心理学者が解説、視聴者がドラマの最終回を受け入れられない理由

毎週見るテレビ放送でも、配信サービスでのイッキ見でも、最終回を見るのはちょっと寂しい、切ない、複雑な気持ちになる。その理由を、心理学者が解説している。(米Inverseより)

 

パラソーシャルな関係

心理学者によると、何年、あるいは何時間も番組を見続けることで、架空の登場人物との関係が築かれるのだという。

生きている人間とテレビ番組のキャラクターの関係は、“パラソーシャルな関係”と呼ばれる。この関係は本当に強く、友人や恋人との一般的な社会的関係にも影響を及ぼすことがある。2017年に「Journal of Personal and Social Relationships」で発表されたある研究では、一緒にテレビを見たり、読書をしたり、音楽を聴くカップルは、より良い関係を築いていることが明らかになったとのこと。

そして、ずっと見ていたシリーズが終わり、そのキャラクターに2度と会えない状況になると、人は“パラソーシャルな別れ”を経験する。これは友人や恋人との本当の別れと同様に、その関係が終わることに落ち込み、孤独を感じてしまうという。

『フレンズ』最終回で実際に研究をしていた

“パラソーシャルな関係/別れ”は、人気シットコム『フレンズ』の終了時に表面化した。2006年の研究で、アリゾナ大学とハイファ大学の研究者たちは、『フレンズ』の放送終了1週間後に279人の大学生に番組に関するアンケートを実施。

研究チームは、視聴者がモニカたちとの別れの受け止め方について、4つの要因が影響することを発見した。それは、①番組の視聴頻度、②番組へのハマり方、③好きなキャラクターの人気度、④アンケートに答えた時の孤独感。

この研究によると、良いニュースは、パラソーシャルな別れはソーシャルな別れほど難しくはないということ。だが、孤独を感じているという。論文には、「孤独な視聴者は、好きなキャラクターとの関係に依存している可能性が高く、それゆえ関係が解消されることに不安を感じる」と述べられている。

そのため、もしあなたが心細さを感じているなら、できるだけ友達といる時間を増やしても、好きな番組により夢中になる可能性がある。しかし、専門家によると、そのハマり方はより憂うつな気分を引き起こしかねないという。ニューヨーク州立大学バッファロー校のジェシカ・クルーガー教授は、過去にInverseに対し、イッキ見のしすぎは精神的・肉体的な健康に影響を及ぼすと説明していた。

最終回の喪失感から抜け出す最善の方法は、「休憩をとること」だと彼女は述べる。本当に好きで、でも簡単に途中でやめることのできる別の番組を数話見る。「3話まで」と自分に言い聞かせ、見たら休む。本を読む、部屋の掃除をする、リアルのデートに出かける。そして、また最初からお気に入りの番組を見て、パラソーシャルな友人たちと共有した思い出を振り返ることができたらベストだそうだ。

記事内で紹介した『フレンズ』の配信先はこちらより。(海外ドラマNAVI)

 

Photo:『フレンズ』(C)Warner Bros. Entertainment Inc.