カーター役ノア・ワイリーの新作医療ドラマ、『ER』クリエイターの遺産管理団体から訴えられる事態に

米NBCにて1994年から15シーズンにわたって放送された大ヒット医療ドラマ『ER 緊急救命室』のキャストとスタッフが再タッグを組む新医療ドラマ『The Pitt(原題)』。今年3月に製作が発表された新シリーズの関係者が、『ER』でクリエイターを務めた故マイケル・クライトンの遺産管理団体から訴えられている。

 

遺産管理団体の主張は?

『The Pitt』は、ペンシルベニア州ピッツバーグの病院を舞台に、リアリティあふれる問題に立ち向かう医療従事者たちを、最前線で闘うヒーローとして描くシリーズ。

この新プロジェクトには、『ER』でジョン・カーター役を演じたノア・ワイリー、製作総指揮・脚本を手掛けたジョン・ウェルズとR・スコット・ゲミルが参加している。

米Deadlineによると、8月27日(火)、故マイケル・クライトンの未亡人であるシェリー・クライトンが、ワーナー・ブラザースTV(WBTV)とノア、ウェルズ&ゲミルに対し、ロサンゼルス上級裁判所で訴訟を起こしたとのこと。

訴状では、2023年4月にクライトン遺産管理団体とWBTVが、『ER』の新作ドラマシリーズを製作する交渉で決裂した後、WBTVが新作のコンセプトを少し変更し、訴えられている関係者とともに『The Pitt』の製作を始動したと主張している。

キャンセルになった企画と、米Maxで進行中の『The Pitt』の違いは、舞台がピッツバーグに変更され、ノアがカーターから別のキャラクターになり、クライトン遺産管理団体が除外された点だという。

訴状では、マイケル・クライトンが生前に著作権を保護するために、契約上の地位や権利義務の移転・譲渡を禁止する「権利凍結条項」を設けたことが指摘されている。この条項により、WBTVは『ER』に基づく続編やリメイク、スピンオフなどをクライトンの同意なしに製作できないとされているにもかかわらず、WBTVが企画を進めている『The Pitt』は、『ER』のリブートに他ならないというのが遺産管理団体の主張だ。

『ER』のリブートではない

続報によると、WBTVはクライトン遺産管理団体の訴えは「根拠がない」と反論しており、『The Pitt』は新しいオリジナルドラマだと主張。今年6月にノアは、ポッドキャスト番組「Still Here Hollywood Podcast」に出演した際、以前からウェルズとゲミルとは『ER』のリブートについて話し合っていたが、パンデミック中に医療従事者への関心が高まったことからそのアイデアが再燃。ファンからもリブートを望む声が上がっていたこともあり、『ER』のキャラクターを復活させ、現代の医療について彼らの視点を描くことを考えたと述べていた。この実現しなかった『ER』リブート版については、過去にノアも言及している。

『The Pitt』の製作チームとクライトン遺産管理団体との間で問題が解決し、新作ドラマの製作が実現となるのか、今後の動向に注目したい。現時点でわかっているドラマのあらすじ、キャスト、配信情報はこちらより。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『The Pitt』