現代ロンドンを舞台としたギャングたちの抗争をバイオレンスなアクション満載でスタイリッシュに描き、世界中のアクション映画ファンを魅了した『ギャング・オブ・ロンドン』。その最新シーズンとなるシーズン3が、いよいよ2025年9月15日(月・祝)よりBS10スターチャンネルEXにて独占配信、10月よりBS10スターチャンネルにてTV独占初放送されるということで、今回は『ギャング・オブ・ロンドン』の魅力と最新シーズンの見どころを紹介したい。
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イギリス発クライムドラマ『ギャング・オブ・ロンドン』シーズン4に更新決定
2020年に放送が開始された犯罪ドラマ『ギャング・オブ・ロン …
1.ギャング版『GOT』の呼び名は伊達じゃない! ギャングドラマの急先鋒はバイオレンスアクション満載!
2006年に海外で発売されたゲーム『Gangs of London』の映像化権利を獲得した製作会社のパルス・フィルムズによって、映像化された本作。当初は映画として計画されていたが、企画・製作総指揮、そしてシーズン1でリード監督を務めたギャレス・エヴァンスの提案によって、ゲームの設定から大きく変更され、人種のるつぼであるロンドンを象徴するかのように多国籍なギャング組織をメインとして、より細部を描くための時間を取ることができるテレビシリーズとして2020年にイギリスで放送された。
数あるギャングドラマの中でも唯一無二なものとして人気を博している理由は、見る者を虜にする圧倒的かつ独創的なバイオレンス満載のアクションだ。それもそのはず。ギャレス・エヴァンスは、公開当時に大きな衝撃をもたらしたインドネシアの格闘アクション映画『ザ・レイド』シリーズを生み出した人物なのだ。キレキレの格闘アクションに、ダーツ、ナタ、シャワーヘッド、食品用ラップなどユニークな武器やアイテムを使った独創的なアクション、そして血しぶきが舞い散り、痛さを感じさせるまでのリアルすぎるバイオレンス描写、さらにはシーズン1第3話や第6話などで繰り広げられた苛烈なまでの銃撃戦も盛り込まれており、ギャレス・エヴァンスによって方向付けされたギャングバイオレンスアクションこそがアクションファンもうならせる本作の大きな魅力の一つだ。
もちろん、リアルな現代ロンドンの裏社会における多国籍なギャング組織の対立を群像劇として、英国ドラマ的なコールドでスタイリッシュな映像で描くギャングドラマとしても魅力たっぷりだ。ドラマを彩るキャストは、ジョー・コール(『ハリー・パーマー 国際諜報局』)、ショペ・ディリス(『窓際のスパイ』)といったメイン・キャストのほかに、『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演していたミシェル・フェアリー、ルシアン・ムサマティ、デイビッド・ブラッドリーというベテラン・キャストによって、本国での放送当時に“ギャング版ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)”と注目を浴びた。しかし、キャストだけでなく、ギャングたちのリーダーが「キング」と呼ぶロンドン裏社会の王の座を争う抗争や、多国籍な各ギャングたちが時には手を組み、時には裏切るという権力闘争を中心とした群像ドラマ、メイン・キャラクターでさえ死を免れない容赦のないストーリー展開、そしてバイオレンスなアクションなど、ファンタジー要素こそないが、まさにギャング版『GOT』の名にふさわしいものとなっている。
そのクオリティーから英国メディアでも絶賛され、Rotten Tomatoesでも91%と高い数字を叩き出し、BAFTA(英国アカデミー賞)受賞やエミー賞でもノミネートと高評価で迎えられ、シーズン2が2022年に放送、2025年には待望となるシーズン3が放送。2025年8月にはシーズン4への更新も決定した。
2.ロンドンギャングたちによる狂宴が再々開幕! 裏社会の混沌がついに表社会へと浸食!
シーズン1の物語は、ロンドンの裏社会で多様な民族による複数のギャング組織を取りまとめていたアイルランド系ギャングのリーダーであるフィン・ウォレスが暗殺されたところから始まる。パワーバランスが崩れたことで、裏社会のキングであったフィンの座を争う抗争が勃発。フィンの息子でウォレス家を継ぐショーン、多国籍なギャング組織、ショーンに近づく潜入捜査官のエリオットと警察、ロンドンギャングたちを裏で操る「出資者」たち、出資者たちを追う政府組織と、ギャング勢力以外も加わり、ロンドン裏社会を混沌の渦に巻き込む抗争がさらに激化していく。
シーズン1から1年後を舞台としたシーズン2では、謎の武器密輸が発覚し、新たな火種がくすぶるロンドン裏社会を収めるために、出資者の手先としてジョージア系ギャングで冷酷無比なコバが送り込まれ、新たな抗争が勃発する。その中で、出資者に従う殺し屋と成り果てた元潜入捜査官のエリオットはある任務のためにロンドンへと舞い戻り、ウォレス家の再興を図るショーンの母マリアンと兄ビリーは暗躍。一方で、再起を狙うショーンがコバと手を組むことで裏社会の勢力図が大きく変動していく。そして、自分の存在に苦悩するエリオットはショーンと対決し、勝利したエリオットはギャング組織のトップとなることを決意。敗れたショーンは逮捕されるのだった。
そこから最新となるシーズン3では、ギャング組織のトップとなったエリオットが密輸したコカインに、合成麻薬のフェンタニルが混入していたことで、ロンドンで数百人が死亡する事件が発生するところから幕を開ける。事件を巡り、新たな抗争が巻き起こる裏社会。エリオットは事件の犯人を捜す中で、過去に妻子が死んだ事故に関わる謎の男ジークと邂逅する。片や、事件で混乱するロンドン表社会では、ロンドン市長シモーヌが混乱を収束させ、ギャングたちの力をそぐためにある政策を打ち出そうとする。そして、ロンドン市長の画策とギャング組織の抗争、そこにエリオットの妻の過去が交わり、驚くべき真実が明らかになっていく。
リード監督を、シーズン1ではギャレス・エヴァンス、シーズン2ではシーズン1でも監督を務めたホラー映画『死霊館のシスター』監督のコリン・ハーディと、シーズンごとにリード監督を変えることでスタイルに新たなテイストを加えていく本シリーズ。シーズン3のリード監督は『オオカミ狩り』など、バイオレンスアクションのジャンル映画で活躍する韓国出身のキム・ホンソンが務める。
シーズン3でも、エリオット役のショペ・ディリス、ショーン役のジョー・コール、マリアン役のミシェル・フェアリーらが続投。そこに新キャストとして、ロンドン市長シモーヌ役にタニア・ミラー(『2034 今そこにある未来』)、謎の男ジーク役に日系俳優のアンドリュー・コージ(『ブレット・トレイン』)、マリアンの弟でアイルランド系ギャングのリーダーであるコーネリアス役に、『GOT』にも出演したリチャード・ドーマーが参加する。
3. ミステリーとサバイバルが交錯し、さらに加速するギャングバイオレンスアクション!
シーズン3では、コカインへのフェンタニル混入という、日本でもニュースで騒がれている「フェンタニル」というホットな話題が扱われていることで、我々日本人にもリアリティーさを身近に感じさせ、麻薬に対する意義を考えさせるものとなっており、その事件の犯人捜しというミステリー要素と、そこに謎の男ジークとエリオットの妻の過去を巡るミステリー要素も加わることでストーリーに深みが増している点も見どころだ。
さらに、容赦なくメイン・キャラクターさえも殺される本シリーズ。誰が死に、誰が生き残るのか。裏切りの連続にまさかの展開と、シーズン3でもそのサバイバル要素は陰るどころかヒートアップしている。また、物語に表社会の代表としてロンドン市長も登場するが、その市長ですら薬物常習者という現代社会の底知れぬ闇の深さを見せつけながら、市長が進める政策によってロンドンのギャング世界に新たな局面が訪れる大きな転換点をもたらすシーズンとなっている。
当然のことながら、ギャングバイオレンスアクションとしての魅力も健在だ。シーズン2ではアクションを折り込みながらもドラマを重視した展開が多かったが、今回はドラマ性もありながらもシーズン1のテイストに近いものを存分に見せてくれる。その点は、容赦のないバイオレンス描写とゴア表現で話題を呼んだ『オオカミ狩り』を手掛けたキム・ホンソンの面目躍如と言ったところか。特にシーズン3第4話でクルド系武装組織のラーレが見せたゴア表現バリバリで、血まみれのある物を使ったアクションは今までとはひと味違った印象深いものとなっている。さらに、シーズン1の銃撃戦を彷彿とさせる実在のセント・オーガスティンズ教会での銃撃戦や、ロンドン市街での銃撃戦などロンドンの実在する場所でのガンアクションも目を見張る。
本シリーズを未見という人たちにとっても、バラエティーに富んだ武器やアイテムを使ったギャングバイオレンスアクションに、ド派手なガンアクションを楽しむだけでも面白いシーズンとなっている。また、シーズン3第1話には『オオカミ狩り』に出演した韓国俳優のシン·スンファンとイム·ジュファンがゲスト出演しているので、韓国映画ファンも要注目だ。
4.ギャングドラマブーム到来!? 『ギャング・オブ・ロンドン』はこんな海外ドラマファンにオススメ!
『ギャング・オブ・ロンドン』シーズン3とほぼ同時期に配信された、ロンドンを舞台とした新作ギャングドラマ『モブランド』も好評を博しており、『ギャング・オブ・ロンドン』を含めてギャングドラマブームが到来していると言っても過言ではないだろう。本作は、そんな『モブランド』でギャングドラマの面白さにハマったという海ドラファンにもオススメだ。
さらに、『モブランド』に大きな影響を与えた『レイ・ドノヴァン』のファンや、19世紀から20世紀初頭の英国を舞台とし、ジョー・コールも出演している歴史系ギャングドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』を好きな方、マフィア系ではあるが『ゴッドファーザー』や『ソプラノズ』といった名作好き、『ナルコス』といった実在の麻薬組織をモチーフに描いたリアリティーのあるドラマが好きな方、アンドリュー・コージが主演を務め、チャイニーズマフィアが登場する『ウォリアー』のような格闘アクション好きにも、ギャングドラマとしての新潮流として本作を推していきたい。また、ギャング版『GOT』と評される本作だけに、現代版『GOT』として『GOT』ファンにも一見の価値ありとオススメしたいドラマシリーズとなっている。
『ギャング・オブ・ロンドン』シーズン3 放送・配信情報
【配信】 BS10スターチャンネルEX for Prime Video
≪字幕版・吹替版≫9月15日(月・祝)独占日本初配信スタート 毎週1話更新
【放送】〈字幕版・吹替版〉10月より放送予定
(文/豹坂@櫻井宏充)