『DARK ダーク』スタッフ&キャストが再集結!遭難船“プロメテウス号”をめぐる異次元の謎が度肝を抜く

大ヒットドラマ『DARK ダーク』のショーランナー、ヤンチェ・フリーセ(兼脚本家)とバラン・ボー・オダー(兼監督)、そしてアンドレーアス・ピーチュマン(主演)が再びタッグを組み、またしても度肝を抜く最新作を生み出した。Netflixドラマ『1899』は、19世紀末の移民船を舞台に、ホラー、ミステリー、人間ドラマ、SFサスペンスと、様々なジャンルが混在し、視聴者を異次元の世界へと引きずり込む衝撃作。「脳は海より深い」「脳は海を吸い込む」…この、なんとも意味深な言葉が持つ真意とは?【ドラマレビュー】

Netflixドラマ『1899』あらすじ

1899年、1600人以上の人々を乗せた移民船ケルベルス号は、それぞれの夢や思惑を乗せて新天地アメリカに向かっていた。だが、航海の途中、謎の信号を受け取ったエイク・ラーセン船長は、医師のモーラ・フランクリンら有志と共に調査を行い、行方不明になっていたプロメテウス号を発見。朽ち果てた船内に唯一生き残っていた謎の少年を保護した彼らは、ケルベルス号へ連れ帰る。だがその日から、船上で不思議な出来事が起こり始め、旅は想像を絶する悪夢に変わっていく―。

脳内カオスから衝撃の結末へ

毎話、主要キャストのおぞましい“悪夢”からスタートし、いきなり視聴者の心を鷲掴みにするしたたかな構成。それぞれが凄惨な過去やトラウマを抱え、その悪夢がドラマの中で激しくシャッフルし、さらには目を疑う超常現象やこの時代では考えられないテクノロジーによってかき回され、何が現実で何が幻覚なのかどんどん分からなくなっていく。

「そもそも、プロメテウス号って本当に存在するのか?」頭の中は完全にカオス状態に陥り、徐々に明かされていく真実に驚愕、というよりも愕然とする。「脳は海より深い」…なるほどそこにたどり着くのかと。

いろんな国のいろんな事情を抱えた人々が1600人以上ひしめき合い、主要人物も次から次へと波紋を投げかけるので、振り幅が広すぎるところが若干心配(筆者もやや船酔い状態に)なのだが、エリク船長、モーラ、そして謎の少年、この3人を注視していれば、物語の迷路に入り込んでも結末の衝撃を享受できると言ってもいいだろう。

エリクは船長としてプロメテウス号に執着し、調査に乗り出すという本作のいわば推進役。モーラは、この物語の謎を解く最重要人物であり、彼女が時折見る悪夢に大きなヒントが隠されている。そしてそこに謎の少年がどう関わってくるのか…ネタバレになるので、これ以上は言えないが、そこが軸であり、肝になってくるのは間違いないので要チェックだ。

『DARK ダーク』主演俳優が新境地を魅せる

1899レビュー

エリク船長を演じるのは、『DARK ダーク』で自由に時間を旅する男ヨナスを演じたアンドレーアス・ピーチュマン。本作では凄惨な過去を持ち、どこか厭世的(えんせいてき)で精彩を欠いているが、プロメテウス号に対して狂気じみた執着がエモーショナルに盛り上げる。

モーラを演じるのは、映画『リトル・ジョー』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞し、アクションドラマ『バッドランド ~最強の戦士~』でも重要な役を演じたエミリー・ビーチャム。医師としての正義感と強い母性を持ち併せながら意味深な悪夢にうなされる彼女の正体は、驚きと共にこの物語の説く鍵となり、そこに絡む謎の少年(まるで『オーメン』のダミアンのような不気味さ!)がクライマックスへのスイッチを入れる。

こういうネタバレ厳禁作品のレビューは、何も言えず、ついつい歯切れが悪くなってしまうのだが、それだけワクワクするような“秘密”が隠されている証しなので一見の価値はあるはず。ちなみに、本作では “ボリューム”(詳しくはNetflixで配信中のメイキングを参照!)という撮影技術を採用しており、大海原や大自然などボタン一つで臨場感あふれる映像を実現しているところも革命的。配信ドラマだが、劇場で観たくなる圧巻のスペクタクル映像も大きな見どころであることも付け加えておきたい。

ドラマシリーズ『1899』は、Netflixにて配信中。

(文/坂田正樹)

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Photo:Netflixドラマシリーズ『1899』