2021年に54歳でこの世を去ったベテラン俳優マイケル・ケネス・ウィリアムズ。ドラマ界では『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のオマール・リトル役や『ハップとレナード ~危険な2人~』のレナード・パイン役、『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』のモントローズ・フリーマン役で知られる彼の死に関わっているとして起訴されている男について、『THE WIRE』クリエイターが情状酌量を求めた。米Entertainment Weeklyなど複数のメディアが伝えている。
「マイケルの死の責任は彼自身にある」
2021年、突然の訃報で世界を悲しませたマイケル。『ラヴクラフトカントリー』でエミー賞助演男優賞にノミネートされていた彼は、授賞式目前だった9月6日に自宅内で死亡しているのが発見された。その後、死因は薬物の過剰摂取だったことが明らかに。現在は本件に関する裁判が行われており、4人が起訴されているが、そのうちの1人に寛大な判決を下すよう、マイケルをよく知る『THE WIRE』クリエイターのデヴィッド・サイモンが裁判官に求めたという。
The New York Times紙が確認したところによると、連邦裁判所のロニー・エイブラムス判事に宛てた3ページにわたる手紙の中で、サイモンはフェンタニルが混入したヘロインを販売した罪を認めた被告カルロス・マッチ(71歳)に言及。同被告に対しては保護観察所から10年の刑が求められているが、サイモンは「彼を収監しても良いことはない」と主張した。その理由として、マイケル自身の考えを挙げている。
サイモンは、マイケルが薬物使用の責任は自らにあると考えていたと話し、司法が麻薬への取り締まりを厳しくすることで結果的に投獄される人があまりにも増えることに反対していた亡き友人は「私にこの手紙を書いてほしかったはず」と付け加えた。
「マイクに起こったことは本当に悲惨な悲劇」と綴ったサイモン。「しかし私には分かるのです。マイケルがマッチ氏の破滅的で孤独な人生を目にすれば、次の二つのことを確信するだろうと。一つ目は、マイケルに起こったことに対する全責任はマイケル自身にあるということ。二つ目は、ほとんど読み書きができず、自らもこれまでずっと依存症と闘い、非営利目的で麻薬を販売してきた71歳の男の魂を幽閉しても、何も良いことは生まれないということ。むしろ、マッチ氏自身も依存症というディアスポラに巻き込まれてしまった」と主張した。
『THE WIRE』にシーズン1から出演していたマイケルは、ゲストからレギュラーへと昇格したシーズン3の頃にプロデューサーに自身の薬物依存との葛藤を明かしていたという。「彼は仕事を続けるため――仕事には彼の人生を安定させる力があったのですが――私たちが薬物問題に力を貸すことに快諾しましたし、自らを誘惑から遠ざけるため、いつも付き添ってくれるクルーまで求めていました」
サイモンはマイケルを「一緒に仕事をすることができて光栄と思える、最も優れた俳優の一人で、友人と呼べる人の中でも最も思いやりにあふれ、腰が低く、慈悲深い魂の持ち主でした」と形容し、「彼はいつだって自分の決断とその結果に対する責任を負っていました」と書面で述べた。
マッチ被告を含む4人は麻薬の所持と取引で有罪を認めており、同被告に対する判決は今月下旬に予定されている。(海外ドラマNAVI)
'The Wire' creator David Simon asked a judge to grant leniency to one of the four men charged in connection with Michael K. Williams' overdose, citing the elderly defendant's own addiction struggles. https://t.co/YrQG7AKLcI
— Entertainment Weekly (@EW) July 8, 2023