『ナイト・マネジャー』監督がシーズン2に戻ってこない理由とは?

ジョン・ル・カレの同名小説をもとにした犯罪サスペンス『ナイト・マネジャー』シーズン2&3の制作が決まったことは当サイトでもお伝えした通り。主演のトム・ヒドルストンをはじめ多くのキャスト、スタッフが続投する中で、シーズン1の監督が引き続きメガホンを取らなかった理由を語っている。

アカデミー賞、エミー賞受賞のスサンネ・ビアが降りた理由

2016年にお披露目されたシーズン1(当初はリミテッドシリーズだった)は、高い評価を受けると、エミー賞で12ノミネートされ、そのうち2部門を受賞。全6話すべてを担当したスサンネ・ビアも監督賞に輝いた。

しかし、主演のヒューを含むメインキャストの多くがシーズン2にも引き続き出演し、クリエイターのデヴィッド・ファーや製作総指揮のヒュー・ローリーも戻ってくる中で、監督はビアに代わってBAFTA賞(英アカデミー賞)ノミネート歴を持つジョージー・バンクス=デイヴィス(『超サイテーなスージーの日常』)が務めることに。

英Sunday Times紙がビアのコメントを伝えている。もともと映画監督であるビアは、自身にとって初めて手掛けたドラマシリーズとなった『ナイト・マネジャー』以降も、『フレイザー家の秘密』『ファーストレディ』といったドラマ作品を担当。ドラマの仕事を楽しんでいるものの、シーズン2に挑戦する気にはならなかったという。

「これまで一度も何かの作品のシーズン2をやったことがないの。どうやって前と変化をつければいいのかということが悪い意味で気になってしまうでしょうね。決してどんな作品のシーズン2もやらないと言っているわけではないけれど、あの時は私の本能が“止めておけ”と言ったの」

デンマーク出身のビアは、注目されるきっかけとなった2002年の映画『しあわせな孤独』や、マッツ・ミケルセン主演映画『アフター・ウェディング』などの国内作品を手掛けていたが、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロ共演の2008年の映画『悲しみが乾くまで』でハリウッドに進出。その後は国内外で活躍しており、2010年の映画『未来を生きる君たちへ』はアカデミー賞外国語映画賞を獲得した。本人のコメント通り、これまでシーズン2や続編映画を担当したことがないため、俗に言われる「評判の良い作品の2作目は当たらない」というジンクスが気になってしまったのかもしれない。

なお、自身の後任を同じく女性監督が務めることは歓迎。「あの作品は男性中心のストーリーなので、(女性が監督を務めることで)バランスの取れた視点であることが重要だったの」と述べている。

『ナイト・マネジャー』の主人公は、イギリス兵だった過去を持ちスイスの名門ホテルでナイト・マネジャーとして勤務するジョナサン・パイン。武器商人リチャード・ローパーに愛する女性を殺された彼は、ローパーの裏ビジネスを暴くよう英国情報部から依頼され、その任務を遂行すると同時に復讐を遂げようとする…というのがシーズン1のストーリーだった。

ジョナサン役のトムに加えて、国際執行機関員でジョナサンのハンドラーを務めたアンジェラ・バー役のオリヴィア・コールマン、外務省の官僚でバーの上司であるレックス・メイヒュー役のダグラス・ホッジ、ローパーの仲間として登場したアレクサンダー・“サンデ”・ラングボーン役のアリスター・ペトリ、ローパーの手下であるフリスキー役のマイケル・ナードン、ローパーの息子ダニエル役のノア・ジュープもシーズン2に続投。新たに、ディエゴ・カルバ(『ナルコス:メキシコ編』)、カミラ・モローネ(『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』)が加わる。ローパー役のヒュー・ローリーは新シーズンでも製作総指揮に名を連ねるが、同役を再演するかは今のところ不明だ。

シーズン2はシーズン1から約10年後が舞台となるが、場所やプロットなどの詳細は明かされていない。

すでにシーズン3の制作も決定している『ナイト・マネジャー』のシーズン1は、Amazon Prime Video(アマゾンプライム)にて配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline英Sunday Times紙

Photo:『ナイト・マネジャー』© Producciones Fortaleza AIE MMXV