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フランスのテレビ業界を席巻!『アストリッドとラファエル』が牽引する「コージー・ミステリー」ブーム

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アストリッドとラファエル

2019年に、フランスで誕生すると瞬く間に世界的な人気を博したミステリードラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』の影響で、同国で「コージー・ミステリー」ブームが巻き起こっているという。米Deadlineが報じている。

アストリッドとラファエル 文書係の事件録
『アストリッドとラファエル』シーズン1~5、Lemino アクション&ミステリープラスにて配信開始

2019年にフランスで誕生すると瞬く間に世界的な人気を博した …

「コージー・ミステリー」とは?

本作の主人公は、几帳面で論理的なアストリッドと、思いついたら猪突猛進してしまう、少しガサツだが大らかな性格のラファエル。そんな正反対の二人がお互いの足りない部分を補い合い、協力することで事件を解決していく。

フランスのテレビ業界は、近年の輸出収益回復の立役者として「コージー・ミステリー」ブームに沸いている。コージー・ミステリーとは日常的な場面を舞台とし、暴力的な描写が少なく、素人探偵の活躍を気軽に楽しめるジャンルのこと。

2024年のフランステレビ輸出収益は2億9960万ユーロ(約244億円)となり、前年の2億340万ユーロから増加したものの、過去最高の2億1480万ユーロには及ばなかった。数字自体は微増にとどまるものの、ジャンル別で見るとドラマ、とりわけ軽犯罪ドラマの人気が顕著に表れている。

業界団体Unifranceが発表した最新データによると、フランスのプロデューサーや配給会社は、コージー・ミステリー作品で好調な成果を上げている。『アストリッドとラファエル』のほか、『アート・オブ・クライム 美術犯罪捜査班』『モルガン 天才捜査コンサルタントの殺人事件簿』などが国際的な注目を集め、『モルガン』は米ABC版『ハイ・ポテンシャル』も誕生し、『アストリッドとラファエル』もイギリス版『ペイシェンスとビー ヨーク警察文書係の事件録』が放送されている。ドラマ全体に占める売上の割合も増加しており、フランスドラマの国際市場での存在感が高まっていることがうかがえる。

好調なドラマ部門と課題を抱えるアニメーション部門

一方でフランスのアニメーション輸出は苦戦しており、2024年は全体の22パーセントにとどまり、米国向け売上は2008年以来の低水準となった。対して共同製作収益は1億1620万ユーロと前年から約60パーセント増加し、プレセールスも7540万ユーロに到達。地域別では西ヨーロッパ向けが最多で、米国向けは過去最低の7.9パーセントにとどまった。

フランスの輸出市場では、特にフィクション作品において大手配給会社への売上が集中している。上位5社で全体の43パーセントを占める状況は、国際市場での作品展開には資金力とマーケティング力が不可欠であることを示している。

総じて、『アストリッドとラファエル』の人気に象徴されるコージー・ミステリー作品がフランスのテレビ輸出を牽引している一方で、アニメーション市場は厳しい局面にある。今後もフランスのプロデューサーは、ドラマの国際展開に注力しつつ、既存IP(知的財産)を活用したアニメーション戦略を模索することが求められる状況だ。

『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』シーズン1~5(字幕版)は、Leminoアクション&ミステリープラスWOWOWシネフィル+で配信中。

Photo:『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』© Patrick FOUQUE - FTV - JLA/© Patrick FOUQUE/JLA PRODUCTIONS/FRANCE TELEVISIONS

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海外ドラマNAVI編集部

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