ジェームズ・スペイダー主演の大型犯罪アクションドラマ『ブラックリスト』が右上がりの視聴率を維持していなかったにもかかわらず、10シーズンも続くロングランとなった理由を、米Colliderが分析している。どうやら、その鍵は“お父さん層”が握っているようだ。
“お父さん世代”を引き付ける要素
『ブラックリスト』の主人公は、国際的な犯罪者のレイモンド・“レッド”・レディントン(スペイダー)。自らFBIに出頭し、免責の代わりに世界中の指名手配犯の情報を与える条件を出した彼は、新米捜査官エリザベス・“リズ”・キーンをパートナーに指名し、重犯罪者の逮捕に踏み出していく。
中年のレッドは禿げ頭をトレードマークの帽子で誤魔化(?)し、洗練されたスーツを着こなしてはいるが、その下に隠れているのは太鼓腹で、レッドは男性として全盛期をとうに過ぎている。考えてみれば、そういった年代の男性が地上波局におけるゴールデンタイムのドラマシリーズで看板を背負うのは稀だ。その点だけでも、“お父さん世代”を引き付ける要素は十分にあり、さらにレッドとリズが繰り広げる一筋縄ではいかない関係は、実生活で普通の父親と娘が経験する問題や絆に重なる部分も少なくないだろう。
言ってみればレッドは、普通のお父さんが実際にはなれない“クール&ワルな犯罪者”という顔を持ちながらも、大切なリズとの関係に悩む等身大の姿も見せ、お父さん世代が共感しつつも憧れ、アイコンになり得るキャラクターという訳だ。そんなキャラクターアークに、「一体レッドとは何者なのか?」という大きな謎が加わり、お父さんたちを引き付け続けたのではないかと、米Colliderは分析している。
父親と娘の関係
また、レッドは重犯罪者でありながら“正しい”行いをして道徳的にグレーな部分も持ち合わせ、そういった彼の資質はリズを救う時に発揮されることが多い。そしてレッドとは逆のバージョンで、実世界の善良な父親は可愛い娘を守るためなら、法の一線を超えることもあり得るだろう。そんな“グレー”の部分にお父さん層が共鳴して感情移入し、シリーズを支え続けたのではないかと考えられる。
それに中年男性は、『NCIS』や『LAW & ORDER』などの犯罪捜査ドラマシリーズが大好きだ。これらのシリーズ同様に、『ブラックリスト』のエピソードはほとんど1話で事件が解決する。仕事や子育てで忙しいお父さん世代にとっては、クリフハンガーで次のエピソードへ続く番組を毎回視聴するのが難しいという人もいるに違いない。そんなお父さんたちにとって、『ブラックリスト』は重要な展開や局面を見逃さないで済む──仮に見逃しても追いつきやすい安心感があり、アイコン的なレッドが活躍する姿を1話ごとに楽しめる貴重な番組なのではないだろうか。
お父さん世代が応援し続けた『ブラックリスト』のファイナルとなるシーズン10は、現地では毎週日曜日に放送中。日本ではシーズン1~9がNetflixにて配信中。U-NEXTではシーズン9が配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ブラックリスト』© 2013, 2014 Sony Pictures Television Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.