ノンバイナリーを公言する『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』エマ・ダーシー、トランスコミュニティに対する「暴言」を非難

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のレイニラ・ターガリエン役で知られるエマ・ダーシーは、ノンバイナリーを公言しているが、Vogueとの最新インタビューでトランスコミュニティに対する「暴言」について非難した。

白人のノンバイナリーとして

「私たちは今、特にトランスの権利に関する恐ろしい収縮期にあります」と話したエマ。「トランスの人たちやジェンダー・ノンコンフォーミングの人たちに対して向けられる辛辣な態度にとても深く悲しみを感じています」

さらにトランスジェンダーの中でも有色人種が直面する差別とは対照的に白人が受ける特権があることを指摘し、この問題についても考察。「同時に、白人のノンバイナリーとして自分がこのように感じているなら、女性や有色人種のトランスジェンダーにとって、その環境がどれほど敵対的なものであるかがわかる」とコメントした。

役へのアプローチは、自身のアイデンティティが影響

大ヒットシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフとして解禁されるやいなや、大成功をおさめ、シーズン2への更新も決定した『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。エマは、本作への出演前は個人的なアイデンティティと仕事上のキャリアは厳密に分けて考えていたという。

「私は、メインストリームの業界には、ジェンダー・ノンコンフォーミングの俳優として活躍できる場はないだろうという強い信念を持っていました」ところが、HBOが撮影前に“ジェンダー代名詞/プロナウン”を要求してきたため、「突然、それを考え直す必要があったのです」と話す。

また、レイニラ役へのアプローチは、ノンバイナリーのアイデンティティから影響を受けているそうだ。「ショーランナーのミゲル(サポチニク)とライアン(コンダル)と早い段階で交わした会話は、家父長制がどのように機能しているかをレイニラが敏感に察知しているというものでした」と説明する。

「私は、自分の“そのようなもの(セクシュアリティ)”に関係なく、キャスティングされたと思っていました。でも実は、"それ"も含めてのキャスティングだったと思うんです」

若者たちに自分たちが得られる機会について希望を抱いてほしい

「ノンバイナリーの人間として注目されることこそが、私が公のプロフィールを持つ唯一の意味だと考えるのです」とエマは断言する。「私の願いは、この業界でトランスジェンダーやジェンダー・ノンコンフォーミングの人たちがより多く見られるようになり、コミュニティの若者たちが自分たちが得られる機会について希望を抱くようになることです」

エマはレイニラ役でシーズン2に続投する予定だが、ハリウッドで起きている全米脚本家組合(WGA)のストライキによって制作に遅延が生じている。(海外ドラマNAVI)

Photo:エマ・ダーシー©James Warren/Famous