泣いたり笑ったり、あるいはハラハラ・ドキドキしたい。テレビを見る主な目的は楽しむことかもしれないが、時に、ドラマは視聴者に重要なメッセージを与えてくれることがある。ドラマらしいユニークな設定の中で、日常生活における重要な真実を語り、私たちの今後生活を支えてくれる、そんな人生の教訓を見つけられるコメディドラマをご紹介。(米Screen Rantより)
『グッド・プレイス』
クリステン・ベル(『ヴェロニカ・マーズ』『アナと雪の女王』)が主演を務め、死後の世界を舞台にしたコメディシリーズ『グッド・プレイス』。この作品は、生前に素晴らしい偉業を成し遂げれば“グッド・プレイス”へ、反対に悪いことをしていると“バッド・プレイス”へ送られる世界を描いており、“善人”であることの倫理観や道徳観について考えさせられる。
ラストでは、善良な人間とは見せかけほど単純なことではないという考えに行き着く。登場人物たちが少しずつ考え方を変えていく過程には、さまざまなメッセージが込められており、「正しいことだから良いことをする」、このことの重要性を肯定している。それはいつも完璧にうまくいくとは限らないが、それでも良い人間であろうとすることが最も重要なのだ。
『アンブレイカブル・キミー・シュミット』
カルト教団指導者とともに15年間も監禁生活を送ったキミー(エリー・ケンパー)が、人生をやり直すためにニューヨークでの生活をはじめ、恋や仕事に四苦八苦する様子を描くコメディシリーズ。やや特殊な設定で、逆境に立ち向かうキミーの強さが引き立っている。囚われの身となっていた時について、キミーは次のように答えた。「ずっと昔、人はどんなことでも10秒間なら耐えられるということを学んだ。10秒経ったら、また新しい10秒を始めるだけ」。苦境を耐え抜いたキミーだからこその、説得力のある言葉だ。
『グレイス&フランキー』
長年連れ添った最愛の夫たちから、実は同性愛者で何十年も前から恋人関係にあったことを突然告白されてしまうグレイス(ジェーンフォンダ・)とフランキー(リリー・トムリン)は、互いに寄り添い合いながらこの難しい局面を乗り越え、やがてルームメイトとして新しい人生を見つけていく。
人生の中で、長く慣れ親しんできたものに別れを告げ、新たなスタートを切ることは簡単なことではないかもしれないが、『グレイス&フランキー』は、やり直しや自己改革に遅すぎるなんてことはないと教えてくれる。ある日を境に突然衝撃的な理由により離婚することになった二人だが、この経験により、彼女たちは以前の生活が実は幸せではなかったことに気づくのだ。また、別れた夫たち、ロバート(マーティン・シーン)とソル(サム・ウォーターストン)も、人生の後半で同性愛者であることをカミングアウとする勇気を奮い起こし、新たな生活を始める。大きな変化から前向きな結果を生み出す姿勢から、視聴者は勇気をもらえるのだ。
『モダン・ファミリー』
最も重要な教訓は、このタイトルの通り。11シーズンにわたって、現代のアメリカン・ファミリーの日常をユーモアたっぷりに描き、エミー賞作品賞(コメディシリーズ部門)をはじめ多くの賞を獲得してきた人気シリーズ。両親と子ども三人の典型的なアメリカ人家庭のダンフィー家、ラテン系の子連れ美女と裕福じいちゃんの年の差夫婦とその息子で構成されえたプリチェット家、養子を迎えたゲイのカップルのタッカー=プリチェット家という三家族は、はじめこそ新しい家族を受け入れることに苦労したが、徐々に互いの違いを尊重し、絆を深めていく。
「家族」と一口に言っても、各家庭で事情は異なり、その構成もさまざま。そんな家族を率先して描いた『モダン・ファミリー』は、ありのままの相手を受け入れ、自分を受け入れてもらい、支え合い、愛し合うことで、家族を作るのは血縁だけではないというメッセージを伝えている。
(海外ドラマNAVI)
Photo:『グッド・プレイス』NBC/『アンブレイカブル・キミー・シュミット』Eric Liebowitz/Netflix/『グレイス&フランキー』Melissa Moseley/Netflix/『モダン・ファミリー』ABC/Eric McCandless