エルフ役のキャスティングで批判を受けた『LOTR:力の指輪』、キャストを守る専任セラピストを現場で採用

Amazon製作による大作ファンタジードラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』は、世界的な大ヒットとなった。その一方、原作の小説シリーズや映画『ロード・オブ・ザ・リング』3部作では白人系の俳優が演じてきたエルフ役にプエルトリコ出身の俳優が起用されたことがバッシングの対象となり、キャストたちを守るために現場で専任セラピストが採用されていたこと分かった。

キャストに向けられてしまったヘイト

『力の指輪』では平等性や多様性を重視し、エルフをはじめとする種族に有色のキャラクーを加えるという初の試みに挑んだ。ところが、キャラクター設定の変更が一部のファンの怒りに触れ、心ない人々がSNSでキャストに向けてヘイトメッセージを送りつける事態となった。

米Varietyの取材に応じたエルフのアロンディル役を演じるイスマエル・クルス・コルドバが、自分がどのような扱いを受けたかについて語り、スタジオが人種差別的に直面しているキャストたちをサポートするために、現場にセラピストを連れて来たと次のように説明している。

「このような事態になった時にはサポートが必要です。なぜなら、その(ヘイトの)声は非常に大きく、多くの場所から迫ってくるからです。自分が話をせずとも、そこにセラピストがいることが嬉しかったですね。自分のことを完全に見守っている人が、そこにいることを知れましたから。俳優としてだけではなくね」

「批判には傷つきました。心理的にも精神的にも影響があったし、ネット上での言動が人を傷つけ、僕たちに影響を与えることを理解してもらうために、僕はこの件についてすごくオープンに語っています」

そう語ったイスマエルは、ヘイターに銀行口座がハッキングされそうになったとも明かし、実際にPayPalのアカウントはハッキングされてしまったのだという。また、彼の友人たちにまでメッセージが届いたことも。極めつけには、イスマエル宛には殺害予告が郵送されたこともあるそうで、家の住所まで知られて恐ろしかったと打ち明けていた。

イスマエルは、撮影現場に精神的なサポートを与えてくれる専門家がいたことで、かなり心強く感じたようだが、問題の根本である人種差別や誹謗中傷、ヘイトの言葉を浴びせかける人々がいなくなることを心から願いたい。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』シーズン1はAmazon Prime Videoにて配信中。

(海外ドラマNAVI)

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Photo:『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』©Amazon Studios