テキサス州オースティンで開催されるSXSW（サウス・バイ・サウスウエスト）の時期が今年もやってきた。SXSWとは、映画・TV、音楽、テクノロジーなどの見本市的な世界最大級のビジネスカンファレンス＆フェスティバル。ソーシャルメディアのX（旧Twitter）もこのSXSWがきっかけで世界的に注目されるようになったと言われている。ハリウッドは昨年、およそ半年間、ストライキで新作の宣伝や撮影がストップしてしまう事態に陥っていた。その分を取り返すが如く、今年のSXSWでは各社の気合いのほどが手に取るように分かり、各所でハリウッド復活を感じることができた。同イベントに駆けつけたスターの様子も含め、今年のSXSWの様子を現地からご紹介しよう。
『HALO』マスターチーフ＆カイに会える！艦長席も体験
まずご紹介するのは、米CBSの親会社であるパラマウントが企画したParamount+ The Lodge。こちらでは、パラマウントが所有する作品の裏側を体験することができる。現在米国でシーズン2が配信中の『HALO』エリアでは、映像はもちろん、展示されているマスターチーフやカイのスーツ（衣装）も見ることができる。身につけるとスパルタンにでもなれそうなサングラスも、無料で配られていた。
『HALO』は、2001年にマイクロソフトから発売されたXbox®の大ヒットゲームシリーズを元に、巨匠スティーヴン・スピルバーグが製作に名を連ねたSFバトルアクション超大作ドラマだ。オースティンのフェアモント・ホテルも『HALO』一色でカバーされており、本作への気合いが感じられる。
パラマウント関連作品といえば、このSXSWでファイナルとなるシーズン5の映像が一足先に公開された『スター・トレック：ディスカバリー』も外せない。こちらのイベントではなんと艦長席に座れるという体験もでき、ファンにはたまらない時間となった。帰りにはキーホルダーのお土産という粋な計らいも。
そして本作でシリーズ史上初となる黒人女性の主人公、マイケル・バーナムを演じるソネクア・マーティン＝グリーンもSXSWに登場。『ウォーキング・デッド』でサシャ・ウィリアムズを演じてブレイクし、今最も注目すべき俳優の一人だ。
ほかにも、2004年の同名映画を元に全米で1月より公開されているミュージカル映画『ミーン・ガールズ』をテーマにしたバーや、2023年よりリブート版が制作されているコメディドラマ『そりゃないぜ！？フレイジャー』など、様々なコンテンツ関連の宣伝を一気に見ることができた。また、4月5日（金）より日米で公開されるホラー映画シリーズの金字塔の最新作『オーメン：ザ・ファースト』の簡易版お化け屋敷（怖かった…）や、Amazonオーディブル（Audible）の観覧車、ゲーム等のイベント会場も賑わっていた。
どこを見ても楽しい！新作の宣伝が至る所に
パラマウントの勢いはまだまだ止まらない。『グッド・ワイフ』の人気キャラクター、エルズベス・タシオニを主人公に迎えた新たなスピンオフドラマ『Elsbeth（原題）』、『THIS IS US／ディス・イズ・アス』のケヴィン役で知られるジャスティン・ハートリー主演の犯罪ドラマ『Tracker（原題）』、そしてイギリスのコメディ『ゴースト～ボタン・ハウスの幽霊たち』のアメリカ版『Ghosts（原題）』、『ベイツ・モーテル』や『SEAL Team／シール・チーム』で知られるマックス・シエリオットが企画・主演を兼任し、先日シーズン3へ更新されたアクションドラマ『ファイア・カントリー』などの宣伝もしっかりやっている。
『Ghosts』で主人公カップルの一人、ジェイを演じるウトカルシュ・アンブドゥカル（『ブラインドスポッティング』）もSXSWに姿を見せていた（上の写真のソクネアの隣にいるのがウトカルシュ）。
同社以外では、Amazon Prime Videoで4月11日（木）より配信される大ヒットゲームのドラマ版『フォールアウト』や、『ゲーム・オブ・スローンズ』のクリエイターが手掛けた長編SF小説を元にしたNetflix新作ドラマ『三体』のプロモーションも至る所で見られた。
『ER』『プリズン・ブレイク』など懐かしの顔ぶれも登場！
基本的に新作のお披露目の場ではあるが、海外ドラマファンに懐かしい顔ぶれも目にした。『ER 緊急救命室』のジェニー・ブレ役や『ミスター・ロボット』のクリスタ・ゴードン役、『ブラインドスポット』のキラ・エヴァンス役などで知られるグロリア・ルーベンが、新作映画のプロモーションで登場。
また、『グレイズ・アナトミー』のスピンオフ『プライベート・プラクティス』のクーパー・フリードマン役や『プリズン・ブレイク』でマイケルたちを追い詰めるシークレットサービスのポール・ケラーマン役で知られるポール・アデルスタインも、気さくにファンへのサインに応じていた。
『ホワイトカラー』のFBI捜査官ローレン・クルーズ役や、最近ではジェニファー・アニストン主演の『ザ・モーニングショー』シーズン3にケイト・ダントン役で出演していたナタリー・モラレスの姿も見られた。
SXSWには、日本からも出展している映像作品やライブを行うアーティスト、また企業も多い。先日は、バンダイナムコフィルムワークス社がVR映画『機動戦士ガンダム：銀灰の幻影』の開発中である最新情報ムービーをSXSWのセッションで公開するなど、世界が注目するコンテンツもお披露目されていた。
スナックやドリンクはもちろん、21歳以上であればアルコールが無料で提供される場もあるSXSW。企業側にしてみれば絶好のプロモーション機会であり、消費者側としてはいろいろなものが一気に提供され、情報も得つつ、尚且つ街を歩くだけでも楽しめる場だ。映像業界では、各社がしのぎを削って良作の製作に力を入れている。来年はどのような作品に出会えるのか楽しみだ。
（写真・文／Erina Austen）
