令和にあの最強ヘリコプター・アクションが帰ってくる!『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉に直撃インタビュー!

かつて80年代にアメリカ、そして日本でも大ヒットとしたヘリコプター・アクションの金字塔『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』(以下、『エアーウルフ』)。CIAの最新型戦闘ヘリ・エアーウルフのパイロットとなった主人公ストリングフェロー・ホークと、ホークの父親の戦友ドミニク・サンティーニ。ホークはベトナム戦争で行方不明となった兄セント・ジョンの捜索を交換条件に、CIAに所属するアークエンジェルの指示で数々の戦いに挑むという内容の本作。

その名作がBS松竹東急で2024年9月8日(日)から放送されるということで、主人公ホークの吹替えを務めた磯部勉を、番組宣伝ナレーションの収録直後に直撃インタビュー!『エアーウルフ』の魅力や、当時の思い出などを語ってもらった。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉インタビュー

――令和にこの名作が再び放送されるとういことを聞いた時にどう思いましたか?

「なんで今なんだろう?」という驚きはありました(笑)。この作品の吹替えをしていたのが約40年前ですからね、ひたすらびっくりしました。ただ、自分が舞台をやったときに、楽屋口でファンの方から『エアーウルフ』のパンフレットにサインをお願いされたりして、結構人気があったんだなという感じは受けていましたね。

――そういう形で日本での初放送当時も反響などを感じたことはありましたか?

友人から電話をもらった時に、「お前が吹替えをやるな。お前の顔が出てきちゃうから面白さが半減しちゃう」と言われたことがありました(笑)。それはしょうがないだろうと思いましたけどね。でも、周りのみんなが、話としては非常に面白いと言ってくれていたので、それは良かったと思っています。

――今回のBS松竹東急の放送用に番組宣伝のナレーションを収録したそうですが、久々の『エアーウルフ』に関わる声の仕事はどうでしたか?

ドラマの中でのホークは若いんですけど、僕はいい歳になりましたんでね(笑)。大丈夫かなと家を出る時からずっと心配だったんですけど、ダメ出しはなかったので、このままやっちゃおうかという感じでやらせてもらいました(笑)。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉インタビュー②

――当時、磯部さんは舞台やドラマなどで活躍されていましたが、どのような経緯で『エアーウルフ』の吹替えをすることになったのですか?

僕が初めてシリーズものの吹替えをやったのが『エアーウルフ』なんですよ。その前に、初めて吹替えをしたのが『クレイマー、クレイマー』の主演のダスティン・ホフマンでした。当時に所属していた劇団の俳優座から『クレイマー、クレイマー』の吹替えをやりたいかと聞かれて、やりたいと言ってしまって。そうしたら、全然できなくて大変なことになってね(笑)。僕だけでアテレコに12時間かかっちゃったんですよ。それで、もう二度と吹替えの仕事はやりたくないと劇団に伝えていました。

そこから1、2年くらい経って、『エアーウルフ』の吹替えの話しが来たんですけど、また皆さんにご迷惑をかけてしまうのが嫌だったので、最初は断りました。でも、劇団から「せっかく来たんだからやりなさい」と説得されて、引き受けたんです。

それで、富田耕生(ドミニク・サンティーニ役)さん、戸田恵子(ケイトリン・オショーネシー役)ちゃん、家弓家正(アークエンジェル役)さんとか、いろんな方がアテレコの現場にいらっしゃって、そこでいろいろと教えていただきました。なので、なんとか今まで吹替えをやってこられたのは、これがきっかけだったのかもしれませんね。

――シリーズものなので、回を重ねるごとに吹替えにも慣れていったのでは?

こういう時はこうやるんだなというのは、共演の皆さんを見てずいぶんと教わりました。だけど、やっぱり難しいなと思いましたね。緊張しいなのでマイクの前に立つと震えちゃうことがあるんですよ。だから、このままやっていたらあんまり体に良くないなと思いましたね(笑)。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉インタビュー⑤

――磯部さんが感じる『エアーウルフ』という作品の魅力について教えてください。

主人公がヘリに乗ってアクションをするのですが、時によっては湖のそばで犬と一緒にいて、チェロを弾いているとか、その「静」と「動」が上手く出ていて、すごく作り方がうまいなと思いましたね。各キャラクターがとても際立っていて楽しんで見られましたし、吹替えをしていても面白いなと感じていました。

――そのエアーウルフによるヘリコプター・アクションのシーンも、実際に空を飛ぶエアーウルフのヘリを作って撮影していたということでドラマ作品としてもすごいことでした。

そのヘリコプターが日本に来るっていう話があったんですよ。それで、来たら乗せていただけるということで、すごく楽しみにしていたんです。 そうしたら、荒川の土手に行ってくれというので行ったのですが、そこにはラジコンのヘリコプターしかなかったんですよ(笑)。結局、本物は来られなくなってしまったそうで、ラジコンのエアーウルフを持って、写真を撮影していただきました(笑)。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』場面写真①

――ちなみにヘリコプターそのものに乗ったことはありますか?

ないです。実は高所恐怖症で、飛行機に乗るのも大変なんですよ(笑)。

――ヘリコプター・アクションだけでなく、主人公のホークがベトナム戦争の帰還兵で、ホークの兄セント・ジョンがベトナム戦争で行方不明になっているなど、いろいろとドラマ性もある作品でした。

ベトナム戦争帰還兵のPTSDとかね。ホークも山奥に1人で住んでいて、やっぱり何かしらの精神的な病にかかっているのかもしれないという感じもありますよね。ベトナム戦争当時は日本でもニュースが結構多かったので、意外と僕らは知っていて、なんか痛々しくなっちゃうところもありますね。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』場面写真④

――そのホークを演じるにあたって考えていたことはありますか?

神経質そうな感じで、非常に難しそうなタイプの男だなとは思いました。ただ、そういうところもうまく表現してやろうなんていう考えはあまりなくて、ただひたすら一生懸命にどうやったら皆さんと演じていけるかなというくらいのことしか考えずに吹き替えていたような記憶がありますね。

――ホークを演じていたジャン=マイケル・ヴィンセントという役者について、どのように感じていましたか?

ウイスキーボイスというか、本当に酒焼けしているような声だったので、酒好きなんだなという感じはしました。私生活はどうなっているんだろうと思っていたら、早くに亡くなられてしまったんですよね。

思い返してみると、もう少し細かい芝居の縛りが必要だったのかなと思います。スッとした顔をしながらも、表情とかを見ていると結構複雑な芝居をやっていたりするんですよね。そういうところももっと拾ってやらなきゃいけなかったのかなというのは、今に思えばちょっと反省材料としてあるかもしれません。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』場面写真②

――吹替えの収録現場の雰囲気はどんな感じでしたか?

僕が固くなっていたからかもしれないですが、とにかく和気あいあいと気持ちをほぐしていただいていたという感じでした。戸田さんには色々と教わりましたね。あの人は歌もお上手じゃないですか。だから、違う番組でご一緒して、吹替えで歌を歌わなきゃいけないというときに、歌い方とか音程の取り方とか、そういうところでも教わるところが多かったです。

――ドミニクを演じられていた富田さんとの思い出はありますか?

普段と吹替えの現場で、発声する感じとかはあんまり変わらないのですが、包容力というか、気持ちの出し方がすごく大きいんですよ。だから、声を聞いているだけでこっちが癒されちゃうみたいな感じがして、すごく僕は好きでした。

――ドミニクはホークのお父さん代わり的なキャラクターでもあるので、富田さんの声と演技はピッタリだった気がします。

ホークもドミニクをすごく信頼していた感じで、ドミニクはホークをすごく可愛がっているみたいな、富田さんと私もそのような感じの関係だったような気がします。

とても人を褒めてくれるんですよ。「お前はあのまんまでいいんだよ」みたいにね。それで、このままでいいんだとホッとしちゃうんです。そういうとっても大きいものを持ってらっしゃる方だという印象がすごく強くあります。

エアーウルフ_メイン

――富田さんのほかにも、アークエンジェルを演じていた家弓さんなどアテレコ現場は名優揃いですね。

家弓さんがマイク前で演じている姿を後ろで見ていると、やっぱり緊張しましたね。ポンっとマイクの前に立って演じるという感じで、あまり相手がどうだこうだとかおっしゃらない方でした。本当にモダンで、ああいう雰囲気を持った方って、今はいらっしゃらないんじゃないかな。

――エアーウルフの日本語版製作の演出は洋画吹替え界の重鎮でもある伊達康将さんですが、当時の伊達さんの演出はどうでしたか?

きつかったですよ(笑)。いろいろと言われて、自分でもこれではダメだとよく思いました(笑)。皆さんそれぞれ演出家というのも個性があって、いろんな方とやってきましたけど、伊達さんは厳しい方だったような感じがしますね。

――『エアーウルフ』が放送されていた80年代や、それ以前は海外ドラマの吹替え版が家族で見られる時間帯に地上波で放送されていて、子どもや若い人たちにも大きな影響を与えていました。

そうですね。僕も吹替えのドラマをよく見ていましたよ。『コンバット!』とかね。そこで、納谷悟朗さんや田中信夫さんとか、いろんな方たちの声を聞いて、この人はどういう顔をしているんだろうとすごく興味を持ちましたね。

僕は『奥様は魔女』が好きでね、 サマンサの声を北浜晴子さんがやられていたでしょ。それで、『エアーウルフ』のある回に、北浜さんがゲストで来ることになったんですけど、もう嬉しくてしょうがなかった。ただ、顔を知らないから、スタジオに入っても、どの方なんだろうと、声が出るまで分からないんですよ。それで、声を聞いた瞬間に「あ、この人だ!」となってね。それで、収録が終わると必ず皆で飲みに行くんですけど、その時に思わず『エアーウルフ』の台本にサインをしてもらいました(笑)。

いろんな役者の皆さんと共演できたことが本当に嬉しくて、アテレコの現場に行くのが楽しみでした。いろんな方とお知り合いになれたというのは本当に光栄で、ちょっとした財産ですね。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉インタビュー③

――近年は海外ドラマも配信などが主流になってきていて、以前のように地上波などで無料で吹替えの海外ドラマを見られる機会が少なくなっています。

今の若い人たちは当時のような吹替え作品に触れられずに残念だなと思うことはありますね。

僕らの時代は『うちのママは世界一』、『名犬ラッシー』、『ローハイド』、『ローン・レンジャー』とか、いろんな海外ドラマが吹替えで放送されていました。もう今の人は知らないと思うけどね(笑)。役者の皆さんの吹替えにも特徴があって、それがみんな本当に面白くて楽しかったな。

こういう吹替えの文化に接することで豊かになれると思うんですよね。

――そんな中で『エアーウルフ』が放送されるBS松竹東急は全番組が無料放送なので、気軽に見ることができます。

ヘリコプターなのに、ジェットを使って音速で飛べるなんて普通は考えられないような発想なんだけど、ちょっと信じられるような内容になっていて、そんな『エアーウルフ』のような作品がまた放送されるようになると、テレビの面白さが倍増するんじゃないかなという気がします。こんな特徴のある世界観を持った作品というのが今はなかなかないですよね。だから、ちょっと新鮮に見えるんじゃないかなと思います。

――最後に、番組を楽しみにしている方やインタビューを読まれている方へ、改めてメッセージをお願いします。

見たことがない人にとってはものすごく新鮮に見えるドラマだと思います。ヘリコプターでこれだけのアクションをするというのはあんまりないと思うんですよね。だから、頭を空っぽにして楽しんで見ていただければと思います。

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』磯部勉インタビュー④

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』放送情報

 

『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』シーズン1(全11話)

9月8日(日)BS松竹東急(BS260ch)にて放送スタート
毎週日曜 夜10:00~10:57 二ヶ国語放送
※初回は2時間SP 夜9:00~10:57

(海外ドラマNAVI)

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