Amazonの人気シリーズ『BOSCH/ボッシュ』は、近年最高の刑事ドラマのひとつとされているが、警察という制度や正義・道徳をさらに深く掘り下げた名作ドラマが数多く存在する。
ここでは、Screenrantが挙げている『ボッシュ』のファンにこそ見てほしいおすすめ刑事ドラマの中から5作品を紹介する。
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『ボッシュ』ファンにおすすめの刑事ドラマ【5選】
『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』
『トゥルー・ディテクティブ』は、ノワール調の物語と実存的な不安を組み合わせ、刑事ドラマという枠組みを一新した作品だ。シーズン1のラス・コール(マシュー・マコノヒー)とマーティ・ハート(ウディ・ハレルソン)のコンビは、テレビ史上最も魅力的な刑事コンビのひとつといえる。
『ボッシュ』がリアリズムと捜査の精度を重視するのに対し、『トゥルー・ディテクティブ』は重厚な心理描写・哲学的テーマで物語を展開。シーズンごとに舞台や登場人物が変わり、人間の本質や悪の在り方を詩的かつ冷徹に描いていく。知的で映画的な刑事ドラマを求める人に最適の一作。
『刑事ジョン・ルーサー』
イドリス・エルバ演じるジョン・ルーサーは、激情と執念に満ちた刑事。ロンドンを舞台に、正義と狂気の狭間で揺れる彼の葛藤を描く。
『ボッシュ』が現実的な捜査を丁寧に積み重ねるのに対し、『ルーサー』はカオスとスリルに満ちた心理スリラーの領域に踏み込む。各話で描かれるのは、犯罪だけでなく“道徳の限界”という難題。彼はどこまで闇に踏み込むのか? 『ボッシュ』すら穏やかに見えるほど緊張感たっぷりで濃厚な人間ドラマを楽しめる。
『ザ・シールド ~ルール無用の警察バッジ~』
『ザ・シールド』は、警察の腐敗を真正面から描いた衝撃作だ。マイケル・チクリス演じる刑事ヴィック・マッキーは、正義と暴力の境界を踏み越える危険な存在。
『ボッシュ』が“欠点はあるが善意を持った警官たち”を描くのに対し、『ザ・シールド』は制度そのものの腐敗を追及する。ドキュメンタリー風の撮影手法と息もつかせぬ展開、そして極限まで突き詰めたモラルの曖昧さ。「正義とはどこまで許されるのか」を問い続ける、圧倒的な問題作である。
『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』
イギリスの大ヒット刑事ドラマ『ライン・オブ・デューティ』は、21世紀で最も中毒性の高い刑事ドラマとも称される。汚職警官を追う内部調査班「AC-12」を中心に、組織の闇を暴く物語が展開する。
『ボッシュ』も制度の欠陥を描いてきたが、本作はそれを全面的な陰謀劇として拡大。各シーズンごとにさまざまな嘘や裏切りが明らかになり、視聴者を深い迷宮へと引きずり込む。綿密な捜査描写や尋問シーンの緊張感は、どんな刑事ドラマも及ばない。
『THE WIRE/ザ・ワイヤー』
デヴィッド・サイモンが生み出したこの傑作は、警察の視点だけでなく、麻薬組織、学校、政治、メディアといった都市全体をリアルに描く究極の群像劇だ。
主人公ジミー・マクノルティ(ドミニク・ウェスト)やレスター・フリーモン(クラーク・ピータース)らは、警察の仕事に潜む静かな才気と限界を体現している。『ボッシュ』とは異なり、『ザ・ワイヤー』は一人のヒーローを中心に据えない。むしろ、ヒーロー警官というジャンルの定型を完全に崩し、個人ではなく制度が正義を形作る過程を描き出す。
『ザ・ワイヤー』は“警察ドラマ”の枠組みを超え、“都市アメリカの真実”を描いた金字塔。刑事ドラマというジャンルでは最高峰の作品だ。
まとめ
『ボッシュ』は刑事ドラマの名作であることに疑いはない。だが、そのジャンルをさらに広げ、正義・悪・人間の心理をより深く掘り下げた作品がたくさん存在する。上記の5作は、どれも“警察ドラマのその先”を体感できる珠玉のシリーズだ。
(海外ドラマNAVI)