして紙吹雪を降らせるように喜んでくれます。“何日休みが必要? 私たちにできることは何? どうすればもっと楽にできる? 報酬を支払いながら仕事を続けられるようにするには? あなたのシーンは調整するから、週に1日だけ働けばいいの”って。つまり、彼女はそういう面でも本当にすばらしい人なんです」
女性のキャリアと制作現場の理想的なサポート
女性にとって、自身のキャリアを考える上で妊娠・出産との両立は大きな課題となり得る。だが、ライムズが率いる『グレイズ・アナトミー』の現場は、ハードなTVドラマ制作を20年以上続けられるほど、キャストに対する手厚いサポート体制が敷かれている。
この事実は、私たちが長年愛し続けているシリーズが、演じる俳優たちにとって理想的な環境で制作されていることを示しており、何よりも喜ばしいことである。
『グレイズ・アナトミー』シーズン1~20はDisney+(ディズニープラス)で配信中。(海外ドラマNAVI)


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