『ジェシカおばさんの事件簿』などで知られる英国俳優アンジェラ・ランズベリーが96歳で亡くなったことが明らかとなった。米Varietyなどが伝えている。
1984年から1996年にかけて放送されたミステリーシリーズ『ジェシカおばさんの事件簿』のジェシカ・フレッチャー役で最も知られる名女優アンジェラ・ランズベリーが、現地時間10月11日(火)にこの世を去った。96歳だった。
「2022年10月11日、火曜日の午前1時半にロサンゼルスの自宅で安らかに眠りながらこの世を去ったことをご報告します」と声明を発表した遺族。97歳の誕生日まで、あと5日だったという。
アンジェラ・ランズベリーの活躍
70年以上のキャリアの初期から頭角をあらわしていたアンジェラ。10代だったにもかかわらず大手MGMが契約を結び、1944年のデビュー作『ガス燈』ではアカデミー賞にノミネート。その後も1945年の『ドリアン・グレイの肖像』と1962年の『影なき狙撃者』でさらに2度同賞にノミネートされ存在感を高めていく。
70年代では『ベッドかざりとほうき』や『ナイル殺人事件』などに出演。テレビ作品への出演も増えた80年代を経て、90年代には1991年に公開されたディズニーアニメ『美女と野獣』でポット夫人の声を担当。同作の続編などでも続投し、観る者の心に深い印象を刻み込んだ。こうした功績が讃えられ、2013年にアカデミー賞名誉賞を受賞している。
スクリーンでの活躍のみならず、舞台での功績も輝かしいアンジェラ。1966年の『メイム』や1974年の『ジプシー』、1977年の『スウィーニー・トッド』などでアイコニックなキャラクターを見事に演じあげ、トニー賞を5つ受賞。しかし彼女にとって、最も思い入れが強いのは、TVシリーズ『ジェシカおばさんの事件簿』のようだ。
アカデミー賞名誉賞受賞を受けてのスピーチで「これまで出演してきたどんな映画や舞台よりも、『ジェシカおばさんの事件簿』がいちばん世界的注目を集めてくれました」と話していた。残念ながら受賞とはならなかったものの、『ジェシカおばさんの事件簿』放送中12年連続でエミー賞候補入りを果たしていた。
同作の放送局CBSは「80年間にわたるキャリアをもつアンジェラ・ランズベリーは素晴らしい才能がある方でした」とTwitterで追悼の意を投稿。「映画や舞台での演技は伝説であり、『ジェシカおばさんの事件簿』のジェシカ・フレッチャー役は視聴者やCBSファミリーによって永遠に愛され続けることでしょう。彼女が愛され、恋しく思われる存在であることに“ミステリー”はありません」と述べた。
ご冥福をお祈りいたします。
Photo:アンジェラ・ランズベリー ©PAULINE FRENCH/FAMOUS