『THE LAST OF US』が『ウォーキング・デッド』より圧倒的に優れている一つの要素とは?

2010年より11シーズンにわたって展開された『ウォーキング・デッド』は、世界中に一大ゾンビブームを巻き起こした。その放送終了の数ヵ月後にリリースされたHBO『THE LAST OF US』でもゾンビの脅威が描かれるが、両シリーズを比較した米MovieWebが、『THE LAST OF US』が『ウォーキング・デッド』より圧倒的に優れている一つの要素を取り上げているので紹介したい。

 

どちらもアポカリプスを扱っているドラマだが

『ウォーキング・デッド』『THE LAST OF US』は、世紀末的な世界を舞台にゾンビの脅威やサバイバルを続ける人々の集団生活などが描かれ、一見共通点が多いように見える。しかし、大きな違いは番組に登場するゾンビの種類だ。

『ウォーキング・デッド』のウォーカーは動きが遅く、人間の肉を渇望しているだけで、ゾンビ1体と遭遇しただけでは大きな脅威とはならない。しかし、『THE LAST OF US』に登場するゾンビ的なクリーチャーのクリッカーは、変異した冬虫夏草が人間の脳に寄生して思考を乗っ取り、その人物は生き続ける。すでに死んでいる『ウォーキング・デッド』のウォーカーとは、そこが大きな違いだ。

変異した冬虫夏草は宿主を支配し、無思考の殺人マシンに変えてしまう。この菌に感染した犠牲者が、自分の行動をどの程度認識しているのかは不明だ。脳が完全に機能を失っているかもしれないし、逆に身体が菌に支配されていることを、“ある程度”理解できるほどには意識が残っている可能性もある。そうであれば、それは別の意味での恐怖だと言える。「無の状態」ではなく、「何か」に自分の身体を乗っ取られていたら本当にゾっとする話だからだ。

『ウォーキング・デッド』のフラフラとよろめきながら歩くウォーカーと違い、クリッカーの動きは俊敏だ。武器も持たずに野外で遭遇したら、神に祈るしかない。クリッカーは、安全地帯の外では決して“脇役”に追いやられることはない。常に最優先で警戒すべき脅威なのだ。彼らは常に至る所にいて、従来のゾンビよりも遥かに陰湿で危険な存在として描かれている。

クリッカーの存在により、人間が自由に歩き回ることはほぼ不可能になっている。人間の自由を完全に奪い、恐怖のドン底に突き落としたクリッカーは、『ウォーキング・デッド』よりも圧倒的に優れている一つの要素だと言えるだろう。

『THE LAST OF US』シーズン2は毎週新エピソード画配信中!

『THE LAST OF US』シーズン2はU-NEXTにて毎週新エピソードが配信中。シーズン1は全話配信中。

Photo:Photograph by Liane Hentscher/HBO