『ドラゴン・タトゥーの女』ドラマ版に期待!実現してほしい展開とは?

Amazonスタジオで企画されている『ドラゴン・タトゥーの女』ドラマ版。ショーランナーに『THE KILLING ~闇に眠る美少女』のヴィーナ・スードが起用された本作で期待されていることについてScreen Rantがまとめている。

 

原作シリーズ第5作以降の映像化に期待

世界的ブームを巻き起こしたスウェーデン出身作家スティーグ・ラーソンによる小説「ミレニアム」シリーズ。スウェーデンではノオミ・ラパスとミカエル・ニクヴィストによって2009年に『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』として映画化。ハリウッドでも2011年にデヴィッド・フィンチャー監督のもとルーニー・マーラとダニエル・クレイグ主演で映画化された。この『ドラゴン・タトゥーの女』に続き、2018年にはクレア・フォイとスヴェリル・グドナソンによる『蜘蛛の巣を払う女』が公開され、世界中で人気を集めた。

これまで計5本の映画が制作されたが、今もなお達成できていないのは原作シリーズ第5作以降の映像化。「ミレニアム」シリーズはこれまでに全8作が発表されているが、生みの親であるラーソンが執筆したのは第3作目まで。ラーソンが2004年に50歳でこの世を去った後は別の作家が執筆しており、第4作「蜘蛛の巣を払う女」から第6作「ミレニアム6 死すべき女」まではダヴィド・ラーゲルクランツ、第7作と第8作はカーリン・スミルノフの作品になる。

これまで第4作以降のアプローチが進まなかった背景にはいくつかの要因があるが、そのひとつは時間的な問題。特に2009年に3作が一挙公開されたスウェーデン版が制作された際には、2007年発表の第3作目「眠れる女と狂卓の騎士」が最新作だった。その後ラーゲルクランツによる第4作目が登場するまで8年の空白期間があったため、続編を作ったとしても主要キャストの交代や作風が大幅に変更になる可能性は否めない。

一方でアメリカ版のフランチャイズ化が進まなかった背景には、興行的な失敗が考えられる。デヴィッド・フィンチャー監督が人気俳優ダニエル・クレイグを起用した英語版も、続編製作の可能性は十分にあったが、その後キャストと制作陣を一新した“ソフトな続編”という形を取った『蜘蛛の巣を払う女』がそれほどまでにヒットしなかったことで、いずれも道が断たれてしまったといえる。

しかし今回、映画ではなくドラマシリーズというフォーマットをとることで再び完全映像化の可能性が開ける。ミカエル・ブルムクヴィストとリスベット・サランデルの繊細な物語を時間をかけて丁寧に描くことができるようになることで、原作ファンも求めるクオリティを実現させることができるかもしれない。そうして軌道に乗れば第5作以降がスクリーンに登場する可能性も十分にあるはずだ。

確かに、オリジナル三部作を「ミレニアム」シリーズの黄金期と見なす声は強く、ドラマ版が第4作以降に進んだ場合に原作の評価につられて高い評価を得られない可能性はあるが、一方で新作ドラマを視聴する層の多くは原作小説の展開を知らず、先入観なしに受け入れる可能性もある。挑戦する価値は十分にあるといえるだろう。

現時点で発表されているのはショーランナーのみで、主要キャスト含め詳細は明かされていない。開発がややスローペースのように感じるが、過去の失敗を考えれば慎重になるのも無理はない。すでにドラマ版には大きなプレッシャーがかけられているが、映画では成し遂げられなかった第5作以降の映像化に期待せずにはいられない。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『ドラゴン・タトゥーの女』©Courtesy of Columbia Pictures